見出し画像

パソコンやスマホなどのディスプレイで使われる色はRGB。印刷はCMYKの4種類のインキで表現します。


光の三原色RGBとインキの三原色CMYK

スマホで撮ったきれいな写真はRGBというカラーモードで保存されます。しかしそのきれいな写真をスマホと同じ色で印刷することはできません。なぜなら印刷物はCMYKという4つのインキを使って色を表現するからです。

お客様から入稿されるデータをチェックするとRGBで入稿されることは非常に多いです。デザイナーから完全データ(印刷会社での手直しなしでそのまま印刷できるデータ)と言われて入稿されるデータでも画像がRGBであることが多く、そういったデータの作り方がトレンドになってしまっているのではないかと首をかしげることがあります。

家庭用のインクジェットプリンタならスマホで撮った写真をきれいにプリントできるかもしれません。しかし、印刷は先ほども述べた通り、CMYKの4種類のインキで表現するため、RGBからCMYKへ変換しなければなりません。実際にPhotoshopを使って変換するとわかりますが、CMYKはRGBより表現できる色が少ないのでガラッと色がかわることがあります。いずれにしろモニターで見た通りの色にはならないということを理解しておく必要があります。

RGBで作られたCG画像をPhotoshopでCMYKに変換

RGBモードの画像が入稿されると印刷所によってはその時点で差し戻しで、進行が滞ってしまいます。問題なく印刷できるデータが作れるようにしていきましょう。

RGBとCMYKについてはネットで検索するとたくさん出てくるので色々調べてみましょう。

カラーチャートがあると便利です

PhotoshopやIllustratorのカラーパレットで色を指定するときに、カラーピッカーで曖昧に探していくよりもある程度頭の中で「こんな色にしたいからCを何パーセント、Mを何パーセント…」といった感じで数値を入力していけると作業が早くなります。色のパーセントについて、最初のうちは頭でイメージしてもわからないでしょうから、感覚を掴むためにもあると便利なのが「カラーチャート」です。


印刷の現場では色校正で上がってきたものに対し、より意図する色に近づけるにはどうしたらよいか、カラーチャートで確認します。

しかし、用紙や線数ドットゲイン等の印刷の条件によって色味が変わってくるので注意が必要です。カラーチャートと同じ数値で指定しても必ず同じ色にならないということです。

印刷所によっては独自のカラーチャートを用意していることがあります。ネット印刷では請求すれば無料でくれるところもありますので、印刷をいつも決まったところに発注するのであれば請求してみるとよいと思います。

印刷物は点の集まりです

印刷物をルーペで覗いたことはありますか?
覗いてもらうと皆さんだいたい「おお~」と声をあげます。なぜかというと点の集まりで表現されているからです。現場ではこんなルーペを使います。

これでなくても拡大倍率の高いルーペを使えば印刷物が点の集まりで出来ているのが分かるので試してみてください。

何故、点で見えるのでしょうか。

PhotoshopやIllustratorで作成されたデジタルデータを印刷に適した形に変換するにはRIP(Raster Image Processer)という装置を使います。ラスターイメージとは規則的に並ぶ点で表現される画像です。

RIPのスクリーニングという作業でデータが点(網点)に変換されます。出力機の解像度(2400dpiや3600dpi)に合わせて高解像度の2値ビットマップデータが作られます。こうして出来上ったデータをアルミ版に焼き付けてオフセット印刷用の版を出力します。焼き付けられた点にインキが乗るので、印刷物も点の集まりになるわけですね。

IllustratorでK10%、K20%…といった感じで作ったデータもRIPで演算されるとこんな感じになります。(分かりづらくてすみません。2回クリックして拡大表示してみてください)

色が薄いところは網点が小さく、色が濃いところは網点が大きくなります。
10~40%と60~90%では白と黒が逆転しています。

分かりづらい図になってしまいましたが、カラーも同様です。

RIPで版を出力する前にレンダリング(ラスタライズ)結果を確認することができます。下のコーヒーの写真の赤で囲った部分のレンダリング結果は右のようになります。

印刷物はCMYK4色で出来ているので、カラー印刷ではシアン版、マゼンタ版、イエロー版、スミ版の4版を使います。

面付けの仕方にもよりますが、両面カラーとなると、版は倍になるので8版出力することになります。版代(料金)も倍になるわけですね。

このコーヒーの画像レンダリング結果を各版ごとに見てみるとどんな感じかPDF(A4×2P)にまとめてみたのでよかったら見てみてください。

網点のパーセントの見分け方

最後に、ルーペで印刷物を覗いたときの網点のパーセントの見分け方をPDFにまとめてみました。現物通りにデータを作ってほしいという依頼がたまにあります。そんな時に使っています。

いかがでしたでしょうか。なぜDTPで画像を扱うときにRGBではなくCMYKなのかということが分かっていただけたら幸いです。適正なデータ作りもDTPオペレーターの大切なスキルです。ひとつづつ丁寧に覚えていきましょう。


このnoteでは、将来的に印刷物を作る仕事に携わりたいという人や、DTPをはじめたばかりでよくわからないといったような人たちの役に立つような情報を発信していきます。更新は不定期ですがどうぞよろしくお願いいたします。


この記事が参加している募集

仕事について話そう

最後までお読みいただきありがとうございました。サポートいただけたらとても嬉しいです。「スキ」を押していただくだけでもとても励みになります。よろしくお願いいたします。