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新たな門出に立って―setting out on a new journey―2024/02/11


師からいただいた花束。
においやかな花々の、なんと目に鮮やかなことか。
けれども嗚呼、時の移ろいとともに、これらは次第に色褪せてしまうのだろう。花の香を今のまま留めておくこともできない。十五になってから、生きるということは変化とその中で失われていくものがあることを受け入れていくことなのだとわかるようになった。
この町も少しずつ変化している。自分の内面が変化したからそう見えるというだけではない。
人々は出逢い、別れてゆく。
かつて彼らが足繁く通い、軽快な笑い声を響かせた場所に、今は人気もなく、冬の冷たい風が虚しく吹き抜けるのみだ。
私は来たる春にこの町を去り帰郷は十年後ほどになるだろうか。そのとき、私は何を思うのだろう。この町は私の知らないものへと姿を変えてしまうのだろうか。魯迅の『故郷』のような寂寥を、私は感ずるのだろうか。
どんなにこの町が変わり果て荒廃していたとしても、私は自分の故郷を見捨てずにいたい。人々の繋がりを取り戻す人でありたい。
学校を創設するという夢ができる前から、師は私の眼(まなこ)の奥を見据えて、度々言われた。
"You will be an educator someday"
"I'm sure you'll be teaching people when you grow up"
よい教育はよい人をつくる。
この町が、日本が、変われるとすれば手始めは教育だろう。
"When you establish your school, I'll help you with some things. I'll be a very old man until then, but I'll be waiting for you," he said.

いつかこの頁を開いて読むことがあるかもしれないので、師の言葉を忘れないように書き留めておく。
"Do not feel scared of being a lone wolf. A person who is alone, and is contented with it, is the strongest. And that is you. But do not hesitate to make friends, for even lone wolves make decent friends. Lone wolves only befriend with lone wolves."

今新たな門出に立つ私を、どのような未来が待ち受けているのだろうか。

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