ゆん

言葉の企画2020 86番。 最終兵器な例の彼女。

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言葉の企画2020 86番。 最終兵器な例の彼女。

最近の記事

あの日、選ばれなかった君へ。あの日、選ばれなかった私へ。

阿部広太郎さんの「あの日、選ばれなかった君へ」を読んで 阿部さんは、過去の自分=「君」に語りかける。 「選ばれたい」と願っても、もがいても、選ばれなかった君。 打ちのめされた、苦い思い。遠回りにも見える選択。 しかし、その事実が、その時の選択が、未来の自分に意味を成すことを、阿部さんはそっと語りかける。 誰しも、「選ばれなかった」経験はあるだろう。 もちろん、私にもある。 水泳部の代表選考で、タッチの差で負けた小学4年生の私。 中学校受験で、第一志望に落ちた小学6年生の

    • 元気になるための旅

      「手術が必要です。でも大丈夫、一緒に頑張りましょう。」 担当医の先生は力強く言ってくれた。けれど、私は頷くことができなかった。 (上司に何て言おう。忙しい時期なのに、みんなに負担をかけてしまう。) 震える指で上司にメールすると、すぐに返事が来た。 「仕事のことは大丈夫。ずっと忙しかったから、神様が休暇をくれたんだね。元気になって、戻っておいで。」 その言葉に、視界がにじんだ。そうか、神様が休暇をくれたのか。 「これが神様のくれた休暇なら、この入院は元気になるための旅なんだ。

      • 北条政子と私

        田中泰延さんの書籍企画『書く術 〜働く君に伝えたい 調べて、書く技術〜』のライター募集に応募した原稿、残念ながら選考で落ちてしまったので、ここに載せておきます。 久しぶりにがっつり本を読んで、調べて、書いて、楽しかった~!! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  北条政子と聞いて思い出すのは、中学受験に向けた夏期講習だ。歴史を面白おかしく教えてくれることで有名な先生だった。 「北条政子は絶対入試に出るぞ。承久の乱の演説が有名だな。後鳥羽

        • 私たちはプロの仕事に支えられている。

          7月末に少しの期間入院した。 久しぶりの手術に緊張していると、看護師さんたちが自然な笑顔で励ましてくれる。 「だぁいじょうぶ、先生はプロ中のプロなんだから。」 「百戦錬磨だからね。目ぇつぶっててもできるわよ。」 一番ベテランであろう看護師さんは、目をつぶってメスで切るジェスチャーをした。 私が頷くと、看護師さんたちは「頑張ろうね~」と言いながらテキパキと準備を進めていく。 「動きに無駄がないですね。」 思わず声をかけると、 「私たちもプロだからねっ!」 「ね、目ぇつぶってて

        あの日、選ばれなかった君へ。あの日、選ばれなかった私へ。

          CMは給湯室で生まれた。

          第59回宣伝会議賞でCMゴールドをいただいた。 受賞してから有難いことに、いろいろな飲み会のお誘いをいただく。 コピーが好きな人たちと飲む酒の美味しさは格別だ。 たいてい開始1時間もすると、ほろ酔いを通り越して酩酊状態である。 そんな会が温まったころになると必ず、 「あのCMはどうやって生まれたんですか?」 「『させてる』の切り口をどうやって見つけたんですか?」 と聞いてくださる方がいる。 CMゴールドをいただいた身としては、「できるだけイイ感じに」「少しでも参考にして

          CMは給湯室で生まれた。

          戦うヒーローにも帰る場所がある

          2021年6月、一般社団法人 全国カラオケ事業者協会主催の「医療従事者の皆さまへの感謝と応援の気持ちが込められた手紙」という公募を見つけた。 コロナ禍で奮闘されている医療現場の皆さんに対する感謝の気持ちを手紙にしましょうという取り組み。 その瞬間、つい最近聞いた話を思い出した。 幼い姉妹と、その母親の話。 私はすぐにPCに向かった。 <看護師の妻をもつ友人の話> 電話の向こう、「ママ、頑張ってね」という声は震えてた。 まだ小さい娘たち。 本当なら今日は、娘の誕生日をショート

          戦うヒーローにも帰る場所がある

          それ、勝手な決めつけかもよ?

          2021年5月28日、阿部広太郎さんの「それ、勝手な決めつけかもよ?」が発売になる。 書籍に先んじて電子版が公開となった。 すぐにドキドキしながら読んだ。 読みながら、私は去年の出来事を思い出していた。 2020年4月7日の緊急事態宣言とともに、私たちの生活は一変した。 急に始まった在宅勤務、店という店が閉まり、イベントは軒並み中止になった。 連日不安なニュースしか流れず、テレビを見るのが嫌になった。 ヘアカラーメーカーの研究所に勤めている私たちにも大きな動揺が走った。

          それ、勝手な決めつけかもよ?

          旅立ちの日に。

          6月からずっと、この日に向けて走ってきた気がするし、明日からのために走ってきた気がする。 2020年12月12日。 言葉の企画2020最終日。 みなとみらいで、みんなと待合せたかったけれど、自分の仕事柄、それは選べなかった。 最初から最後までオンラインで参加。 もっと寂しいかと思ったけれど、会場のガヤガヤ感も、出発の日に合わせた企画も届いて、ぜんぜん寂しくなかった。 わたしも確実にみなとみらいに、BUKATSUDOにいた。 大好きな企画生のみんなと、ちゃんと会え

          旅立ちの日に。

          これからどんな言葉と生きていこうか。

          世の中には今、「言葉」が溢れている。 言葉の流行り廃りは年々スピードを増し、秒単位で拡散、更新していく言葉の渦の中で、1つひとつの言葉にかける重みは、少しずつ軽くなってきている気がする。 そんな中で出会ったのが、阿部 広太郎さんの「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」。 作者の阿部さんは、私たち読者に、こう問いかける。 「I love you」を今あなたはなんと訳しますか? 夏目漱石が「I love you」を「月が綺麗ですね。」と訳したと

          これからどんな言葉と生きていこうか。

          誰かの未来への入り口に立ち会うって、こんなにドキドキするんだ。

          言葉の企画2020も、今日を入れてあと2回。 「未来の自分を企画する」 企画生それぞれが、精いっぱいの自分の未来を1枚のPDFに込めてきた。 どの企画書も、これ以上ないくらい、光っている。 力強く宣言する人。 自分の揺れる心を素直に表す人。 穏やかなテイストの奥にキラリと意思が光る人。 今日を迎えるまで、何度も見直しているうちに、どれもみんな、大好きな企画書になった。 全員の企画意図を聞きたかった。 だからこそ、待ちに待ったグループディスカッション。 「そ

          誰かの未来への入り口に立ち会うって、こんなにドキドキするんだ。

          チームの企画は続いていく

          言葉の企画2020 第4回「チームの企画」でチームになった私たち。 初顔合わせの日のことは、今でもよく覚えています。 年齢も、住んでいる場所も、職業も、興味のあることも、みんなバラバラ。 でも、話し合う中で5人に共通した思いがありました。 「総選挙で選ばれた数人だけじゃなく、企画生全員の企画意図が知りたい。」 「きっと最終日もオンライン参加になる人がいて、企画生全員が集まるのは無理だろうな。でも、この繋がりが12月12日で終わっちゃったら寂しいよね。」 この共通の「2つの

          チームの企画は続いていく

          その記事は「叫んで」いた。

          言葉の企画2020 第5回の講義は、いつになく厳しい言葉が並んでいる、と思った。 阿部さんの口調はいつもどおり、とても穏やか。 それでも、その中にあるはっきりとある静かな叱責。 私に、私たちに足りないものって何だろう。 講義の間、メモを取りながらずっと考えていた。 講義の後、課題の記事全てを読み返した。 みんな、それぞれの大切な感情に名前を付けて、それぞれの思いを未来に繋げている。 「企画生に伝わるように、時間をかけて練って書いたんだろうなぁ。」 「この表現は

          その記事は「叫んで」いた。

          私は祖父母の愛を食べていた。

          寒い時期になると、祖父母が作ってくれた焼き芋のことを思い出す。 祖母が市場で選び抜いた芋を、仕事場の石油ストーブで朝からじっくりゆっくり焼く。 保育園から帰ると、祖父が軍手をして割ってくれる。 その金色の美しさ!そのねっちりとした甘さ! そして胸いっぱいに広がる、幸せな気持ち。 夢中で食べた、私の大好きなおやつだ。 私が小学校に上がる頃、祖父母は仕事を引退した。 それと同時に石油ストーブも姿を消し、焼き芋がおやつに出ることもなくなった。 代わりに、クッキーやチョコレートがお

          私は祖父母の愛を食べていた。

          その企画書に「企て」はあるか?

          言葉の企画4回目にして、初のチームでの企画書作成。 年も、性別も、職種も、所在地も、全部バラバラ。 なかなか予定が合わずに、「22時からオンラインミーティング」が基本な私たち。 話しているうちに日付を超えた日も、ちらほら。 眠い目をこすりながら意見出し合って、企画書の中身も体裁も、何度も何度も変わった。 話し合いはいつも熱を帯びていて、楽しかった。 提出締切日の朝3時。 企画書の提出は、みんな一緒に。 拍手とともに提出した。 「私たちのできるすべてをここに入

          その企画書に「企て」はあるか?

          あなたのいない、2年目の夏に。

          宣伝会議賞まであと1か月を切った。 宣伝会議賞の季節になると、お昼休みも休日も返上して、毎年ひーひー言いながらコピーを書いている。 特にお昼休みは、あなたと会議室2Aに籠って、毎日ああでもない、こうでもない、とペンを走らせてきた。 それは高校時代の夏の合宿のような、濃くて熱い時間。 あなたがいなくなって1年半。 初めて1人きりで走り抜けた去年の宣伝会議賞。 不安でいっぱいだったけれど、なんとか成果を出した。 そして、今年。 あなたのいない、2年目の夏。 この

          あなたのいない、2年目の夏に。

          名付けただけで、すっとココロが前を向く。

          言葉の企画3回目が、今まさに終わったところ。 熱いまま書き出します。 今回の課題、私にとって大きかったのは「言葉の企画2020に参加した理由にタイトルをつける」。 私の出したタイトルの1つ、「10年後、私の会社ありますか?」 このタイトルについて、阿部さんに伝わりましたラジオで、「本音がまだあるのでは?」と言われたこと、実はぐっさり刺さりました。 「あぁ、阿部さんに見透かされてる」と、少し怖いくらいに。 本当は最初、「私の会社、10年後にはつぶれます。」と書いてい

          名付けただけで、すっとココロが前を向く。