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マネージャーはリーダーであるべきか?

みなさんこんにちは。
マーケティングディレクター兼データサイエンティストのtohari.です。
ある企業でリーダーシップに関する講演をする機会がありましたので、その内容を公開させて頂こうかと思います。基本的にはマネージャー向けの講演だったのですが、若い人にとっても参考になる部分もあると思います。
 
講演のポイントは大きく3つです。

  • マネージャーはリーダーであるべきか?

  • リーダーに求められる資質や技能とは?

  • 日本人が目指すべきリーダーシップ像

 それでは早速ご紹介していきます。
 

リーダーとは?

皆さんはリーダーと聞いてどんな人を思い浮かべますか?

Googleで「世界のリーダー」と検索すると、政治家、企業家、宗教家、活動家など、性別・年代・個性もバラバラな本当にたくさんの人たちが出てきます。
 
それではリーダーシップとは何でしょうか?

これら全てリーダーシップと言えると思いますが、それではこのような素養・スキルを持った人はリーダーでしょうか?

Google検索で出てくる人達と照らし合わせてみると、確かにみなさん何かしらこのような素養・スキルを持っているように思いますが、リーダーにもいろいろなタイプがいますし、何か特定のスキルや素養でリーダーを語るのは難しいそうに思います。
 

リーダーの共通点

実は全てのリーダーが持つ共通点がたった1つだけあります。
どんなことかわかりますでしょうか?

感の良い方ならお気づきかもしれませんが、リーダーに共通するたった1つのこととは、素養でもスキルでもなく、
フォロワーがいること
なんです。 

「えっ」と思う方もいるかもしれませんが、そもそもリーダーは1人ではなれませんし、変化も起こせません。その一方、過去のリーダー達を見ても共通する素養やスキルは存在しません。つまりリーダーを説明する要件は、フォロワーの存在、たった1つということなんです。そしてどうすればフォロワーができるのか、という問いに明確な答えはありません。そこがリーダーを育てる、リーダーになることの難しいところです。

同時に、フォロワーというのは誰かに指示されてなるものではありませんので、リーダーも第3者の指示・命令によってなれるものではありません。
この点はマネージャーとは根本的に違っています。
 

リーダーとマネージャーの違い

ここで、リーダーとマネージャーの違いについて考えていきたいと思います。
上述したように、誰かからの指示・命令ではなれないリーダーに対し、誰か(例えば社長など)の指示がないとなれないマネージャーという大きな違いのほかに以下のような違いがあります。

簡単に言えば、マネージャーは縦の関係、リーダーは横の関係といえます。

リーダーとはその名の通り(ある方向に)リードする人のことですので、ビジョナリスト的な素養も必要になるのだろうと思いますし、同時にそのリードする過程において、統治や管理といった役割も担いますので、マネージャー的資質・スキルも必要になるはずです。
 
ここで「マネージャーはリーダーであるべきか」という問いについて考えていきますと、基本的には「リーダーであることが望ましい」という結論になるのではないかと思います。
 
ただし、上述したようにマネージャーは組織によって指名されてなるものですので、その人にフォロワーがついてくれるかは別問題です。つまり、部下はいるけどフォロワーはいないマネージャーというのが存在し得ます。少し寂しい状態かもしれませんが、それでも部下はいますので会社の求める方向に対してマネジメントはできるわけで、リーダーではなくてもマネージャーではある、という人も多いのではないかと思います。
日本企業にはよくあるパターンかもしれませんね。
 
そもそも日本人の思想や文化は「自分は1歩引いて相手を立てる」ことにあると思います。そのような見方をすると、これまで述べてきた皆を引っ張っていく存在としてのリーダー像というのは不得手な日本人が多いのかもしれません。では日本人にリーダーを求めるのは難しいかというと、日本人には日本人なりのリーダーシップの示し方があるのでは、というのが筆者の考えです。その辺りを一緒に考えていきたいと思います。
 
 

会社組織におけるリーダーシップとは?

ここからはわかりやすいように、会社組織に絞ってリーダーシップを考えていきたいと思います。

前述したように、リーダーシップにはいろいろな形があります。
どれも大切ですが、会社という組織において、リーダーが持つべき最も重要な素養・スキルは別のところにあると思います。

みなさんはどのような行動を取ると思いますか?
多くの人は、水や寝床に確保を最初に行うのではないでしょうか?
もちろんこのこともとても大切ですが、最初に行うべきことは別にあると考えます。

この無人島での行動のように、会社組織においてもリーダーがまず持っていなければならない素養やスキルは「目線の高さ」ではないかと思います。
 
さらに具体的に、実際の業務にありそうなケースでご説明します。
ここに上司と部下の2人の会話があります。

ここで上司は「問題がないのが問題」というわけですが、もうお分かりですよね?仕事において問題がない状況などないのです。目線1つで問題はいくらでも出てきます。

問題には大きく3つのレベルがあります。

マネージャーであれリーダーであれ、組織を束ねる人であれば、level3の問題設定ができる目線が必要なはずです。無人島のケースや納期遅れのクレーム対応のケースのように「目線の高さ」「全体を捉える視点」こそが、会社組織においてリーダー(マネージャー)が持つべき最も重要な素養・スキルではないかと思います。
 
 

日本人的リーダーシップ像(サーバントリーダーシップ論)

最後にリーダーシップ研究について少しお話ししていきます。
リーダーシップの研究は、リーダーの再現をテーマにだいぶ古くから世界中で行われてきています。

研究の第1段階は過去の偉人・リーダーの「資質」にその再現性の根拠を求めるものでしたが、結果としてどのリーダーにも共有するような資質は見つかりませんでした。

第2段階として行われたのが、行動の研究です。実際に人に与えている行動に着目した研究でしたが、こちらも過去のリーダーたちの置かれている立場が異なるため、リーダーになるための行動を特定するには至りませんでした。

そして第3段階では、状況に着目して状況ごとにどのようなリーダーシップが必要かを明らかにする研究が主流になってきています。そのような研究の中で様々なリーダーシップ論が出てきているのですが、筆者が注目しているものに「Servant Leadership(サーバントリーダーシップ)理論」というものがあります。

サーバントリーダーは、変革的リーダーシップのような圧倒的な先導力はないが、現代のスピードが早く将来が予測しづらい状況において、柔軟な対応力を発揮できると考えられているもので、終身雇用性が崩れ、組織形態の変化や〇〇ハラスメントなどの社会問題化の中で上司・部下の関係も大きく変わってきていることを踏まえて考えると、まさに現代にぴったりなリーダーシップ論ではないかと思います。

そしてサーバントリーダーに求められるものとして5つのスキルが挙げられていますが、これらはまさに日本人の気質にあったリーダーシップの示し方にように感じます。

もちろん、リーダーシップの出し方に1つの決まった規定はありませんので、その人の個性を出していけば良いと思いますが、「俺についてこい」的なリーダーシップが苦手な人にとっては、大きな1つの選択肢になると思います。そして意識することで「できるようになる(なりそう)」ということも、マネージャーとして任命された方が目指しやすいリーダーの形ではないかと思います。
 
 

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