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ポジティブな雰囲気づくりのための問いかけ

まわりの人と上手に付き合うためには、オープンマインドで、お互いを尊重しつつ、言いたいことを言いあえる雰囲気を作ることが大事ではないかと思います。

しかし、これが難しいのも事実です。相手に否定的な感情を抱かせようとは思ってもいないのに、ふとした一言で相手を強張らせてしまったり、雰囲気を固くしてしまったり、といったことはありませんか?

私は、日々ちょっとした言葉遣いの難しさに直面しています。

問いかけのポイント

そうした問題意識のもと情報収集をしていたら、大谷佳子(2019)「対人援助の現場で使える 質問する技術便利帳」という素敵な本に出会いました。本書は、介護や福祉の専門家向けに問いかけの技術を解説した本ですが、専門家でなくても、参考になりそうな知見が多いように思いました。その中から、特に印象に残ったポイント3つを私なりの解釈を交えて紹介したいと思います。

(1)肯定表現を心がける

ポジティブな雰囲気作りのためには、肯定的な質問を行う必要があります。当たり前のようですが、意識して取り組まなければ難しいことです。

たとえば、よくあるNG例として、「何がわからないのですか?」「どうして上手くいかないのですか?」という表現があります。相手から、何か悩みや相談を受けたときに、つい発ししてしまう言葉ではないかと思います。

これらの質問は、「できない」「うまくいなかない」といった否定的な思考に相手を向かわせてしまう可能性があるようです。

「わかっていることは何でしょうか?」というように出来ていることに注目してもらったり、「どうしたらうまくいくと思いますか?」というような未来志向の問いかけを行うことで、相手の思考をポジティブに向かわせるのが有効でしょう。

また、本書ではコーピング・クエスチョンという手法も紹介されています。これは、困難な状況を抱えている人に、状況の否定的な側面ではなく、できていることなどの肯定的な側面に着目してもらうための問いかけです。たとえば、「そんなつらい状況の中でどうやってがんばってきたのですか?」「こんな大変な状況の中で、どうやってそれを成し遂げることができたのですか?」といった質問が挙げられます。

たとえ困難な状況でも、ものごとの肯定的な側面に着目するのが鍵になりそうです。

(2)主語を「人」ではなく「事柄」にする

「なぜ、○○なのですか?」「どうして、○○なのでしょうか?」といった問いかけを日常的に使う機会が多いかと思いますが、この「なぜ」「どうして」という言葉には相手を叱責するニュアンスが含まれているそうです。

親御さんが子供を叱るときに、「どうして、いつも言われないと勉強しないの!」といった表現が使われているのも、その例の一つでしょう。

この表現の主語は隠れていますが、「あなた」です。なので、自分が○○しなかった理由等のように否定的な思考モードに向かわせてしまう恐れがありそうです。

相手を叱責するニュアンスを和らげて、ほしい回答を得るためのヒントは、「事柄」に焦点を当てるのが有効なようです。

「○○の理由はどこにあるのでしょうか?」「✕✕にはどういった経緯があるのでしょうか?」といった、理由や経緯といった事柄を主語にする聞き方です。

こうした事柄に焦点を当てる聞き方は、相手に自分を客観視させて、冷静に行動を振り返ってもらうのにも有効ではないかと思いました。

(3)曖昧な聞き方を避ける

「最近、どうですか?」等といった曖昧な聞き方をすると、何をどう答えればよいかわからず、相手を警戒させてしまったり、萎縮させてしまったりすることがあるようです。自己表現が苦手な方の場合は、特に警戒心を抱かせてしまうかもしれません。こうしたアイスブレイキングのための質問は、相手が答えやすいように工夫するのが良さそうです。

たとえば、「最近、どうですか?」という表現に対しては、「前回お会いしてから、○○については変化がありましたか?」というように時間を限定してみたり、「いま、どこに住んでいますか?」といったようにトピックを限定してみたりということが考えられそうです。

家族や友人以外の少し距離がある人とアイスブレイキングの雑談をするときにも役立ちそうな方法ではないかと思いました。

まとめ

書籍「対人援助の現場で使える 質問する技術便利帳」で紹介されている問いかけの技術を、人との関係づくりにどう活かせそうかをまとめてみました。

本書では介護・福祉をはじめとする対人援助の専門家向けの内容のようですが、ほかにもたくさんの問いかけのノウハウが詰まっていて、おすすめです。

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