牡蠣と音楽

海面にはった氷を
銀のハンマーで
慎重に叩いていくと
一回ごとに
音階が上がり
ついには何も聞こえなくなる

そのように
牡蠣が歌う歌も
天上に向けられている

空は常に晴れていて
くまなく照らされている
この時点では春はまだ存在しなかった
夜がようやく
はるか遠くに
その大きな体を覗かせる
シャワーも浴びてないし
なんの準備もしていないけど

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