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infrastructure: Yamate-Dori のステートメント

保坂は最近、「インフラストラクチャー」をテーマに写真を撮っている。
河川シリーズの鶴見川を撮った後、アナチンの言葉「帝国と資本が景観を変え、人新世を起爆している」を旨に“インフラストラクチャー”の構想を思いついた。
一番最初は首都高を撮ろうとしたが、大きすぎて写らないことに失敗、代わりにセブンイレブンを撮って、グループ展に出展した。

山手通りのスタート

さて12月、久しぶりに歩いた。今回は東京の「山手通り」だ。
山手通りは日本中にあると思うが、東京は“やまてどおり”と読む。東京都道317号環状六号線のことだ。
品川区東品川の新東海橋交差点から、板橋区仲宿の中山道中宿交差点までの19kmである。
山手通りの構想の原型は、関東大震災の復興計画に始まる。
戦前の計画までは文字どおり環状道路として構想されていたが、21世紀の今の環状六号線は、東京の西側にしか存在しない。
ほぼ全線に、首都高速中央環状線が並行していて、独特の景観を作っている。

山手通り沿いには大きな施設が多い

山手通りは保坂の地元、東中野駅のわきを通っており、非常になじみ深い。
道路の拡幅作業や首都高速中央環状線の地下工事を、子どもの頃からずーっとやっていた。
改めて、この道はどこから始まり、どこに終わるのだろうと思って、2022/12/12から自転車で走った。
もちろん一日で完全走破はできておらず、海岸通りの新東海橋交差点からスタートして、旧山手通りの渋目陸橋、井の頭通りの富ヶ谷交差点あたりで暗くなってしまった。
後日、残りを走りたいと思ってる。

正面は首都高の換気塔である。

今まで野川や渋谷川、神田川などを歩いてきたが、鶴見川は文化人類学の先生らとフィールドワークとして歩いた。
今回の山手通りには、その時の経験が活かされ、文化人類学的な眼で東京を見ることができて、新しい発見があった。
山手通りは非常に大きい。人間のスケールサイズを超えた風景であることを、写真で見ればわかるはずだ。
四車線以上の道幅は、横断するには一苦労であり、信号無視など本当に命に関わる。
山手通りのスケールは、人間が歩いて生活するには適していない。
これが自分としてすごい大事なキーワードなのだが、つまり山手通りは人間には「大きすぎる」のである。
山手通りには立体交差するための、人間用、自動車用、電車用の陸橋がいくつもかけられている。
陸橋は、スケールが違うモノ同士をゾーニングするための工夫なのだが、その陸橋というインフラストラクチャーが山手通りという独特の風景をつくり出している。

並行する首都高が街を分断している

今回、山手通りをあるいて、シティースケープとは何か?の理解が深まった気がする。
保坂は、風景をモノクロHDR写真を用いて記号化思考の助けにして、都市の野生の思考を思い出そうとしている。
このテキストは、2022/12/13のアーティストステートメントであり、未来への自分の手紙である。
どっとはらい。
2022/12/13 13:02

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