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【シリーズ連載】:実録!絶対に諦めない「EVおうち充電」第2話 〜デマンド制御 前編〜

まずは、「ごめんなさい」

こんにちは。ユビ電株式会社の幅朝徳です。

前回の記事から、気づいたら半年も経過していました・・・。連載などと宣言しておいて、汗顔の至りでございます。本当に、ごめんなさい! と、いきなりの謝罪からのスタートです。

おかげさまで、前回の記事にはたくさんの反響を頂きました。やっぱりみなさん、機械式駐車場でのEV充電には興味大なんだなぁ、と再確認しました。

先月21日に、東京都環境局主催で実施された「マンションへの電気自動車(EV)用充電設備設置に関する無料相談会」でも、ご来場頂いた都内マンション理事の方々の多くが、この機械式駐車場へのEV充電設備の設置をご希望でした。やはり都内は機械駐が多いですね。

さて、第2話となる今回は、マンションやアパートへの「全区画設置」を推進するWeChargeならではの、旬のテーマをお届けします。

ずばり、EV充電の「デマンド制御」についてです。

EV充電に必要な「電気の容量」について

EV充電にご興味のあるみなさんなら、もうすでに、下記の記事はご覧になっていますよね?東京都杉並区にある、41区画の駐車場の全車室に、EV充電コンセントを設置された事例です。

全41区画への設置。充電コンセント1基の出力が定格で4kWなので、41区画となると、4kW ✕ 41基 = 164kW もの電気容量が必要になります。・・・といっても、電気設備に詳しくない方はあまりピンとこないですよね。

送配電網からマンションなどの施設に電力を引き込もうと思った場合、大きく分けて、低圧受電と高圧受電の2つに分類されます。低圧受電の最大容量は50kW。それ以上は高圧受電となり、キュービクルと呼ばれる結構大きな設備をマンションの敷地内に設置する必要が出てきます。低圧受電の場合は、引込柱と呼ばれる電柱を1本建てるだけでOKの場合がほとんどです。

「1需要場所1引込の原則」といって、1つのマンションには本来1つしか電気の引込ができないのですが、EV充電用であれば規制緩和による特別措置を活用することで、追加で「別引込」が可能になっています。この話題は詳しく話すと長くなるので、また別の機会に!

さて、話を戻します。つまり、41区画にそのまま41基のコンセントを設置してしまうと、164kWの電気容量が必要になるので、低圧受電の最大である50kWを超えてしまうため、大掛かりな設備が必要になってしまいます。

あれ?でも、このマンションには、キュービクルのような大規模な設備はなく、低圧受電用の小さな電柱があるだけです。どうしてでしょう?

低圧引込用の電柱(プレステージ杉並)

その答えは「デマンド制御」にあります。「充電制御」とか「輪番充電機能」と呼ぶこともあります。なんだか、難しそうですよね・・・?

安心して下さい。わかりやすく説明します。・・・実はボクも、最初はよく理解できなくて、社内の詳しい方に丁寧に説明してもらって、理解しました。

「同時充電数」という考え方

ここで登場するのが「同時充電」という考え方です。

想像してみて下さい。

41台のEVが、同時に充電する必要ってありますか?商業施設であれば、同時に充電したい人がいるかもしれないので全区画分の電気容量を確保する必要性は高いかもしれません。でも、マンションやアパートって、ほとんどのクルマは夜間、駐車場に停車されています。自動車って「みずからうごくクルマ」って書きますが、実は統計上、1日のうち23時間以上は停車されているんです。けっこう意外ですよね。

ということは、全台が同時に充電できなくても、一定数のEVが充電できれば、それを駅伝の「バトン」渡しのように、充電完了したEVから充電を待っているEVに順番に受け渡していくことで、朝になったらすべてのEVが満充電になっている状態を創り出せるのです。

充電をバトン渡しのように輪番で送っていく

日本人の自家用車の年間走行距離の平均は、8,000kmくらいと言われています。とすると、コンセントでの充電だと、年間充電時間は400時間くらいなので、1台あたり1日に充電が必要な時間は、たったの「1時間」となります。そう、一般的な日本人のカーライフであれば、コンセント充電でたった1時間充電するだけでOKなんです。

「えー、毎日充電するなんて面倒くさい!」って方も安心して下さい。週に7時間充電すればいいだけなので、1回2〜3時間の充電を、週2〜3回行うだけです。しかも、ガソリンスタンドのように出向いていって充電するのではなく、なんと自宅でいつの間にか充電できちゃうわけです。実はこれがEV(電気自動車)のいちばんの魅力といっても過言ではありません!

このような前提をもとに独自にシミュレーションを行った結果、WeChargeでは、全区画設置の場合でも、およそ1/4〜1/8の同時充電台数分の電力を確保できれば不自由なくすべてのEVオーナーが充電できることを突き止めました。駐車区画数が大規模になればなるほど、確率論的に同時充電台数は減らすことができます。

「でも、全区画分の電力を確保したほうが安心じゃん?」という方もいらっしゃいます。数区画分なら、そのとおりです。でも、数十とか数百という規模になってくると、その分だけ電気代の基本料金も上がってしまうため、EVの普及がまだこれから(つまりガソリン車のほうがまだ大半)という状況下では、受益者=EV充電したい方の負担がとてつもなく重くなってしまうというわけです。

WeChargeにはデマンド制御が「標準搭載」

WeChargeは、ムービングウィンドウという方式を用いたスマート充電を採用しています。その名のとおり「動く窓」です。同時充電台数分の「窓」が、充電完了するたびに、充電を待っているEVにリアルタイムにかつ自動的に動いていくイメージです。

これは、たくさんのEVが充電を必要としている状況で、多数のEVの充電を効率的に行うための方法で、充電が終了したEVを自動的に検知し、次の充電待機中のEVにバトンタッチしていきます。輪番充電と呼ぶこともあります。

しかも、WeChargeならこの「デマンド制御」を画一的なルールで提供するだけではなく、それぞれの環境下においてさまざまな要素を考慮しながらコンサルティングにより個別に設定することも可能なんです。

またWeChargeは、スマート分電盤、つまり、インターネットに常時接続されたインテリジェントな分電盤で「デマンド制御」を行っているので、工事を完了した後であっても、OTA(無線通信による遠隔データ送受信)により事後的なアップデートが可能なんです。まさにEVとおんなじ!そう、WeChargeはIoTサービスなんです。

どうですか? だんだん解ってきましたか?

えっ?「年間8,000kmの走行なんて、単なるウィークエンド・ドライバーじゃん!」ですって?「うちはドライブが趣味だから、もっとたくさん運転するから、デマンド制御されたら心配」?

なるほど、なるほど・・・。

その気持ち、よく解ります。なぜなら・・・

3年半前にEVに乗り換えてから、ドライブが快適かつ楽しすぎて、それまでのガソリン車時代には想像もしなかったくらい、たくさんドライブするようになったんです。

まだ3年半なのに、ボクのEVのODDメーター(総走行距離)は、なんと、64,596km!つまり、年間走行距離の平均は、約2万kmです。標準的な日本人の2倍以上ですね。

Teslaアプリに表示されたODDメータ

そんな人間がマンションにたくさん住んでいたら?ほんとうにデマンド制御は成立するの?

なんだか「実録レポート」っぽくなってきましたね。次回は、ボク自身の「ナマナマしいお話」をお届けしていきたいと思います。ある意味で、かなりショッキングなデータもお見せしますので、ご期待ください。


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この記事をお届けしたのは・・・

文: ユビ電株式会社 幅 朝徳

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