【リノベ備忘録】畳ができあがってしまった

ミズキさんにお願いしていた「次世代住宅ポイント」の書類は、あっという間に仕上げてくださった。
部屋から一歩も出ないビビりの私とは違い、フットワークの軽いミズキさんは、毎日チャキチャキ。元気いっぱいに車を運転してポップイン(アポなし訪問)で来られる。

田舎ってポップインありやねんな........部屋掃除してへん..........orz

とは言え、ミズキさんもお忙しいので、玄関先で立ち話でお帰りになったのだが、帰り際に「契約書がいるようだったら、また連絡して。」というセリフを残された。

は?契約書???

次世代住宅ポイントのページのD-1の申請プロセスのページを見てみると、たしかにあった。

「工事請負契約書」のコピー

が二重丸になってる。絶対必要なやつやん.........orz

もうやだ。またミズキさんにお願いしなきゃだ。私はすっかり、サッシ工事のお兄さんにお願いするものなのかと思ったのだが、工事を直接依頼したのは私じゃなくて、ミズキさんなのか......。あああ、もう面倒やな。

カナメが言う。

「そんなに面倒やったら、みんな申請とかしないんやろうな。そんなん、普通のおじいさんとか、一人でできへんやろ。」

ほんまそれや。

私「これ、コピーでええみたいやから、pdfで送っていただこうかなぁ。」

カナメ「それ、pdfに変換してくれって頼むのは酷やろ.......」

何言うてんねん。ミズキさんが最初にメールで送って来られた見積書には、各業者さんから集まった見積書のpdf変換されたものが添付されてたやんか。

私「まぁ、これは次のついでの時に頼んでみる。それまでにこちら側の書類を完璧に準備しておくわ。」

それにしても。お役所ってさー、すべての書類を手作業でチェックして、手作業で入力するわけでしょ。しかもそれって公務員さんが。つまり税金だよね。彼らの人件費は税金から出ているから。こんなしょうもない確認作業に、彼らの単価っていくらよ!

とか思っちゃったわ。エコポイントの交換ページを見ながら、大して欲しくもないモノのために、ミズキさんに書類を準備してもらってまで、何をやろうとしているのかわからないな、と思い始めた。でも、食品類は邪魔にならないから、頂くだけ頂いて、ミズキさんと山分けすればいいか、と思うことにした。でもエコポイントがもらえるのって夏頃になっちゃう?忘れちゃいそうだよなぁ。

そうこうしているうちに、ミズキさんから電話があった。畳が出来上がったので、業者さんが持ってきてくださるとのことだった。ポップインじゃないのか、さすがに(汗)。

お忙しいと聞いていたので、納品は来月くらいかなぁと思っていたのに、あっという間に仕上がってしまい、ビビりまくりである。さすがプロや。我が家の作業が全然進んでない。恥ずかしすぎる。畳の間の下地のところをホウキで掃いたくらいだ。やる気あるのか、オレ......

畳の表替えの依頼は、表の素材のグレードで決まるようで、カナメは最も安い素材でお願いしたらしい。まぁ住んでないからそれでいいんだけど。

ところが。

「これ裏返してみたらキレイでね。前に替えた時に良いモノ使ってたんやね。あの端のやつだけ形が違うから、もう新しいのにせんといかんかったんや。」

え?話が見えない。新しいのにしたの?裏返しにしたの?6枚のうち5枚が裏返しで、一枚が新品?素人すぎて質問もできずに話が進む。

私がいつも話すのは奥様の方で、ご主人がチャキチャキと作業をされているのだが、畳の位置を念入りに確認しているご主人を見て疑問が。

私「あの、もしかして位置って決まってます?」

奥様「そうそう。全部ね、決まってるのよ。畳を作る時にね、その部屋の大きさに合わせて作るんよ。」

私「ええええ、畳の大きさって標準で決まってますよね。っていうか、部屋のサイズも決まってますよね。あの端の部分(柱が出ていて、畳の形がイレギュラー)は、標準の畳じゃないっていうのはわかるんですが......」

奥様「それがね、全部違うのよ。その部屋に合わせて作るのよね。長いこと使うと、畳もそのお家によって生活が違うから、それぞれ凹む場所も違うでしょ。それで表と裏を返したり、畳表を変えたりすると、段差ができて。そこでつまずいたりしないように、高さをこうやって微調整しないとね。」

なるほど!どの世界にもプロのimplicit knowledge(暗黙知)がっ!

奥様「あとね、今はこの色なんだけど、例えば座布団を置いておくでしょ。そうすると、もう一週間でね、色が変わってくる。」

私「え、焼けちゃうんですか......?」

ご主人「そうそう。もう化粧は取ってるからね。取ったらもうすぐにね。」

は?化粧?え?なになに?

奥様「藁って一年間で一回しか収穫できないからね。収穫したら泥水につけておくのよ。つまり泥でお化粧しているようなモノなの。泥をつけたまま、編むところまでやるの。」

へ??

ご主人「それでお化粧をしている間は日に焼けないんだけど、落としたら、その瞬間から色は変わっていく。」

私「お化粧したままっていうわけにはいかないんですよね。」

ご主人「落ちてくるからね、掃除が大変。掃除機も痛むしね。だから仕方ないね。」

ひょえーーっ!!なんという人間の英知の詰まった天然素材の世界!!

私「あの、後継者さんはいらっしゃるんですか?」

奥様「それがね、いないんですよ。うちでおしまい。」

ご主人「娘しかおらんでな」

私「そうなんですか。お婿さんで継ぎたいって方はいらっしゃらなかったんですか?」

奥様「実はね、一度やっとったんよ。でも腰を痛めてしまって.......」

ご主人「まだ若いのに、体が大事や。そんなんなったらいかんから、やらんでええって言ってな。」

そうなのか.........。

奥様「家具を動かすんやったら、うちでやるけど。」

私「え、ええええ?大丈夫です。私たちでできるんで。でもそういうこともされるんですか?」

奥様「そうよ。家具があって動かせないから畳替えれんという方もいらっしゃるからねぇ。そういうこともせんとな。でも道具があるから、最初に持ち上げる時だけね。力がいるのは。」

私「それは、無償でってことですか?」

奥様「そう。でも畳を替えてもらわなね。」

色々と学ぶことが多いわー。

思わず、The MAKING「畳ができるまで」を動画で見ちゃった。泥水につけるのは出て来なかったけれど、一枚一枚微調整しながら作らないといけないということは分かった。

夕方、換気していた窓を閉めようと6階に上がると、部屋中にイグサの匂いが漂っていた。海外暮らしが長かったからか、少し感傷的になる自分に驚いた。
香りって、人間の本能的な部分をくすぐるよね。

なんか、子供の頃のことを思い出しちゃったよ。

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