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シニア世代の新ライフハック:国際ロマンス詐欺に騙されないために VOL.2

宇佐和通です。今回は、国際ロマンス詐欺に関して書かせていただく文章の第2回目。より踏み込んだ、よりリアルな内容でお伝えしてきたいと思います。

私は、のべ300人くらいの詐欺師と対話を重ねてきました。ただ、幸いにも騙されてお金を取られたことはありません。人を信じないからかもしれません。これまで重ねてきた詐欺師たちとの関わり合いの中で、突出して面白かったケースがあります。まずは、そのあたりから始めるのが読んでいただきやすいと思います。

ケビン・コンストナーって、誰さ?

こいつはケビン・コスナーさんの顔写真を使ってアプローチしてきました。ラストネームに注目してください。Costnerではなく、Constnerです。コンストナー。スペルを間違ったのか、意図的にそうしたのかは分かりません。FBでハリウッドスターが友達申請してくるパターンは確認されていて、超有名なマンガ家の先生が7500万円支払ってしまったという事件も記憶に新しいですね。

コンストナーからリクエストが入った当時、国際ロマンス詐欺の中核的オペレーション基地はカメルーン国内で稼働しているといわれていました。カメルーンの公用語はフランス語ですが、私に入ってきたメッセージは英語でした。やりとりは、こんな感じです。

Costner:はじめまして。素敵なプロフ写真なので、思わず友達リクエストを送ってしまいました。(注:私は以前、近所の公園でわんこと一緒に撮った写真をプロフに使っていました。騙されやすいおばさんに見えなくもないので、ターゲットにしてやろうと思われたのでしょう)
Watsu:メッセージありがとうございます。ハリウッドスターからリクエストが来るなんて! 
C:いやいや、こういうこともあるんですよ。ぜひお友達になりましょう。
W:自分の周りにいる人間に自慢したいので、あなたが本当にコスナーさんかどうか確かめさせてください。第1問。『ボディーガード』で演じたあなたの役名は?
(2分くらい後に)
C:フランク・ファーマーです。
W:ありがとうございます。それでは第2問。初出演映画『再開の時』のあなたの役柄は?
(5分くらいして)
C:死体です。何で次々に質問をするのですか?
W:申し訳ありません。ご本人かどうか確かめたいので…。もう質問は終わりです。
C:ああ、それならよかったです。あなたは結婚していますか? お子さんはいらっしゃいますか?
(注:詐欺師は最初のラリーが何ターンか続いた後、必ず結婚しているか/子どもがいるかを尋ねてきます)
W:結婚して30年以上経っています。家族は妻1人とわんこ2人です。
C:失礼しました。プロフ写真では女性かと思いました…
(注:この時点で、やりとりを続けてメリットがあるかどうかを考えている様子。あえてこのタイミングで少し放置しました)
(10分くらい後)
C:まだいらっしゃいますか?
W:はい。
C:映画は好きですか?
W:大好きです。ミスター・コスナー、次回作はどんな方向性なのでしょうか?
C:質問してくださってありがとう。ミニオンズの実写版(!?)を考えています。
W:あー、それは面白そうですね。
C:それで、プロデューサーたちとミーティングをしているのですが、資金的な問題があって、話がうまく進んでいません。
W:なるほど。
C:そこであなたにお願いしたいのですが、制作費の一部を出していただけませんか? お名前はオープニングでもエンドロールでも大きく出します。

この人の場合、話の持っていき方があまりにも雑すぎました。私が女性ではないことを知って、持っているマニュアルでは対応できないことがわかり、そこから先はアドリブになったのでしょうが、トークの構築がヘタすぎです。

ドバイの皇太子からもお誘いがあったです

次に紹介するのは、嘘のスケールが壮大すぎるパターン。


ドバイの皇太子だってさ! いくらなんでも、ドバイの皇太子がFBで見かけた日本人に友達申請してくるとは思えません。アメリカンジョークみたいな感覚の嘘で騙せてしまう人もいるということなのでしょう。

一方、王道系には次のようなものがあります。

王道系のストーリーあれこれ

国連の平和維持軍の兵士でシリアで任務に就いているが、今朝パトロール中に見つけた木箱に入った金の延べ棒を国外に送りたい。国連の平和維持軍の兵士だが、退役したら日本でビジネスを始めたい。多額の遺産がある未亡人で、国外の慈善団体に寄付をしたいので手伝ってほしい。そして、日本に行ってあなたと結婚したい。

今北海油田で働いているが、かなりお金が貯まったので日本でホテルを建てようと思っている。それを助けてほしい。ビットコインで大儲けしてる。毎日1万ドル稼げる。とても簡単。あなたもぜひやるべきだ。

何でもマニュアルの世の中ですが、国際ロマンス詐欺は完全に共通のマニュアルを使っていて、個人から大規模なネットワークのグループまでさまざまなサイズがひしめき合っているんじゃないでしょうか。

すべて詐欺師です。”騙された話”がどんなに世の中で語られても、騙されてしまう人は後を絶ちません。国際ロマンス詐欺バスターとして、かなり多くの詐欺師を叩き切ってきた中で面白かったケースがあるわけですが、これはいくつかのパターンに分けることができます。

名前が面白い
プレシャス・ラビングとか、オネスト・プリンスなんていう名前を本名だと言い張る。そりゃあおかしな名前だよ。そんな名前をつける親の顔が見たいなんていじっていると、キレて暴れ出す。暴れ出すっていうのは、電話かけてきたりとかする。

肩書きが面白い
アメリカ軍の将軍とか、サウジアラビアの王子とか。さっきのケビン・コンストナーのケースもそう。

文章が面白い
機械翻訳的な日本語。あなたが私の申し出を心の底から歓迎し、受け入れてくれることを正直に願います。みたいな。今でもわからないのは、「角質女王」という謎のワードが含まれていたやつ。これ、よく考えたら 「HORNY QUEEN」という英語の直訳でした。みだらな女王、みたいな響きの言葉です。あーあ。

絶対的に正しいのは、即座にブロックAND通報でしょう。それはわかっているんです。でも僕は通常、ある程度話を回しながら相手をいじり倒します。いじるという行いは詐欺の具体的なノウハウを蓄積するチャンスを与えてしまうのでよくないという意見があるのもわかっています。でも、ただ放っておきたくはないのです。

もう一度言いますが、危ないなと思ったらブロックして通報するのが一番です。グーグルのハングアウトとかホワッツアップみたいなアプリでやり取りしようと持ちかけてきたら、まちがいなく詐欺です。FBで友達申請してきて最初はメッセンジャーで連絡してくるくせに、すぐにほかのアプリに誘導したがります。そもそもFBで知り合ってメッセンジャーで最初の話をするんだから、そこで帰結すべきでしょう。仕事の都合でFBはあまり使えないなんていう言い訳もします。

いじり倒すというのは、具体的に言うとこういうことです。相手がロサンゼルス出身・在住なんて言い出したらグーグルマップを見ながら、「どこの高校卒業したの? よく行く店は?」という感じで徹底的に地理的な質問で攻め立てます。

相手は自分のペースにしようと思っていろいろ質問してくるから、それを上回るペースで質問攻めにします。そして、絶対にどこかで不具合な部分が出てきます。なぜなら、ほとんどがアフリカの某国から働きかけてきているから。

映画みたいに素敵なことは、そうそう起こらない

シニア世代の人々は、男女を問わず騙されるパターンが多いような気がしてなりません。それに、自分は絶対に騙されないという自信を持っている人ばかりです(お前が言うな、という話かもしれませんが)。見ず知らずの外国の人たち、しかもイケメンだったりもの凄い美人だったりする人たちが、知らない日本人に興味を持つわけがないのです。あ、そういうことあるかもしれないけれど、確率的には限りなくゼロに近いと思います。少なくとも、そんな素晴らしいことが起きるわけがないと思っている枯れ切った私は、寄ってくる詐欺師を叩き切って、誰かが騙されてしまうかもしれないアカウントを一つでも多く潰しているのです。

今日もここまで読んでいただいてありがとうございました。次回のアップでまたお会いしましょう。



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