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(連載小説)秘密の女子化社員養成所④ ~恥辱にまみれた研修初日~

強制的に女装をさせられ、「見習い女子を命じる」と書かれた辞令の下で「女子社員」としての長期研修生活をスタートした新研修生の5人は全員恥ずかしそうにうつむき加減で入所式が行われる大ホールへと入った。

するとホールに入った瞬間に大きな拍手で5人は出迎えられたのだがそれがかえって5人にとっては恥ずかしさを更に増す事になってしまっていた。

ただ前後は指導役の社員に、そして両脇は例の体格が良くて力の強い格闘技系部員の社員に固められているので逃げ出すことも出来ず、言われるがままに壇上に上がらされ、そこに並べてある椅子に座らされた。

壇上の最前列に5人は横一列に並んで座らされ、後ろに指導役と監視役の社員が座って睨みを利かしている。

ただホール中の視線は最前列の5人に集中し、会場のあちこちで「今回の新研修生ってどの子もかわいいわねー。」「ねえねえ、どの子が好み?。あたしは向かって一番右の子。」「あたしは真ん中の子かなー。」等とまるで品定めをするような目線で悠子たちを見てはわいわい感想を述べあっていた。

そうしているうちに幹部社員も会場に入ってきたので司会役の社員が「それでは全員お揃いになりましたので第5期の長期研修入所式をこれから行います。でははじめに三浦所長より皆さんにご挨拶をいただきます。」と言うと訪問着を着た女性がしずしずと歩いて社員と新研修生の前に立った。

「新研修生のみなさん、ようこそ小瀬戸島へ。私はこちらで総責任者兼この研修所の所長をさせて頂いております三浦 久美子(みうら くみこ)と申します。どうぞよろしく。」

そう名乗った上品な着物姿の三浦所長がスピーチをし、続いて鳥越人事部長が来賓代表としてスピーチをしていたが、壇上に居る悠子たちは畏まってスピーチを聞いてはいたものの、女子社員として女装を強いられ、そして大勢の人前にこの女装した姿を晒されている事もあり、その余りの恥ずかしさとこれからの研修生活への不安からスピーチはほとんど耳に入ってきていなかった。

二人のスピーチが終わると今度は「社員代表による歓迎のことば」と云う事で美容・医療部長の三上 弥生(みかみ やよい)が前に出てスピーチを始めたが悠子たち新研修生は先程までと同じくスピーチは耳に入ってきてはいなかった。

ただ「ここにいる女子社員の中には皆さんと同じくこの小瀬戸島に来てから男性から女性になり、そして厳しい女子化研修を経て今では立派な女子社員として再起して会社の戦力となったり、会社に貢献してくれている人材が多々います。ですのでこの女子化研修に選ばれて参加しているみなさんも先輩社員の指導の下でここでの研修プログラムをこなす事で必ず立派な女子社員になれると確信しています。」と云うくだりに目の前にいる大勢の女子社員の中に悠子たちと同じようにこの島に連れてこられ、無理やり女にさせられた「元男子」が先輩社員の中にも少なからずいる事を悟った。

そして一通り歓迎スピーチが終わると司会役の社員が「それでは今度は新研修生より自己紹介と”誓いのことば”を述べていただきます。まずは園田さん、立ちなさい。」と言い、穂波の名前が呼ばれた。

すると名前を呼ばれた穂波はすっとその場に立ち、差し出されたマイクを握ると「皆様はじめまして。大阪支店・製品管理課から参りました園田穂波と申します。私にとって女性として、そして女子社員としてこの長期研修に参加させて頂ける事は身に余る光栄でございます。研修期間中は皆様方にご指導を頂き、より女性らしくなれますよう頑張る次第ですので何卒よろしくお願い申し上げます。」と澱みなくはっきりとした口調で自己紹介を済ませた。

園田さんってこの状況の中でもちゃんと挨拶できるってすごい・・・・・と思っていると司会役の社員が「では園田さんに伺います。あなたは男ですか?、それとも女ですか?。」と問いかけると間髪を入れず「はい、私は女です。」と穂波は答えた。

その穂波の司会者との受け答えに悠子たち他の新研修生はまだこの研修所に来て数時間、しかも強制的に女装させられてからはもっと短い時間しか経ってないのに早くも完璧に近い感じで穂波の気持ちが女性化している事に驚いていると「では次に菊川さん、立ちなさい。」と今度は悠子の名前が呼ばれた。

「は、はい・・・・・。」といきなり自分の名前が呼ばれた事もあり、ややびっくりした感じで恐る恐る椅子から立ち上がった悠子に司会者が「では菊川さん、皆様に自己紹介をお願いします。」と促す。

女装させられているだけでも恥ずかしくてたまらないのにその上挨拶だなんて・・・・・と思っていたがマイクを渡され、こうなると何かしら言わないと後で「お仕置き」されるに違いない・・・・・と思った悠子はおもむろにマイクに向かって話し始めた。

「み、皆様・・・・・は、はじめまして・・・・・。新研修生の菊川、ゆ、悠子と申します。わ、私は・・・・・今日ここに来て初めてスカートを履き、また初めてメイクをして頂いた事もあってまだ女性の姿に全然慣れてないのですがこの長期研修を頑張りたいと思いますので、ど、どうぞよろしくお、お願い致します・・・・・。」

こう悠子がたどたどしくもなんとか言い終えると会場からは大きな拍手と「この菊川さんって子、初々しくてかわいいわねー。」「ほんとほんと。だけどこの子って”指導”のやり甲斐がありそうじゃない?。」等の声が聞こえてきた。

そして挨拶を終えて少しだけホッとしていると司会者が「では伺います。菊川さんは男ですか?、それとも女ですか?。」と先程の穂波の時と同じように聞いてきたので、悠子は一呼吸置いて「は、はい・・・・・。わ、わたしは・・・・・お、女です・・・・・。」とこの場の空気からしてとても男ですとは言えそうになく、仕方なくうつむき加減のまま恥ずかしそうに自分で自分の事を「女です」と言ったのだった。

「僕・・・・・自分で自分の事を”女です”って言っちゃった・・・・・。なんだかとっても恥ずかしい・・・・・。」

そう心の中でつぶやく悠太の横で他の新研修生たちも同じように自己紹介をし、そして司会者から男か女かと聞かれると誰もみな同じように仕方なく「わ、私は・・・・・お、女です・・・・・。」と恥ずかしそうに言っていたのだった。

そして全員の自己紹介が終わると今度は新研修生に何やらプリントが配られた。見ると「誓いのことば」と書かれてあり、何だろう、今度は何を言わされるのだろう?と思っていると司会者から再び立ち上がるように言われた.

立ち上がると「では新研修生のみなさんは今お渡ししたプリントに書かれてある”誓いのことば”を私の合図で読み上げて下さい。それでは、どうぞ。」と言われたので悠子はプリントに目を落として文章を読み始めた。

誓いのことば

今日、私たち新研修生はこの小瀬戸島に長期女子化研修の為にやって参りました。

社内外で色々とあった私たちにご温情やご厚意、そして女子化する事で再起へのチャンスを与えて下さった会社並びに関係者の皆様には感謝の気持ちで一杯です。

その温かいお気持ちに応えるべく、私たち新研修生は今日から新たな気持ちで皆様の期待に違わぬよう女子化に励み、立派な女子社員となる所存でございます。

私たちは女子化し、女性らしくなる為ならどんな厳しい研修にも耐えて参ります事をお誓い申し上げますので何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申致します。

と「女子化」と何度となく書かれていたフレーズに悠子は恐怖と不安で声を震わせながら渡された「誓いのことば」のプリントを読み上げ、同じように他の新研修生たちも概ね同じような反応をしながらプリントを読み上げたのだった。

もちろん女子化して女子社員になるだなんて事は悠子にとって本意ではないのだが、こうして大勢の面々を前に女になる事を誓わされて益々不安な気持ちが募ってしまっていた。

ただ自分がこうして無理やりに女子化させられると云うシチュエーションの中で不安感と同時になぜだか今まで味わったことのないドキドキ感を感じてしまっていた。

そして入所式は終わり、歓迎会を兼ねた夕食まで時間があるので悠太たち新研修生は一旦これから自分たちが研修中に寝泊まりする各自の部屋へと通され、そこでしばらく過ごす事となった。

もちろん指導役と監視役の社員はずっと付いてくるし、入所式が終わったからと言ってスカートを脱いだりできる訳でもないのだが、それでも部屋に入れば少しはゆっくりできそうだと云う気持ちでまだ慣れないハイヒールでよろよろ歩きながら部屋へと向かった。

「悠子ちゃんのお部屋はここよ。ささ、入って。」

そう麗子と遥香に言われ、部屋に入った悠子は絶句していた。

「えっ・・・・・なんなんだこの部屋は・・・・・。」

そこはピンク色を基調とした何もかもが女性が好むような内装やインテリアの部屋だった。
また大きめのクローゼットやドレッサーが2つずつ備え付けられているこの部屋の中央には何故かダブルベッドとシングルベッドが1つずつ並んで置かれてある。

「ここがこれから悠子ちゃんが半年間あたしと二人で一緒に暮らすお部屋よ。どう?。」

そう遥香に言われたのだが、確か事前の説明では研修所での各自の部屋は個室と聞いていたのになんで二人部屋なんだろう?と思ったので聞いてみた。

「あら?、ここも個室よ。”二人用個室”だけどいいでしょ?。それに新研修生は悠子ちゃんだけでなくてみんな指導役の先輩社員と同じ二人部屋なのよ。」

と言われ、確かに「二人用」であっても「個室」には間違いなく、ただてっきり一人部屋だとばかり思っていたその気持ちを口や態度に出すと「わたしと同じ部屋になるのが気に入らないの?。」とばかりにお仕置きをされそうだったのでぐっと堪えた。

元々慣例としてこの研修所では指導の為と言う名目で新研修生と年齢やキャリアの近い先輩社員、それも元々は男子だったがここで研修を経て女子化した社員と同じ部屋があてがわれる事になっていた。

遥香も半年前にここにやってきた時はやはり女子化した指導役の先輩社員とこの部屋で同室となり、その先輩社員が今回の秋の異動でこの島を出た事もあって今度は遥香がそのままこの同じ部屋で指導役として悠子を迎え入れたのだった。

しかし部屋の異様さもさることながら今日東京から着てきて脱がされた男物の洋服や靴、それに持参したキャリーバッグや事前に送っておいた自分の荷物がどこにもない。

「あの・・・・・わたしの荷物はどこにあるんでしょうか?・・・・・。」

「ああ、事前に送ってこられた荷物は届いてるし、今日持ってきたり着てきた分も含めて一応預かってるけど全部男物ばっかりだったから女になった悠子ちゃんにはもう要らないでしょ?。そのうち捨てとくね。」

そんな自分の荷物をさも当たり前のように「女になってもう要らないから捨てとくね。」と遥香に軽く言われ、悠子はまた絶句するしかなかった。

そしてメイド服を着た社員が書類を持って部屋に来たので見てみると書類と一緒に悠子のスマホを持ってきている。

そうだスマホもあったんだ、さすがにこれは没収したり捨てたりはしないだろうと思っていると書類とスマホを受け取った麗子が悠子に「ねえ、スマホのパスワード教えてくれない?。」と言ってくるではないか。

「え・・・・・パスワードですか?。さすがにそれはちょっと・・・・・。」

そう悠子が躊躇しながら言うと麗子はツカツカと近寄り「え?なに??、あたしにパスワードを教えられない訳?。」と威圧的に言い、そして「ここではね、見習い女子のうちはスマホを自分で操作するのは禁止なの。電話もメールもSNSもき・ん・し。」と言う。

「え・・・・・スマホ触ったらいけないんですか・・・・・。」

「そうよ、事前の説明で研修所に来たら離島なんで電波が届きにくいのと研修であれこれカリキュラムがあって忙しいから連絡が取りにくくなるんで親しい人やフォロワーにはそう言っときなさいって言われてたでしょ?。」

確かに研修所では電波が届きにくいとか忙しくてなかなかスマホを見る時間も少なくなりそうだと云う事は事前に聞かされていたがまさか自分で自分のスマホを触る事ができなくなるとは思ってもみなかった。

ただ実際は携帯電話の基地局がこの島にあるので電波が届きにくいと云う事はなく、本当の理由はここで研修と称して女子化をはじめとした色んな事が行われていると云うのを外部に漏らさせないようスマホの利用を制限する為だった。

そして悠子がパスワードを教えるのを躊躇したままでいると「こら!麗子お姉様がパスワードを教えなさいっておっしゃってるのが聞こえないの?。言う事が聞けないんならこうしてやるわ!。」とジャージ姿の格闘技系部員が悠子を羽交い絞めにしてグイグイと締め上げ始めた。

「い、痛っ!、や、やめてください・・・・・言いますから・・・・・。パスワードは・・・・・。」

痛みに耐えかねた悠子が仕方なくパスワードを教えると、麗子がそのパスワードをスマホに打ち込んでロックを解除したかと思うと更に操作を続け、なんとパスワードを勝手に変更してしまった。
何件かLINEが来ていたりとか電話の着信とかついてる分に関しては”長期研修で島に来て電波の状態が悪いのと忙しいので返信したり電話に出るのがしばらく難しいです”と麗子は悠子になりすまして返信メッセージを送った。

「これで悠子ちゃんのスマホはあたしたちの許可無しでは勝手に使えなくなっちゃったから。ま、時々誰からメールやLINE来てるかぐらいは見せてあげるけど返信は悠子ちゃんに成り代わってあたしか遥香がさっきみたいに当たり障りの無い感じでやっとくから。うふふ。」

そんなひどすぎる・・・・・何も秘密を暴露したり悪口をSNS上に書き込んだりする訳でなくて普通に知りたいことを検索するのはもちろん、友達と連絡したりSNSのタイムラインを見るのでさえ自由にできないだなんて一体なんで?・・・・・。
そう絶句はおろか落胆して言葉も出ない悠子にお構いなく今度は麗子がメイドの持ってきた書類を手にし、一通り読んでサインをするように求めてきた。

渡された「長期女子化研修 重要事項説明書」と書かれたA4のプリントにはこの長期研修の目的や意義、また滞在中の注意事項や禁止事項があれこれと書かれていた。

言われて書類に一通り目を通してはいたが先程からの色んな事もあって書かれている事は全部が全部頭に入る訳も無く、うわの空で文字を追っていた悠子だったが「読んだ?。じゃあこの最後の欄にサインして。」と麗子に言われその「最後の欄」に目を移すと署名欄の横には「性別」と云う欄があって「女・男」と書かれ、その下には「印1」と「印2」と印鑑を2つ押すようになっていた。

「まず署名欄には当然さっき付けてもらった女性名を書いて、性別のところは悠子ちゃんはもう女になったんだから当然”女”に丸をしなさいね。」

そう言われ渡された書類の署名欄に「菊川 悠子」とサインし、性別欄の「女」に丸をした悠子だったが「あの、その下の“印1”と”印2”って印鑑を2つ押すんでしょうか?。」と聞いてみるとその答えはびっくりするものだった。

「ああそれね、まず印1には認印か拇印を押して、印2の方にはキスマークをつけるのよ。」

と麗子はさらりと答えたが拇印はいいとしても書類に印鑑の代わりとしてそれもキスマークを、と聞かされた悠子はまたまた驚くしかなかった。

でもここでも逆らったり嫌な素振りを見せる訳にもいかず、悠子はしぶしぶ「印1」に拇印を押し、書類を置いた机にキスするように「印2」の上あたりへ口紅の塗られた自分の唇を重ね合わせてキスマークをつけた。

そしてキスマークのついた書類を麗子に渡すと今度は麗子と遥香がその書類の下の方にある「立会人」と書かれた欄に同じようにサインをして「女」のところに〇をすると、おもむろに二人とも「印1」に拇印を押し、「印2」にキスマークを付けた。

3つのキスマークがついたその書類はなんとも艶めかしく、そして悠子にとっては書類に付いているキスマークを見る事で自分の唇に口紅を塗ったりメイクをされて、女の顔になっている事を再認識させられたのだった。

「じゃあそろそろ歓迎夕食会の時間だからお着替えしましょうか。遥香ちゃん手伝ってくれる?。」と麗子に言われた遥香はクローゼットを開けて洋服を選びはじめた。

「今日の夕食会のドレスコードは確か”スマートカジュアル”でしたよねっ。悠子ちゃんに似合いそうな今日の夕食会にぴったりのちょっぴりよそ行き風でかわいらしくて女の子らしいお洋服を選んじゃいますね!。」と遥香は何やら楽しそうにあれこれと洋服を手にとって見ている。

そして遥香が「うん、これにしますね!。じゃあ悠子ちゃん、着替えるわよ。」と言いながら持ってきたのはピンク色のレースのワンピースでフリルも沢山付いているフェミニンなデザインのものだった。

今度はこれを着させられるのか・・・・・と悩ましげにしている悠子に「何してるの?。悠子ちゃんはもう女になったんだし、あたしたちは女どうしなんだからここでお互い下着姿になって別の洋服に着替えるくらい何も恥ずかしがる事なんかないわ。さっさと着替えなさい。」と麗子も遥香も促すようにこのフェミニンなワンピースへの着替えを迫る。

悠子がぐずぐずしているともう待てないとばかりに着ているOL制服を脱がしはじめ、あっと言う間に上はブラジャーとキャミソール、下はパンティ・ガードルに黒のストッキングを重ね履きと云う下着姿にすると有無を言わせずさっき選んだピンクのワンピースに袖を通させ、後ろのホックを留めてジッパーを上げ、同色のボレロを羽織らせた。そしてリボンを形どったバレッタをウィッグに付け、大ぶりのイヤリングを耳たぶに挟んだ。

「よし、お着替え終了ねー。まあー!OL制服も似合ってたけどこのワンピも似合うわねー。ほら、お着替えした自分の姿を見てみなさい。」と言われながら悠子は部屋に置いてある姿見の前に連れて行かれ、着替えの終わった自分の姿を見さされるとそこにはよそ行きのフェミニンな洋服を着ておしゃれした感のある「年頃の女子」が映っていた。

そして麗子が「あら、さっき書類にキスをしたから口紅が剥げてる。これじゃあみっともないからお化粧直しをしなくちゃね。遥香ちゃん、やってあげて。」と言い、言われた遥香は素早く慣れた手つきでドレッサーに置いてあった口紅のうちの1本を取り、紅筆を手に持って悠子の唇に塗り始めた。

「悠子ちゃん、これはね麗子お姉様があたしの女子化研修終了と昇進のお祝いで下さったものなの。お姉様はこれがお気にいりでよく使ってらして、今あたしとお姉様が付けてる口紅と同じものなのよ。だから悠子ちゃんにあたしたちとおんなじこの口紅を塗ってあなたをあたしたちと同じ女の色に染めてあ・げ・る。うふふ・・・・・。」

そう言いながら遥香に口紅を塗られ、再度鏡で化粧直しを終えた自分の顔だけでなく、そこには自分と同じ色の口紅を塗った遥香や麗子が後ろに映ってこちらを見ている。

「きゃー!、悠子ちゃんたらこの色の口紅もかわいいしお洋服にも合ってるわー!。じゃあ遥香にちゃんとお礼を言いなさい!。」

そう言われた悠子は「は、はい・・・・・お化粧を直して頂いてその上お姉様方と同じ口紅でわたしをお二人と同じ女の色に染めていただきありがとうございます・・・・・。」と恥ずかしそうに言わされるのだった。

そして麗子も遥香も同じように今日これからのドレスコードに合うよそ行きのワンピースに着替え、メイクを直し終えると3人は部屋を出た。

会場へ向かっている途中に麗子が「そうそう、その前にお手洗いを済ませておきましょうか。」と言い、女子トイレに入ろうとする。

悠子もたまたま尿意を催していた事もあってちょうどトイレに行きたいところではあったが、女子トイレに入るのはためらっていた。

するとそれを見た麗子が「悠子ちゃん何してるの?。お手洗いを済ませておきましょうって言ったでしょ。」と言う。

「で、でも・・・・・ここは女子トイレですから・・・・・。」

そう言った瞬間、麗子の表情がいきなり険しくなり「は?何言ってるの?。悠子ちゃんは女でしょ?。なんで女の悠子ちゃんが女子トイレに入ったらダメなの?。ほら!さっさとここで用を足しなさい!。」ときつい口調で言われた。

そしてそのやりとりを横で見ていた遥香が「そうよ悠子ちゃん、お姉様の言う通りここでおトイレ済ませましょ。大体ここは男子禁制だから男子トイレなんて無いの。あってもユニバーサルトイレが来客用に何個かあるだけ。」と事もなげに言い手をひっぱって女子トイレの中に悠子を連れ込んだ。

男子トイレが元から設置されていないと云うのにも驚いたし、当たり前ながら悠子にとっては初めて入る女子トイレと云う事もあってモジモジしていると、ここでもまた麗子が耳を疑うような事を遥香に指示する。

「遥香ちゃん、悠子ちゃんは多分初めて女子トイレで用を足すんだと思うから女の子のオシッコの仕方を教えてあげなさい。」

「はい、かしこまりましたお姉様。じゃあ悠子ちゃん、あたしが見ててあげるからそこに入ってしゃがみなさい。」

「は、はい・・・・・。」

悠子はこうして麗子と遥香が見ている前で「指導」の名の下にトイレの個室の戸を開けたまま用を足す事を強いられた。

「まずはワンピースのスカートの部分をめくってどちらかの手で裾を持ってもう片方の手でストッキング、ガードル、パンティをずらすの。そう、そんな感じね。」

そして二人の目の前でお尻を丸出しにして便座に座ると今度は股間の「竿」を持って便器の下に向けるように言われ、やっとそれで用を足し始めた。

「どう?悠子ちゃんは女になったんだからこれからはずっと座ってオシッコするのよ。だって女の子が立ってオシッコするだなんて変でしょ?。いい?。」

「は、はい・・・・・わたし・・・・・これからも毎回座ってオシッコします・・・・・。」

そうお尻をあらわにしながら用を足す姿を麗子と遥香に見られると云う大変恥ずかしい気持ちと体勢の中、悠子はそう言ったのだった。

「もうなんで男の僕が女子制服やワンピースを着せられてメイクもされ、女の名前を付けられて女として振る舞う様に言われてその上スマホまで取り上げられたり私物を勝手に捨てとくなんて・・・・・。どうして研修のはずがここまで恥ずかしい事ばかりさせられるんだ・・・・・。」と悠子の心の中は忸怩たる思いで一杯だった。

ただこの恥辱にまみれた研修初日はこれでまだ終わっていなかった。

(つづく)








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