見出し画像

「1ヶ月10万円」で始める、少額・短期の検索広告セオリー

 みなさんこんにちわ。
マーケティングディレクター兼データサイエンティストのtohari.です。
最近「新しく検索広告を始めてみたい」といったご要望がよくあります。
BtoB、BtoCそれぞれあるのですが、「新しく商品・サービスを立ち上げた」「最近競合の広告をよく見かける」「今までのやり方では売り上げが頭打ちになってきた」など、きっかけは様々です。ですが基本的にどのクライアント様も「まずは小さく始めてみたい」とのご意向をお持ちです。
少額・短期で初めて広告出稿する場合、データも全くありませんし、例えばGoogleに機械学習してもらう時間もありません。ですが結論から言いますと、やり方次第では少なくとも次に繋げられるだけの成果はある程度の出せるとおもいます。
そこで「少額・短期で始めてみたい」とお考えの企業様に向け、今回は少額・短期の検索広告のポイント(Googleを想定)についてご紹介していきたいと思います。
tohari.のプロフィールサイトはこちら


少額予算のデメリット


まず最初に少額予算・短期配信だと何が問題なのか、共有しておきたいと思います。
一言で言えば、「データが溜まるスピードが遅い」ということ尽きます。

データの溜まるのが遅いと何が問題なのかと言いますと、今Google広告はAIによる機械学習がだいぶ発達していて、データが溜まることで、サイトアクセスやCVにつながりやすい検索行動を機会が予測して、効率的に広告配信してくれるようになっています。

少し前まではキーワードごとに1つずつ入札設定する必要があったのですが、そのような人手では非常に煩雑になってしまう細かな入札作業を全部自動でしてくれるのです。これが活用しきれないというのが最も大きな問題になります。

では、そのような場合どう対処していくべきなのか、そのやり方をご紹介していきます。


少額・短期の検索広告のポイントは「事前準備」にあり


これまでの経験で考えますと、広告予算は20-50万円くらい、期間は3ヶ月以上、というのが一番多いケースかと思います。
特に最近の検索広告はAIによる機械学習の精度も非常に高くなってきているので、データが溜まってくることで効果はどんどん高まっていきますので、ある程度長期的な運用が望ましいのは確かです。

ところが配信期間1ヶ月程度で予算も限られる場合、選択できる入札戦略も「クリック重視」に限られてしまいますし(CV重視も選択はできるがCVデータが少ない状態では意味がないので、実質クリック重視にならざるを得ない)、学習期間に1-2週間取られてしまいますので、機械学習に頼ってCVを期待するのかなり難しくなってきます。

そのため少額・短期の場合には、事前にターゲット・キーワードをしっかりと定め、狙い撃ちして当てに行くといったスタンスで配信プランを設計していく必要があります。


キーワード・ターゲットを絞り込むためのポイント「理想の検索行動の規定」


理想の検索行動とは、競合商品に対して最も優位性を出せる自社商品の特徴を定め、そのポイントを重視するユーザーが検索で使用するであろう検索語句と最も注目を惹きやすいと思われる広告文を特定することです。

さらには、そのユーザーがLPに到達した際、どのようなキャッチコピーや情報・コンテンツの流れがあるとそのままCVまで至りやすいかを規定してみる、ということです。
 
例えばある腸活サプリメントを例にとって考えたいと思います。

腸活食品・サプリメント市場はまさに激戦区と言っていいほど競合商品が多く存在します。
その中で後発である自社商品の最も優位性・差別性のあるポイントが、「ルミナコイド」という新しい成分の配合にあったとします。

この場合、ルミナコイド自体は新しい成分であるためまだその名称はほとんど認知されてはいませんが、理想とする検索行動における検索語句としては「腸活食品 ルミナコイド」と言ったワードが想定されます。

少なくともこのワードと似た言葉が検索語句として使用された場合には、できるだけ自社商品の広告が表示されたり、LPへ誘導できるように、キーワードのリストアップ、マッチタイプの選定、広告文の考案、さらにはLP上でのキャッチコピーやコンテンツなどを統合的に考えた、1つの広告モデルを描いてみることが大切です。
絶対に勝ちたいポイントは逃さない、ということです。
 
 ですが、多くの場合(その市場が激戦区であるほど)、自社商品の勝てるポイントはニッチになる可能性が高く、その分その検索語句を使用するユーザーの数も少ないことが想定されます。

そこでその次のステップとして、その理想的な検索行動の少しだけ外側にある検索行動を考えていきます。


「理想的な検索行動」を膨らませてみる


例えば上の例ですと、「ルミナコイド」と言ったワードはまだ認知がないので、直接その言葉ではなく、それに比較的関係の強いもう少し一般的な言葉を探す、と言った作業です。

「ルミナコイド」という言葉は、食物繊維の総称になります。またルミナコイドの大きな役割に「短鎖脂肪酸」という成分を体内で生成してくれるところにあります。

その辺の特徴を踏まえてもう少し一般的な検索語句を考えると「腸活食品 食物繊維」「腸活食品 短鎖脂肪酸」と言った検索語句がリストアップされてきます。
さらにこの言葉が検索語句として使用された場合の広告文にも「食物繊維」や「短鎖脂肪酸」と言ったワードを入れ込んで作ります。
 それでもまだ検索ボリュームが少なさそうな場合は、もう少し一般的な言葉で広げてみる、と言った流れになります。

ちなみに検索ボリュームや検索キーワードの標準的な単価についてはGoogle広告のキーワードプランナーというツールを使えば簡単に調べることができます。
 
このように、最も獲得したい検索行動を一番中心において、検索ボリュームと平均入札単価を見ながら、少しずつ配信範囲(キーワード)を広げていく配信プランにしていくことがお勧めです。


マッチタイプの設定


キーワードのマッチタイプ設定には、完全一致、フレーズ一致、部分一致の3種類があります。
マッチタイプの詳しい説明はここでは省きますが、この3種類のうち、少額配信の時にお勧めなのが、フレーズ一致か部分一致です。商品名などの固有名詞以外のワードは、基本フレーズ一致がいいと思います。

この時部分一致を選択してしまうと、CVにつながりにくい検索語句にも広告が表示され拾ってきてしまい、予算ロスが起こりやすくなりますので、ここも設定に注意が必要です。
 
 

その他の設定


その他の設定としては、配信エリア配信時間配信デバイスなどがあります。
ここも基本的にはできる限り絞り込んで配信をしていきます。

例えば配信時間では、BtoBの商材の場合、もちろん夜中に自宅などで調べられるケースもあるでしょうが、CVに至りやすい時間といった視点では、平日昼間の可能性が高いと仮説できるなら、その時間に絞り込んでいくことをお勧めします。その場合夜中の検索行動に機会ロスが生じますが、それでもCVにつながりやすい時間に限定することで、その時間内で予算が消化されるようにGoogleが考えて入札してくれますので、少ない予算で効果は高まりやすくなります。
 
配信デバイスに関しても同様で、例えば対象が主婦などの場合は、PCよりもモバイルを利用する割合が高いので、広告配信をモバイルに限定することで、その利用シーンにおいて少額予算でもできるだけ自社広告が配信されやすくなります。


まとめ


いかがでしたでしょうか。
AIによる自動入札が活用できない場合、基本的には人手で対応していくしかありません。

一般的な検索広告の場合、最初は広めに検索キーワードを設定し、運用の中で徐々に無駄なキーワードを除外しながら効果の高いものに絞り込んでいきます。このような形をとることで、最初に予想できなかった流入ワードなども取りこむことができます。
ですが、このような場合、予算や時間がある程度かかってきます。

それに対し少額・短期の場合は、一番CVにつながりやすいと思われる検索キーワードをまずは特定し、そこから検索ボリュームや平均入札単価を見ながら配信範囲を広げる形で最初の設定を行うことが重要で、通常とは全く逆にアプローチになります。

そのためにはその前提としての理想的な検索行動の規定作業が必要です。
この準備作業は、予算がある場合と比べて少し大変にはなりますが、予算が少なくても一定の成果を上げていくことができるはずです。

ちなみに少額・短期であっても、運用においてできるだけ無駄なワードは除外したり、LPのA/Bテストを行ったりなどは必要ですので、その辺は広告費の多寡にかかわらず実施いただくことをお勧めします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?