2/4明和電機ナンセンスマシーン展

 札幌国際芸術祭2024 札幌芸術の森美術館に行ってきた。お目当ては明和電機だ。様々な展示を見て思ったことをメモしておく。
 かっこいい、良い、悪い、素敵だ、おもしろい、こわい、嫌だ、好きだ、など主観でしかないメモだ。また、かなり失礼なことも言っていると思う(おじさんとか)。もしこれから読もうとしてくださっている奇特な方々は、そのことに留意してほしい。

◯今までの明和電機へのイメージ
 ツイッターでなんとなく流れてくる、水色の作業着のイケてるおじさん。「明和電機のヤックウィ〜ン」を見て興味を持つ。「イカリをあげよう」はワクワクして好き。「SUSHI GO」でノリノリになる。「ギンギラギンにさりげなく」のライブ映像で、チャカポコなアレンジと力強い歌声がいいなと思う。「千本桜」「ワールズエンド・ダンスホール」のカバーもチャカポコでいいなと思う。
 以下の動画を見て衝撃を受ける。

 動画キャプションによると『ゴムでできた人工声帯に風船から空気を送り、フィードバック制御で歌を歌います』とのこと。聞くとわかるが、微妙な音程の変化やビブラート、歌い始めが少し揺れてから安定するところがすごく切なく思えて、そしてこれが人工であること、切ないと思うのにボディは無機質な金属なことがかっこいいと思った。風船に空気を送り込む音さえも音楽の一部だと思った。歌手が息継ぎをする音も収録されているのと同じだなと思った。
 しかし、基本的には明和電機はオタマトーンの人だと思っていた。ライブも行ってみたいしスシビートも欲しいなあ、チャカポコチャカポコでノリノリにノリたいと思っていた。そんな時に、チカホで明和電機のポスターを見て、これはぜひ観に行かなきゃと思った。

◯ナンセンスマシーン展
 あのイケてるおじさんは「土佐信道」さんであり、筑波大学で芸術を学んだそうだ。機械屋さんが、あまったパーツでおもしろいものを作っているわけではなさそうだということに、ここで気づく(すみません)。
 展示は、土佐信道さんの学生時代の作品から今に向かって進み、最後は我々も手に取れるオタマトーンなどのマスプロダクトについてで終わる。
 
 私の気持ちの変化
 チャカポコした感じとか、かっこいい人工声帯のマシンを見に来たつもりだけど、丁寧に学生時代から見せてくれるんだなあ。

 芸術科のひとの発想は私にはできないな…でもなんでそうなるのかがあるからそんなに突飛にはおもわないかも。そんな考え方なんだなあ。

 金魚をしめる映像「魚打棒」や偶然に任せて死に関わる展示「ウケーテル」などを見る(他にもあったけどそれがいちばん印象的だった)。死について強く意識する。生命=自分を理解するための作品群だと解説されていたが、私は”死”の方に気持ち・思考がひっぱられて生きるということや生命のありかた、そしてそれが自分に向く所までは考えられなかった。でも「グラフィッシュ」についてはそれほどショックを受けなかったのが不思議。これから死ぬものを見ることと、生きていたものの痕跡を見ることは、全然違う。だめなんじゃないかと思う気持ちは前者のほうが大きかった。でも解説では後者の残虐性について触れられていて、前者は?と思った。「弓魚(ゆみな)」のビジュアルがかっこよくて好き。

 私は妊娠がこわい。EDELWEISSシリーズはそういう意味でかなり覚悟したが、思っていたほど直接的なものはなかった。(卒業制作の妊婦マシンのほうがよっぽどこわかった。胸の膨らみの曲線がこわい。顔はよく見なかった。お腹に車のミニチュアがあるのもこわい。なんで子供じゃないんだろう、でもほんとに子宮の中の様子が創られていたらすごくこわい…)
 服をかけるとハチミツが服に染み出る「ハニーハンガー」について。服を脱いでハンガーにかける、(裸になる、)かけている時間が長いほどたくさんハチミツが染み込むということを連想して、セックスの隠喩だと思った。それ以外は、何を示しているのかよくわからなかった。ただ、メカメカしいものや金属でピカピカしたものはあまりなくて、白くて曲線的だなあと思った。なんとなく居心地が悪かった。「ニュートン銃」はちょうど私の目の高さに展示されていて、私にむかって発射されるわけではないのにドキっとした。
 「EDELWEISS PROGRAM」もあり、これを読めば展示について理解が深まるだろうと思ったが、気が進まなかった。忌避したい気持ちがあった。

 チャカポコ!チャカポコ!私のイメージしていた明和電機の展示に来た。現実世界に戻ったような、目が覚めたような気持ちになった。生演奏は、音の厚み・圧がすごくて踊りたかったけど我慢した。コスプレコーナーで遊ぶ。
 ボイスメカニクスシリーズの展示で、「セーモンズ」(人工声帯のマシンたち)が3体あり、それぞれかわいい名前(アン、ベティ、クララ)があることを知る。やっぱり女の子なんだなあ。
 呪術性については呪術廻戦が邪魔してあまりよくわからず。

 オタマトーンが出てきてホッとする。

◯おみやげ
 「魚コード(ナコード)」の青のストラップを買った。一緒に来てくれた彼は充電コードも欲しがっていたが、タイプCじゃないので断念していた。
 ステッカーもいただいた。札幌使用の明和電機のロゴでかわいい。スマホの裏に入れて自慢しようと思う。
 スシビート、高いけど欲しい。今日は完売していたのでどちらにせよ買えなかったが、いつか買いたい。
 明和電機作業着も欲しい。ナキシリーズの図鑑も欲しいなあ、でもきっと夜読んだら生と死をぐるぐる考えて眠れなくなるんだろうなあ。

◯まとめ
 まずは何より行って良かった!行かなかったら明和電機のことを機械屋さんの副業としてしか見ていなかっただろう。明るくて元気がもらえる音楽の裏にある、土佐さんの考えについて、どのように変化したのか論理的に組み立てられていて、わかりやすい展示だった。
 また生演奏を聞きたい。

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