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STEPNのグロースストーリーと今後についての考察

皆さんこんにちは。Web3 news DAOの山口です。
記念すべき第一弾の記事は、現在特に日本で話題の「STEPN」というブロックチェーンゲーム(以下BCG)がテーマとなります。
本記事を読むことで以下を理解することができます。

  • STEPNの概要とその歴史

  • STEPNの成功の秘訣

  • GST/GMTの下落の原因と今後の展望について

また、私のTwitterでは最新のGameFi情報やweb3スタートアップ企業情報を毎日発信しています。
主戦場はTwitterですので、是非一度覗いてみてください。

STEPNとは?

STEPNとは、Find Satoshi Lab社が提供する「Move to Earn」を代表するBCGです。NFTスニーカーを購入し、移動する(歩くまたは走る)ことで稼ぐことができます。
ゲーム内では、SOLやBNBで購入したスニーカーを利用して決められた時間を移動することで、ゲーム内の独自通貨のGST(Green Satoshi Token)やGMT(Green Metaverse Token)を獲得することができます。

STEPNのグロースストーリー

Find Satoshi Lab社は2021年Jerry Huang氏とYawn Rong氏によってオーストラリアで共同創業されました。彼らのプロダクトであるSTEPNは2021年12月20日よりβ版がリリースされています。
創業当時は、自己資金でプロジェクトを進めていましたが、9月から資金調達を開始し、プロダクトがない状態で100人以上の投資家と話し、ピッチデック(投資家向けの資料)を40回以上修正し、3ヶ月間でSequoia Capitalなどから500万ドルのシードラウンドを成立させました。
リリース以降は大規模なマーケティング活動を行わずとも順調にユーザー数を伸ばし、リリースから半年強(2022年5月29日時点)でデイリーユーザー数は60万人を超える成長を遂げています。
また、CT analyticsによると、2022年第1四半期で198635.62SOL分(26815807.35ドル/約33億円)の利益を出しています。

なぜ成功したのか?

では、なぜSTEPNはこれまで暗号資産を触ったことのない日本人へ普及するほど成功したのでしょうか?その成功の要因を探っていきましょう。

成功要因その1:1ユーザー当たりの平均課金額の圧倒的な高さ

成功の要因の1つは、なんといっても既存のWeb2のゲームでは考えられないような金額の1ユーザー当たりの平均課金額(ARPU)でしょう。
STEPNと同様、日本で流行した「ウマ娘」とその差を比較してみましょう。

STEPNの2022年4月時のARPUは、
月間売上(※550億円)÷月間ユーザー数(230万人)≒2.4万円
一方でウマ娘の2021年4月時のARPUは、
月間売上(220億円)÷月間ユーザー数(800万人)≒2750円

※売上額はSTEPN公式の公表する利益から概算

このように、STEPNのARPUは圧倒的に高く、ARPUにしてウマ娘
と比較すると10倍近くの開きが生じています。

STEPNがこのような高いARPUを実現できているのは、ユーザーのアプリ利用の目的の違いが大きく関係します。
ウマ娘ではまず無料で始め、ゲームを楽しむことを目的に課金します。
一方でSTEPNでは、稼ぐことが目的であり、最初のスニーカー購入を利益を上げるための初期投資として捉えています。もちろんゲーム性がなければここまで大きなサービスになることがありませんが、それ以上にゲームをすることで稼ぐという「Play to Earn」の概念の有無がARPUの差を生んでいると考えられます。

成功要因その2:長期利用を促すゲーム性

もう1つの成功要因は、長期利用を促すためのゲーム性とゲームコンセプトが挙げられます。

つまり、初期投資額をどれだけ増やしても、稼ぐには一定期間が必要な仕組みを構築しています。
例えば、移動で稼ぐことができる時間は1日あたりの限度(エナジー)があり、無制限に稼ぐことができないようになっています。

これによってユーザーは数ヶ月かけてゲームをプレイする必要が生じ、長期的なエコシステムの形成が可能となります。

また、”移動して稼ぐ”というコンセプトは、日常生活の範囲内の活動で達成できるため、これまでBCG最大手であった「Axis Infinity」のように、1日に数時間のプレイが必要ないという手軽さも普及の要因と考えられます。

筆者がユーザーとして利用している所感

私自身もSTEPNを4月より開始しており、現在はアンコモン1足、コモン2足で運用しています。(※アンコモン、コモン:保持するスニーカーのレア度を表す)
現在は1日25分間のランニングで約40GST(5/29時点のGSTレートに換算して約8000円)の収益を生んでいる状態です。
これは、開始した時期と比較するとかなり低い水準のレートとなっているため、SolanaチェーンのDEXである「orca」にGSTとUSDCをステーキングすることで複利運用も行っています。

STEPNの現在

このように、月間1兆円以上を売り上げるSTEPNですが、スニーカー価格、GST価格、GMT価格が大幅に下落している状態です🚨
なぜこのような状況に陥ったのでしょうか?

下落の要因は以下3つが挙げられます。

下落要因その1:仮想通貨全体の盛り下がり

米国株価の下落とLUNAコインの暴落により、ビットコインは約30%の下落、イーサリアムは約40%の下落が起きています。その影響で各トークンの価格が下落しています。

下落要因その2:STEPNのBNB Smart Chain(BSC)への進出

STEPNは4月末よりこれまでのSolanaチェーン上だけでなく、BNB Smart Chain(BSC)上でのサービス提供を開始しました。
これは、Solanaチェーン上でのGSTとスニーカー価格を下げる原因となっています。
BSC側のGST価格が一時は5000円を超えるなどSolana側と比べて10倍以上のGST価格の差が生まれたりMint費用がスニーカーの販売価格と比べて圧倒的に安い状態が発生したことで、資産を持つSolanaユーザーはBSC上のスニーカー購入に走るようになりました。
Solana側でMintするユーザーが減少し、GST消費が減少した結果、GST価格・スニーカー価格の下落が起こっています。

下落要因その3:中国人ユーザーへのプレイ規制の発表

追い討ちをかけるように、5月27日には中国国内の規制への対応として中国本土内のアカウントへのサービス提供を7月15日に終了することを発表しました。
これにより、中国国内ユーザー内でのスニーカーの売り圧が強まり、スニーカー供給が増大したことによるスニーカー価格、トークン価格の下落が起こっています。(GMTは1日で41%の下落)
サービス提供が終了する7月頃までは、プレイ規制の影響を受け、売り圧が強まっている状態が続く可能性もあります。

今後の展望

では、良い時期も悪い時期も味わったSTEPNというアプリは今後どうなっていくのでしょうか?

公式からは、5月24日に第4のrealm(レルム)の募集開始の発表がありました。レルムとは、新しいチェーンのことを指し、このツイートからBSCに次ぐ第3のチェーンが決まっていること、さらに対応チェーンを拡大していく運営の方針が推察できます。

また、5月13日には公式Mediumでスニーカーのレンタル機能を実装予定であると発表しています。(Whitepaperでは9月実装を予定しています。)
レンタル機能実装はスニーカー需要を減少させるリスクがあり、価格崩壊のリスクもある機能ですが、先日のAMAにて運営より、需給バランスを崩さない形での機能実装のアイデアがあるとのことで、更なるユーザー数の拡大が想定されます。

最後に

ここまでSTEPNが成功できた理由、STEPNの現状と今後について見ていきました。
これからも「Move to Earn」の最初の成功事例として、サービスや運営の動きから目が離せませんね!

※本記事は投資を促す内容の記事ではありません。投資判断はあくまでも自己責任でお願い致します。

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