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善光寺御開帳記念!高村光雲って? 仁王像と星取り法|長野県立美術館

4/4撮影

七年に一度の善光寺御開帳ですが、本日6/29(水)に閉幕となりました。

私も御開帳2日目に参拝し、写真レポnoteを書いているので、「善光寺って?御開帳って何?」という方はぜひチェックしてみてください。


あまりイイ外観の写真を撮っていなかった


長野市にある国宝 善光寺、そのお隣にあるのが長野県立美術館です。

今回は長野県立美術館の善光寺御開帳記念展覧会のレポnoteです。(6/26で終了)


善光寺さんと高村光雲(2022/4/2-6/26)


展覧会チラシ

御開帳記念の展覧会をやっているらしい……ということで見に行ったので、私は事前知識も何もなしの状態。チラシから見るに、仏像の何かかなぁと軽く入りました。

仏像の何かって、あんまり面白くないじゃないですか。

日本の歴史や美術が好きな人にとってはもちろん面白いし、ちゃんと学べば楽しくなるんですが……、西洋美術の展覧会の方が行きたくなりませんか?

私の好みもあると思うのですが、そもそも「仏像の何か」がよく分からない。あんまり知らない……だから興味がちょっと少ない。

しかし!

この高村光雲展は、なんか面白かった。「仏像の何か」というほど日本美術を知らない私でも楽しめた。それは何故かと言いますと……


AR技術を用いた仏像の立体的な再現


はい、AR!!!


こちら、長野県立美術館の公式Twitterです。写真見れますか?

2枚目の写真で、タブレットを持ち上げていると思うんですけれど、AR技術により会場内に実物大の仁王像が現れるんです!

ARって聞くと、見に行っちゃうよね!
私だけですか?実物大の○○を再現ってだけでワクワクしちゃうし、超面白い。


今回AR技術により見れるのが「実物大の仁王像」なのですが、それが善光寺仁王門の仁王像(阿形と吽形)です。


スマホで会場内のQRコードを読み取り、画面の指示に従うとめっちゃでかい像が画面内に出現しました。

ARなので、展覧会場内にもしも展示されていたらこんな感じなんだなぁと体感できます。仁王像の足と人間の足を比較したら、仁王像でかすぎて笑っちゃった。

ARで表示した仁王像の写真も撮影しました。(私的利用の範囲内で……とのことなので、載せられない……)

AR画像がダメなら本物を載せればいいじゃない。と撮影したのがこちら。


善光寺仁王門 阿形
善光寺仁王門 こっちが吽形

この日は暑すぎるし御開帳で賑わうし、歩いてまわるのが大変でした。さすがの混み具合。


善光寺の仁王像をつくった人は?


ARで遊んだ話はここまで。
「善光寺さんと高村光雲」という展覧会ですが、高村光雲って誰?

高村光雲(1852-1934年)は日本の仏師、彫刻家らしい。

代表作に、上野公園の「西郷隆盛像」や皇居の「楠公像」があるみたいです。顔写真をみると、ちっちゃい眼鏡とあごひげが特徴的。私が知らないだけで「巨匠」なんですね。

現在の善光寺の仁王像は、高村光雲米原雲海によって建立されたもの。

高村光雲は東京美術学校の教授でもあり、その後身の東京藝術大学大学院美術研究科保存修復彫刻研究室が、長年善光寺の仏像の調査・研究をしていました。

今回の善光寺御開帳に合わせて、研究成果として色々展示した……ということ。

高村光雲は善光寺の仁王像をつくった……と言えるのですが、善光寺って何度も火災で焼失してるんですよね。仁王像も同じく焼失。現在の仁王像は1918年に再建されたもの。高村光雲は今の仁王像をつくった人なんですね。


西洋彫刻技術 星取り法


仁王像をつくるために制作した雛形、スケッチや資料など……研究結果とともに展示されていたのですが、中でも興味深かったのが「星取り機」

星取り機は、西洋の石彫技術である「星取り法」のための道具。星取り機を使って機械的に、正確に原型の形を写し取る方法です。

こちらが分かりやすかったです。
原型を針の先でツンツンしながら、形をコピーするかんじ。本当にこんなふうにうまく写せるのかなぁ?


そもそもあのサイズの仁王像はどのように作られたのか?
研究から、「寄木造り」「星取り法」を掛け合わせてつくられたことがわかりました。

「寄木造り」は、仏像をたくさんのパーツ(木材)に分けて制作し組み立てて作り上げる手法。複数人による分業もできる。

仁王像の雛形は5cm角の角材を集めてつくられている。そして仁王像は、その4倍の20cm角の角材からなる。雛形はまず油土で制作されたあと、星取り法により木彫に写されたらしい。

仁王像の本制作では雛形をバラバラにして、それぞれのパーツを比例コンパスを使って4倍に拡大して制作したという。(ここでいう「比例コンパス」って「星取り法」のこと?)

高村光雲の弟子である米原雲海が、昔からの寄木造りと星取り法を掛け合わせていたとか。



星取り法は、こちらの研究成果報告書を参考にしました。

https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-15K20982/15K20982seika.pdf

雛形をつくったときだけでなく、4倍に拡大したときも星取り法でいいのかな?ここがよくわからなかった!

善光寺のサイトの説明によると、星取り法でイイみたい?



記念奉納作品《善光寺御開帳遠景圖》


会期のラストには、御開帳記念奉納作品が特別展示されていました。


山口晃氏による《善光寺御開帳遠景圖》

すごく細かい、緻密な絵。
善光寺とその周辺をおもしろい構図で描いている……。

4日間限定公開だったので貴重でした。
この制作には、一体どれほどの時間がかかったのでしょうか……?




仏像や日本美術がよく分からないしなぁ~と思っていたのですが、展覧会に行き、帰ってから自分でも調べてみると……意外とおもしろい!

星取り法が気に入りました。面白いなぁ。星取り法といえば、米原雲海ね。覚えておこう。


長野県立美術館は、次回「ジブリパークとジブリ展」が来ます。これも予約して行こうかな。


おわり



▽ 2022年善光寺御開帳

▽ 【マガジン】見てみてアートな世界

芸術関係のnoteを集めました。


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