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もしアイスリームだったら

たまたま正午過ぎに外出したところ
あまりの暑さに溶けるところだった。

わずか数分の喫茶店に向かうだけで
衣服が斑模様になるほど汗をかいた。

もしアイスクリームだったら末期だ。
今頃デロンデロンに溶けて終わりだ。

きっとチョコレートでもダメだった。
今頃は原型を忘れているに違いない。

かろうじで人間なので生きているが
油断すれば命取りになる暑さだった。

特に直射日光の横断歩道待機が辛い。
心地よく微風が吹き込むこともなく
体内に熱が籠もっていくのが分かる。

頭髪はじんわり湿り気を帯びていく。
マスクの内側で少しずつ頬も赤らむ。

汗が衣服に滲む恥ずかしさも忘れて
目的地手前のコンビニに立ち寄った。

大昔は長居できないほどの強冷房で
夏場の室内は羽織りが必須だったが
今では長居しなければ汗ばむほどの
弱弱しい室温に保たれているようで
変化のない店内を何周も何周もする。

何を買うでもなく汗が引くまで待つ。
この図々しさに露骨な老いを感じる。

昼食を買い求める人々で混雑する中
何か物色してるふうで買う気はない。
昔ならせめてガムでも買っていたが
最近はそれすらもしなくなっていた。

買い物するつもりで入店したものの
結局何も買わずに立ち去るならまだ
買い物する気もないというから酷い。

そこから数十歩の喫茶店に辿り着き
簡単な打ち合わせをひとつ済ませる。

サッと本題を済ませて昼休憩にする。
喫茶店には軽食しかないが仕方ない。
パッと食事を済ませてのんびりする。
昼時の喫茶店は人が多くてうるさい。

長時間居座るわけにもいかないので
適当なところで切り上げて帰宅する。

先程より強烈になった日差しが痛い。
ジリジリ皮膚が焼き付くのが分かる。

今年こそ夏を乗り切れる気がしない。
例外なく毎年同じことを考えている。

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