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映画、書籍、音楽、ゲームなど趣味のこと。 実は教育関連で働いているので、たまに教育のこ…

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映画、書籍、音楽、ゲームなど趣味のこと。 実は教育関連で働いているので、たまに教育のこと。

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ぼくはお金を使わずに生きることにした 【マーク・ボイル】

イギリス在住の著者マークが1年間一切のお金を使わずに生活した実験を綴ったものが今回の書籍だ。 「お金を使わない生活」と聞くと、ジャングルのような場所で狩猟・採集を中心とした縄文人のような生き方をしたのかと思われるがそうではない。 彼が目指すのは以下の3つだ。 お金を使わないこと まずは与えることで、地域社会を循環させること オフグリッド(ライフラインを使用しない生活)を徹底すること 自給自足的な生活というよりも、助け合いの精神を軸とし、環境破壊を防ぐために「お金を

    • さよならソルシエ 【穂積】

      19世紀パリにいた二人のゴッホ、テオドルスとフィンセント。 若き画商として、パリに名を馳せるテオドルス。 それに対して、ホームレスのような格好で画家として活動するフィンセント。 対照的な二人は、傍から見るとダメな兄とそれを支える弟。 しかし、弟のテオは兄が描いた絵を自らが務める画商のどの作品よりも高く評価していた。世界を変える存在と。 実際に存在した謎多き天才画家フィンセント・ファン・ゴッホとその弟テオドルスを史実を参考にしながらも作者なりの解釈を持たせて見事にエン

      • 午前3時の無法地帯 【ねむようこ】

        超絶ブラックなパチンコ専門デザイン会社の新入社員ももこ。 恋に仕事に奔走する。そんなお話。 一言で表してしまうと、そんなありふれた少女漫画のような作品。 でも、ねむさんが描くと途端にそれは現実味を帯び、かつ極彩色に染まってしまう。 当たり前のように会社に寝泊まりして、当たり前のように他人の恋愛を根堀り葉堀り聞いて。 そんな当たり前じゃない会社でのやりとりは、ユニークに溢れていて、とても人間生活を送る環境じゃないにも関わらず憧れてしまう。 また、何よりもねむさんのイ

        • これほどまでに映画好きのための作品があっただろうか。

          2021年初夏 その映画は世間一般には大きな話題にはならず、いつの間にか宣伝映像が少しずつ流れるようになっていった。 その映像はオタク層をターゲットとしたデフォルメ調の萌キャラたちと主人公の男の子が一本の映画を作るというもの。 正直なところ、私はこの映像をみてもあまり惹かれなかった。 「なんかよく分からん同人作品かな?」 程度で興味を示さなかった。 しかし、時が経つにつれてTwitterのタイムラインに少しずつその名前が上がってきた。 「映画大好きポンポさん」それがこ

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        ぼくはお金を使わずに生きることにした 【マーク・ボイル】

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          ジヴェルニーの食卓 【原田マハ】

          「楽園のカンヴァス」にて山本周五郎賞を受賞するなど、「読む美術館」と名高い評価を得ている著者。 今作もまさに、「読む美術館」となる一冊です。 ・美しい墓 ・エトワール ・タンギー爺さん ・ジヴェルニーの食卓 の4篇からなる短編集。 アンリ・マティス、パブロ・ピカソ、ポール・セザンヌ、クロード・モネ、フィンセント・ファン・ゴッホ…。名立たる芸術の巨匠たちの生き様を描く、史実にもとづくフィクションは読者を中世へと誘います。 かくいう私は、実はあまり美術の知識

          ジヴェルニーの食卓 【原田マハ】

          アマニタ・パンセリナ 【中島らも】

          古本市でたまたま手に取り、その不思議な雰囲気から思わずジャケ買いしてしまいました。 表紙の「可愛らしい」イメージだけを手掛かりに読んでみると、最初からギャップにやられてしまいます。笑 いざ読み進めてみると、内容はひたすらドラッグ一色。 自身がドラッグをしていたり、周りにしている人がいるなら少し違ってくるのでしょうが、【全く経験のない人】からすれば未知の体験ばかりです。 ドラッグひとつひとつの名前も、社会の裏で起きていたドラッグ業界の“常識”を垣間見ることができま

          アマニタ・パンセリナ 【中島らも】

          善き書店員 【木村俊介】

          白上質紙にタイポグラフィだけのカバーデザイン。 “本質”という言葉を表すかのように感じられるその外観のとおり、内容もシンプルに書店員たちの「あるがまま」を描いています。 物語は書店員たちとのインタビューという、一次的情報のみで構成されています。 しかし、この本をただのインタビュー集と思うなかれ。「新たなノンフィクション」と謳われる本書では取材者の姿を見えにくくし、インタビュー相手の言葉のみで物語をつづり、相手と読者が対面しているような感覚を呼び起こす書き方となっています

          善き書店員 【木村俊介】

          雪月花黙示録 【恩田陸】

          恩田陸さんといえば、ミステリとファンタジー色が強い作家さんとして有名ですね。 この「雪月花黙示録」は装丁の美しさに一目ぼれしました。 箱型のカバーはピンクが目立つ極彩色にいろどられた、とても目を惹く派手な装い。それにも関わらず、書籍本体は灰色を基調とした、とても地味なつくりになっています。 ページを開き、見返すと、またも極彩色の世界。そこから本編にたどり着くまでの数ページでだけでも素晴らしいので、書店でぜひ一度手にとってみてください。 さて、ここからいよいよ内容のお話

          雪月花黙示録 【恩田陸】