見出し画像

ICT教育について語りたい

 我が家は2002年から2019年まで、4人の子供を連れて海外に住んでいたのだが、ちょうどその間、海外の学校教育の現場でインターネットに繋がったコンピュータが導入される過渡期と重なった。子供たちは、クラスにパソコンが数台設置されている状況から、ある学年の全員にラップトップが貸与されるテスト期間を経て、小学校から高校までの全学年にラップトップが配られる、または購入を義務化される環境から、日本の大学に進学することになった。

 そんな子供たちも全員が社会人となったのだが、帰国直後の日本のICT教育の遅れに衝撃を受けたようだ。ラップトップがないとエッセイ一つ書けるわけないと思っている彼らにとって、教育現場にPCを導入するのしないと、するとしたらどうやって導入するのだ、それを教えられる先生がいないから研修をせねば云々とドタバタしている日本の状況が、前近代的な光景に見えたはずだ。

 米国式教育の現場において、ICT教育の導入がサクッとすんなり行ったかというとそんなことはない。かなりのドタバタを経たのだが、それでもうまく行ったのは、「一人一台ラップトップを導入することについて、現場の先生方がその教育的価値を信じて疑わなかったから」に他ならない。

そのあたりのドタバタと、そのドタバタをどうやって現場の先生方は解決していったのかということを、その環境に子供を置いた一人の母親の視点でちょっとメモっておきたい。今現在、ICT教育を現場に取り入れようとしている先生方にとって、またはコンピュータやゲームを禁止したい親御さんにとって、何らかのヒントになればと思って書き進めることにした。

 ところで、私の自己紹介を。

アホ大に進学後、なぜか心理学の勉強に没頭してしまい、そこで触れたコンピュータのプログラミングにどハマりし、米国系コンピューターメーカーに就職。ホスト系のアプリケーションエンジニア(SE)として開発とシステム導入に携わった後、同じく米国系コンピューターメーカー(当時はベンチャー企業、その後大手に買収される)にSEとして転職。カナメの海外での仕事に付き添うために退職。子ども4人を相手に子育てに興じた後、豪州のIT&ビジネス系のGraduate Schoolを修了し、IT専門の実務翻訳家に転身。韓国のデジタル大学の韓方健康学科にて理学士、ITECアロマテラピーの資格を取得。香港では知識管理のCertificateも取得。

とにかくITと大学が大好きで、ICT教育については並々ならぬ関心を常に持ち続けているアラ還である。

実は日本におけるICT教育の研究は意外と古く、子ども達が小さい頃(1990年代)には既にMacintoshを使ったICT教育の試みはあったのだが、それが定着しなかった理由についてはよく分からない。私たちはその後海外に行ってしまったので、それからの日本国内の空白の20年については、本当によく分からないのだ。

そして、子ども達は米国系をはじめとする西側諸国の教育システムを経験することになったのだが、私たちが滞在していた国はどれも、その時期に急成長をとげた国ばかりであった。アジアからの移民がどっと押し寄せ始めた豪州アジア金融ハブとしてのキラキラの香港キャッシュレス決済とデジタル化最先端の国に上り詰めた韓国。特に韓国は、eSportsという単語のない時代からPCゲーム人口が多く、他の追随を許さないほどのトッププレイヤー輩出国となって久しい。

そんな国で幼少期、思春期を過ごした子供たちのICTスキルが、どのように学校教育の中で磨かれていったのかについて、このマガジンで少しずつ記しておこうと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?