領土

恐ろしさ
美しさ
残酷な

暗い目をした三つ編みの女
胸から下は影
濡れた草と
と魚介の匂い

銀の食器を錆びさせる聖歌は
細切れで聞こえなくなり
次第に親密な会話がとって変わる
土砂にまみれた美しいこの体
いつも犬のように喉を乾かす

法王の嫡子のように
うまくやる
宝飾品で飾れるだけ飾り
値を釣り上げた
何度めの花婿
汚い体位

出来るだけ甘いものを食べたい
全ての皿は神話的な決断を強いるから
私たちは仕方なく巨大な牛を屠る
理想的な春
涙で景色は既に見えず
夜の支度をする

その森に
私たちの代わりに犬を走らせ
犬に語らせる
裕福な犬 優しい犬 美しい犬
とても愛しい


都市の冬に
無数のタイプミスに溢れたメッセージで誘う
灰色のマフラー
牛の紋章の入ったナイフをもらう
暖かい唇と無意味な習慣が
この世界を素晴らしくすることを知る
それでもいくら稼いでも稼ぎ足りない
優秀な傭兵を持つには

哄笑を響かせる若者たち
は深夜にローマに帰っていく
何百キロの道のりを馬で駈る
鮮やかな朝焼けが乾いた地表にとどまり続ける
戯れに投げたナイフで窓を割る
刺青だらけの体
切り立ての髪
その汚い港では泡立つ波がつぶやくように寄せては返し
それは全てを0にする真言だった


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