見出し画像

凶悪都市ダルエスサラームのカジノでタコ負けした話

Day3

勝負の日だった。とはいえ、勝負は夜で、焦ることはなく、ルーレットのベッティングシステムについて調べたり、Noteを書いたり、カイジの音楽を聞いたりして気持ちを高めた。ルーレットにはいくつもの賭け方があって、一番有名なのだとマーチンゲール法(負けるたびに賭け額を倍にしていっていつかは必ず勝つ)とか、他にもモンテカルロ法やココモ法とかいうのがある。そんな数あるベッティングシステムから私が選んだのは、フラワーベット法だ。

マーチンゲール法が98%の勝ちを毎回積み重ねていく方法とすれば、フラワーベット法は3%の一発大穴を狙い続ける方法だ。とはいえ、計算した結果、70%の確率でチョイ負け、54%くらいの確率でトントン、23%くらいの確率で結構大きい勝ちが狙え、0になる確率が30%と、一発大当たりのワクワク感を味わいつつも割とリスクリターンも悪くない賭け方だった。一緒に行った友人は、バカな賭け方してんなとバカにしてきた。彼はマーチンゲール法で確実に稼ぐらしい。

ちなみに、マーチンゲール法で確実(笑)に稼ぐと言っても、資金を無くさずに1.5倍まで増やす確率は69%くらいで、30%以上も負ける確率があると思う。完全運ゲーかつ期待値がほぼ均されているルーレットにおいて、資金が全く潤沢でない我々が挑むなら、絶対にフラワーベットの方がいいと思うが、敢えて何も言わずにカジノに入った。ちなみに、カジノ側からして、めちゃくちゃ小さい額をちょぼちょぼかける、サンダルの汗臭い二人組が来ていい迷惑だったと思う。逆カジノ荒らしだーとか言って楽しかった。

ルーレットのテーブルについて、46万tshをチップと交換する。場の雰囲気にも完全に慣れており、コーラにライムとレモンをつけたやつをもらった。カジノだと無料サービスでいろいろなドリンクを持ってきてくれる。完全に気取りながら、フラワーベットでルーレットを開始した。フラワーベットは非常にシンプルで、ラッキーナンバーを一つ決め、そこを中心に9ヶ所ベットする。私はラッキーナンバーを8に決めた。1/37で8に落ちれば144倍、4/37で36倍、4/37で9倍になる。

9倍、36倍の小勝ちを重ね、試行回数が40回を超えた時、私のチップは底をつきた。私が得たものは、3本の空のコーラ瓶と、1本のミネラルウォーターだけだった。その頃、マーチンゲールの友人は40万の資金を55万くらいまで増やしていた。



失意の私(右)と15万勝ちの友人(左)

約3万円の資金を無くした夜19時頃、ちょうどポーカーテーブルがオープンした。勝たなきゃクズ.....なので、早速54万tshを追加で下ろし、次の瞬間には席についていた。徐々にチップを減らしながら迎えた最終局面、私に67sのハンドが入った。レイズで参加し、1人がコールしてヘッズアップに。フロップでなんとフラッシュが完成した。相手がベットしてきて、しめしめと思いながらコール。次はお互いチェックし、いよいよ5枚目が出たときに、相手がオールインしてきた。トップペアか、スリーカードか、ブラフか、まあ流石に勝ってるだろと思い、25万近いオールインをしたところ、まさかの相手もフラッシュのKハイで負けた。
ボードに3枚しか同じ図柄のカードが出てない状態でフラッシュで負けることってそうそうないよな...と落ち込み、必死でプレイは間違ってなかったと自分を慰めながら、この日100万tsh負けた現実を少しずつ受け止めた。その頃マーチンゲールの友人は、高いインド料理の店に行っていた。僕はその4分の1くらいの予算でローカルな飯屋に行った。

ローカル飯屋も実はかなり良くて、200円くらいでビーフのBBQ風みたいなやつが食べられる。



ホテルに帰ってもなかなか寝られず、時刻は午前3時を回ったところで友人が帰ってきた。何やら喚いている!どうやら負けたらしい!!!!!!!!!!よっしゃーーーー!!!!!!!!!!!!!!!

Day4

朝11時にホテルをチェックアウトしてダルエスサラーム駅を目指す。節約のために1時間くらい歩こうかと思っていたが、あまりに暑すぎるので流石にウーバーでトゥクトゥクを呼んだ。ダルエスサラーム駅に到着すると、出発予定時刻の3時間くらい前にも関わらず、大荷物を抱えた人がたくさんいた。タンザン鉄道(現地だとTAZARAって言わないと伝わらない)は遅延することがザラで、平気で10時間20時間遅れることもあるらしい。そうなったら駅で寝ればいいかーと思っていたが、あまりの人の多さと暑さに絶望した。遅延したらマジで嫌だなーと思いつつ窓口で駅員さんに聞くと、今日は時間通りに出発するとのこと!耐えました!

汗だくになりながら3時間待ち、ちゃんと時間通りに電車に乗れた。1等室は予約時点で満席だったため2等室を取っていたのだが、部屋を見てなかなか絶望した。狭い部屋に3段ベッド×2で、しかも暑く、むさくるしいおじさんもいた!(笑)僕らも当然汗臭い。

電車は脱線するんじゃないかっていうくらい揺れ、電波もなく、シャワーもないどころか水道がなく、かなりしんどかった。楽しみといえば、食堂車で食べるご飯と、時折の停車駅で降りて辺りを散策することくらいだった。タンザン鉄道の停車時間はだいぶ長く、駅を歩き回るくらいの時間はあった。各駅ではパンやビスケット、ポップコーンなどの店が出ていて、ウィンドウショッピングを楽しめた。

流石に予定通りの到着はしなかったが、発車からちょうど24時間後、1時間遅れでムベヤに到着した。同じ部屋にいたおじさんにバスの乗り場と相場を教えてもらい、ムベヤから一気に国境手前の小さなKasumuluという町まで移動することができた。アフリカ旅だと何かとふっかけられることが多く、market priceとかlocal priceを事前にホテルの人とか周りの人とかに聞いておくことがめちゃくちゃ大事だった。

20時過ぎに到着し、久しぶりのシャワーを浴びて、ポテトを食べて寝た。

Day5

Kasumuluから国境までは2kmくらいだったので、歩いて行くことにした。アフリカ初の越境で、しかも歩いて向かっていることに高揚した。めっちゃ早起きしたので7:30には国境についたが、ここからが大変だった。

この旅っぽさ最高!!

タンザニアのイミグレーションに行くと、なぜか別室に案内された。やばいんかなと思い、とりあえず、「ハバリヤコ!」と現地の言葉で挨拶をして、「この部屋めっちゃ涼しいね!」と言ってヘラヘラご機嫌をとった。パスポートを見せてくれと言われて見せると、出国の時期が不当だみたいなことを言われた。君たちは90日間のビザを持っているのになぜ2週間足らずで出国するんだい?最低1ヶ月は滞在しなきゃダメだよ、などという訳の分からん理屈を捏ねだした。このままじゃ出国のスタンプは押せないから、ちょっとお金をくれないか?みたいな、よくある話だった。賄賂を払ってことか?と聞くと、違うよ、ちょっとソーダを飲むためのお金をくれたらいいんだ、と。うぜーと思いつつ、でも絶対に払いたくなかったので10分くらい涼しい部屋で押し問答したあと、Japanese embassyに電話するぞ、早くproceedさせろ、みたいなことを言ったら通してくれた。

奥にいるのが悪徳入国管理官

国境付近は監視の目も届かず、賄賂を要求されるのはよくあることらしい。ふつうにだるかったしムカついたけど、旅っぽくておもろいかと思い、13日のタンザニア滞在を終えた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?