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幻獣戦争 2章 2-4 英雄の役割⑥

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幻獣戦争 英雄の役割⑥

 俺は少しずつ間合いを図りながら横に移動。黒いオーガ型幻獣は死角にならないようにこちらに体を向け続ける。
 

……南無三!

 機体の推力を全開にして一気に間合いを詰め、袈裟懸けに長刀を振り下ろす!
 肩口に長刀の刃がめりこむ。

――いける!

 斬り伏せられる。と、確信した瞬間、黒いオーガ型幻獣は振りかぶっていた斧の柄を無理やりねじ込み、一撃を止めた。
 俺は構わず振りぬこうと機体の重心を黒いオーガ型幻獣に傾ける。しかし、黒いオーガ型幻獣はそれを許さず、斧の柄で俺を突き飛ばす!機体が無様に転び衝撃で動きが取れなくなる。

……くそっ、ここで死ぬわけにはいかん!

 俺は頭を振りながら機体をおこそうと試みる。しかし、それを待つほど黒いオーガ型幻獣は甘くなく、機体に近づき振り下ろそうと斧を構える――直後、黒いオーガ型幻獣の背中に爆発が生じる。

《――今です! 舞人!》

 応援に駆け付けた一樹の決死の怒号が無線越しに響く。 
 黒いオーガ型幻獣は、衝撃で態勢を崩し撃たれた方に振り向こうとするが、それを逃さす態勢を整えた俺は長刀を黒いオーガ型幻獣の胸部に突き刺す。

 黒いオーガ型幻獣は、振り向こうとししている不自然な格好のまま胸部を貫かれ霧散。
「間に合って良かった」
「ああ、絶好のタイミングだった。ありがとう」

 無線越しに言う一樹に俺は無線越しに礼を述べ、コックピットモニターに表示している戦域図を確認する。黒いオーガ型幻獣の撃破したことで、隠岐の島に残存してた幻獣も活動を止めたようだ。徐々に戦域図から消失を始めていた。どうやら黒いオーガ型幻獣は、隠岐の島全体を管轄していた指揮官タイプだったようだ。今回の作戦結果は次回の四国攻略の役に立つだろう。

 俺達は黒いオーガ型幻獣を撃破後、速やかに撤収。西ノ島に駐留している艦隊と合流し帰路についた。

 疲れ切っていた俺達は第一護衛艦隊群旗艦伊勢に帰投後、直ぐに自室のベッドに沈んだ。

 伊勢自室のベッドから目を覚ますと日付が翌日になっていた。俺はシャワーを浴び着替えを済ませ、堰口司令が居ると思われる艦橋へ向かう。
 艦橋に顔を出すと、晴天の青空を一緒に眺めている勇司と堰口司令が居た。伊勢の艦橋は日当たりが良く、航海士と数名の見張り員が警戒監視を行っている。

「事後処理はどうなった?」
 俺は艦橋中央に造られている司令席に居る二人に近づきそう問いかけた。
「おっ? 随分遅い出頭ですなぁ。英雄殿」
 俺の問いかけに勇司が振り向きニヤつき言う。
「お疲れ様でした。比良坂陸将」
 堰口司令も同じように振り向き微笑んで応じてくれた。

「疲れたんだよ。お前と違ってな」
「言ってろ。隠岐の島の事だが残存している主力部隊、中国地方防衛師団が居残り浄化作業を行うことで決した」
 俺は勇司の冷やかしに言い返すと、勇司は軽くそう返し簡単に報告してくれた。

「そうか。損害はどの程度でたんだ?」
「我々の損害は津波による被害で車両がいくつかダメになった程度以外なし、人的被害はゼロです」
 俺の問いに堰口司令が先に俺達第一戦闘師団の被害を報告してくれた。 

「主力部隊の方だが、黒い幻獣の攻撃で6割近く損害を出している。死者、負傷者の統計はまだでていない」
 続いて勇司が主力部隊の状況を報告してくれた。
「そうか……」
「そう気に病むな。主力部隊の連中は感謝していたぞ」
 俺を察してか勇司がそう言葉を添える。

 ここまでお読み頂きありがとうございます! 

次回に続く


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