日本の政党政治について

先の参院選では、自民党が圧勝し、与党で定員の3分の2を占めるという危険な情勢を招いてしまった。

果たして国民はこれを望んでいただろうか? また、国会において改憲勢力が3分の2を占めることがどういうことか、充分に理解しているのだろうか?

比較的最近の世論調査では、護憲派が改憲派を少し上回っていたが、当然だろう。改憲派の人たちはもっと冷静になって勉強する必要がある。

今回の参院選では、自民党はこの問題を、極小にして選挙の争点から外すことにまんまと成功した。それでも、積極的に自民党に投票した有権者はどれだけの割合だったろうか?

無党派と言われる人たちの多くは、消去法でやむなく与党に投票したのではないだろうか。野党のていたらくを目の当たりにすれば、そうするのもやむを得まい。

先の参院選で大敗した野党には奮起を促したいが、正直、今の民進党には期待が持てない。日本にはアメリカや英国のような二大政党による政権交代は、もはや幻想であると国民は気付いてしまった。その意味で旧民主党の罪は重い。

民主党が与党になったときは、日本でも二大政党制が始まるかと期待もしたが、それは程なく消え去った。民主党に投票した有権者の多くは、あれほどの素人集団だとは思いもしなかったろう。

民進党が勢力を盛り返すのは至難だが、岡田やら前原やら蓮舫やらが代表をやってるうちは可能性はない。執行部はこぞって世代交代するしかない。だが、これは必要条件であって、十分条件ではない。

ちなみに、筆者は、日本新党から立候補して当選1年目の前原誠司氏、枝野幸男氏らと会食した経験がある。(ついでに言うと、江田五月参議院議長や複数の首相経験者とも短時間ではあるが、会ったこともある。)前原氏や枝野氏の今日の姿は、そのとき想像できなかったが、印象は今よりずっと良かったと記憶している。

かつての日本新党のようなブームも当面は起こらないだろう。維新の会にはその可能性があったが、如何せんアクとクセが強すぎた。かの政党が国民の信を得て与党第一党になることはまずあるまい。但し今後、自民党にすり寄って与党の仲間入りする可能性もあるので、注意する必要がある。

参院選の各政党の政見放送を見ていて、一つ気になる政党‥正確には政党ではなく政治団体だが、あった。「支持政党なし」というのがその団体の名称だ。この団体には政策が一切無いという。ではどのように活動するかというと、事案一つ一つをホームページ上に掲示して、インターネットにより一般市民から投票してもらい、その結果で議決の際に賛成や反対の票を投じると言うのだ。

実はこのアイデア、筆者が長年あたためてきたものと共通する。ただ、違うのは、護憲などいくつかの基本政策は予め定めておくこと、投票権は党員と会員に限定すること、だ。当然、党の代表や役員も直接投票で決める。立候補も党員であれば誰でもできる。

この直接民主政治は、技術的には今すぐにでも導入可能なはずだが、法的、心理的なハードルは高い。国政レベルでの実施は早くても2040年だろう。他方、地方行政、特に市町村レベルであれば、もっと早く導入できるし、可及的速やかに導入すべきである。もっとも電子投票に抵抗のある人もいるだろうから、当面は投票所に行く方法とこの電子投票を併設する必要がある。



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