2月24日分 開戦。とともに、私も本格的に投稿開始。

2月24日 8:30 

松本徹三さんの、経済制裁はたいして聞かないというツイートを紹介。

2月24日 12:59

(※ 転載にあたっての註
前日調べてした知識をもとに、前日、友人のFacebook非公開グループで議論したことを転載。26日くらいにはこういう見方がテレビでも支配的になって、みんな解説していたけれど、23日から24日の開戦直前にこういう見方はテレビ新聞ではあんまりなかったと思う)


 ウクライナ危機について、どうも、国内の報道だけ、海外報道もCNNとBBCという米英報道に依存という状態だと、見えにくいなあ、と思っていることについて、昨日、ある先輩とクローズな場所で論じていた内容から、僕の投稿発言部分、ちょっと紹介しますね。
 全体として、ロシアいかんなあ、というのはたしかにそうなのですが、EUとNATOということについての言及解説が、国内ニュースでほとんどないので、その点について。

「ここ数日考えているのは「EUとNATOは違う」、ということなんですね。ウクライナのNATO加入申請に先立ち、バルト三国が2004年にNATOに加入したことが、やはり決定的なことだと思うのですよね。


 ロシアから見てNATOは米英です。戦後の軍事枠組みだから、ドイツは従属的立場です。NATOのそもそもの目的は、ドイツを抑え込み、ソ連を排除することですから。フランスも一時期軍事的には脱退していたことがあるくらいだから、NATOの中での存在感は薄い。一方、EUは新ドイツ帝国です。ドイツとフランスが中心の、しかしまあ、ドイツ帝国の経済的に再興したものにロシアからは見えているでしょう。ブレクジットでイギリスも抜けたから、「EU」には米英は当然のことながら含まれません。ウクライナが「EUに経済圏として属したい」というのと、「NATOに加入したい」というのはイコールではありません。


 スウェーデンとフィンランドはEUには加盟していてもNATOには加盟していません。ヘルシンキとサンクトペテルブルグの直線距離は300kmくらい。東京名古屋の距離です。経済圏としてEUに属するのは問題なくても、NATOに属するのはロシアを刺激するので、しないほうが得という判断をしているわけです。


 キエフとモスクワの直線距離は800キロ。広島→東京くらいの距離。山脈も砂漠もない、平原ですから進軍に妨げが無い。ウクライナがNATOに属することは、ロシアにとって容認できません。


 ドイツは今回、ロシアとの軍事対立に腰が引けていて、ウクライナへの兵力提供をしなかった(ずっとヘルメットだけ)、ウクライナへの武器供与は米英によります。


 というのも、経済圏EU=新ドイツ帝国とロシアは相互依存度が高いし、EUと中国も一帯一路でけっこう結びつきが強くなっている。ドイツにとってロシア・中国と鋭く対立するのは得策ではない。ロシアと対立を強めるのは米英の、海洋国家としてのロシアを陸に封じ込めたい米英連合としてのNATOの利害が大きい。


 本来はバルト三国とウクライナは経済的にはEUに加入しても、軍事的にはNATOに加入せず緩衝国として中立でいる、という状態ならば、ロシアはかろうじて我慢できたはず。


 どちらが挑発したかというと、長期的に見れば、米英が挑発したという見方もできる。クリミア紛争以降を見ればロシアがより悪いと思うが、もう少し長期で見れば、どっちもどっちだと思います。


 ※今日、ここで補足しますが、2014年のクリミア紛争の直前のウクライナの政変、親ロシアのヤヌコヴィッチ政権を市民学生のデモで追放したのは「EU加入をめぐる問題」だったんですよね。NATO加入問題ではない。ただ、この後のクリミア危機のときに、かつてから議論されていたNATO加入を緊急にすべき論が議論に上がる。このクリミア危機に続いて、東部二州での独立派の武力闘争が始まっている。この順序、重要だと思う、起きたことの経緯として。


 また、直近、ウクライナで公用語からロシア語を排除したのも、それまでウクライナ語とロシア語の二つの公用語があったのを、ひとつを禁止するというのは、これはカナダでフランス語を禁止してケベック州のフランス語話者を国民として認めない、というようなことですから、ウクライナがやっていることも相当なものです。いや、別に国としてのロシアの肩を持つわけではありませんが、満州国建国は植民地化でけしからんけれど、満州や朝鮮半島に移民した日本人を迫害していいというものでもない、という話です。


 第二次大戦に日本が追い込まれていった、世界の悪者になっていったときの雰囲気というのはこういうものだったのだろうなあ、と今回のロシアについての西側世論の動きを見ていて思います。


 プーチンが今、言っているのも、西側の面子を潰さないようにウクライナ自らがNATO加入申請を取り下げろ、ということですよね。EU加入の話はしていなくて、NATOの話をしている。ということは、米英に対して敵対的メッセージを送っていて、独仏とは話はするよ、ということだと思うのだよな。


 それならば、バーターで民主的選挙にロシアは介入するな、国民がEU加入を望んだときはそれについては認めろという「NATO加入とEU加入」を分離して、ウクライナをEUに迎え入れることで民主主義国家としての自立を保持する、ということなんじゃないかと思います。西側の交渉の譲れない線としては。西側がウクライナのNATO加入推進をゆずらない場合、逆に、ロシアは軍事介入、傀儡政権樹立、併合と進んでしまうと思うのですよね、ここ微妙なところで、ロシアがウクライナを軍事侵攻したら、フィンランド、スウェーデンもNATOに加入を検討しちゃうと思う。このあたりの駆け引き、損得計算での外交交渉だと思うのだよなあ。


 変な話ですが、北海道に米軍単独の大きな基地がない、というのも、誰も言わないけれど、北海道は戦後ずっと米ソの「緩衝地域」として、本州とはちょっと違う扱いをされ続けてきた。そのかわり、自衛隊全体の比重で言うと、ものすごく大きな自衛隊部隊がおかれている。自衛隊はでかいが、米軍基地とロシア軍基地がいきなり激突しないという配慮を、今も、ソ連崩壊後も、日本は北海道を間に置いてしているわけです。経済圏の話ではなく、軍事的対立の話です。中距離ミサイルがある現代では、あまり意味がなさそうですが、しかし、象徴的な意味としては、「緩衝地帯」を置くという配慮が、ロシアに対しては重要なのは、歴史的に明らか。そこをあえて逆なでする、バルト三国とウクライナのNATO加盟というのは、これはロシアから見て挑発されている、容認できないとなるのは仕方ないと思うのですよね。


 CNNとBBCは米英ですから、NATO視点の報道です。独仏の、特にドイツのEU視点の報道と比較しながら、事態を把握する必要があるのですが、今朝はBS1がゴルフ中継でワールドニュースがなくて、ドイツ、フランスの報道がどうなつているか、把握できなかったんですよね。少なくとも、NATOとEU、米英と独仏のスタンスの微妙な違いを把握しないと、正しく判断できないと思います。→、で、今朝のドイツZDFのニュースを紹介したNHKBSのワールドニュース、やはりBBCとは全然ニュアンスが違う。「まず、ロシアの状況です」と、ロシアの動向から報道。


BBCをここ何年も観てきて、英国のNATO幹部の対ロシア戦略についてのインタビュー、コメントを聞いてきていますが、ものすごく敵対的で、いつ戦争になってもおかしくない、という発言を繰り返しています。英国とロシアの対立は(スパイが英国内でロシアの反体制派を暗殺、みたいな事件がずっと起き続けていますから)日本人の想像を超えていますよね。


あと、北海油田がかなり枯れてきちゃってはいるのですが、イギリスは石油と天然ガス輸入国に転じてしまったのだけれど、それでもドイツみたいに、「石炭NG、脱原発でロシアからのガス、LNG頼り」みたいな状態ではないのも大きい。だから、イギリス、アメリカ主導のNATOはロシアに対してきわめて強硬なんだけれど、ドイツは、もうノードストローム2の稼働承認停止、というのも命がけみたいな、スタンスの違いがあるわけだ。

 2月24日 15:24

 実際に、こうやって戦争が起きる瞬間を見ていると、防衛するのって例えば、ベラルーシから普通に道路を走って装甲車戦車が入って来ちゃうのに対して、道路は無数にあるのに、全部に防衛線を張って入ってくるのを全部迎撃するっていうのは、なんか、出来ない感じだよな。


 巡行ミサイルで空軍基地空港を撃たれたら、迎撃ミサイルで全部落とすとか、無理っぽいよな。


 いや、ものすごい数の部隊が本気で迎撃態勢を敷いて待ち構えていても、守るのって難しいなあ。戦線が、突破される防衛線が長すぎるもんな。
日本の場合、この長い海岸線からの上陸を全部阻止するのって、できない感じがするよな。


 ミサイル攻撃を阻止しようと、ロシア側なのかベラルーシなのかのミサイル基地を攻撃したら、何十倍かミサイルが反撃で降ってきそうだしな。
ウクライナは、どうやって戦えばいいのかな。よく分からないな。


 NATOに加入していないから、NATO軍は出ていけないし、国連軍はロシアが安保理の理事国だから国連軍は出せないし、手の打ちようがないな。
えーと、ロシアがこういうことをしたら、中国が台湾にこういうことをしたら、国際社会は止めようがない感じだな。


 CNNでは何やら軍事専門家、クランク元将軍という人が、ウクライナ軍はこう戦え、という戦い方、取るべき戦術のことを具体的に語っているな。市街戦を躊躇せずにやれ、待っていてはダメだ、と言っている。そうだよな、もうそういう段階だな。しかし、孤立無援だな。

2月24日 15:51 


 いきなり、次のステップのことを考えるが、ウクライナがロシアに制圧されるという状況に、もしなると、ポーランド国境が、NATO軍とロシア軍が直接対峙するラインになるでしょう。ポーランドの人は今、何を感じているのかな。


 本当は、ポーランドの人はウクライナには軍事的には中立で、緩衝国であってほしかったんじゃないかな。


いまとなっては無理なんだけれど
「政治体制、きちんとした民主主義、経済的にはEUに加入、軍事的にはNATOには加入せず中立を維持」っていう選択肢を維持し、それをロシアが容認するように、西側がうまく交渉する、米英ではなく、ドイツが、ロシアとうまく交渉するということしか無かったと思うのだよな。


 キエフが制圧されて傀儡政権ができてロシア軍がポーランド国境まで進出したら、もういろいろと悪夢だと思うのだがな。特にポーランド人にとって。それでポーランドにNATO軍が大挙して、みたいなことになったら。もう第二次大戦の悪夢がよみがえるよな、ポーランド人。


 そしたらプーチンが「もともとワルシャワ条約機構というくらいで、ポーランドはロシアの勢力圏で」とか言い出しそうだしな。「ウクライナ西部とポーランドはもともとひとつの国で」とか。
なんかほんとに第三次世界大戦みたいなことになりそうで怖い。

2月24日 21:57 

この八幡さんの見方が現実的だと思うが、こういう、意見が日本のメディアには全然出ないな。

※評論家の八幡和郎氏の「ウクライナ侵攻:プーチンと賢い取引は可能だ」という記事を紹介して。保守派知識人、元官僚の八幡氏で、テーマによっては私と正反対の意見のときも多いが、この件に関しては、この後もずっと同じ方向、同じ感想、感覚の投稿を続けている。

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