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【インタビュー】ヘルパー制度を利用して育児支援を受けるまでの経緯 -ぽいさんの場合-

※今回、ぽいさんご本人より、体験談を寄稿していただきました。


「障害者自立支援法上の居宅介護(家事援助)等の業務に含まれる『育児支援』について」をこの記事内では「ヘルパー制度を利用して育児支援を受ける」と表現します。

 利用者である素人が書いているので、知識がある方が読めば穴だらけだと思いますが、体験談として読んでください。

この記事を書いている人

名前:ぽい
二分脊椎による両下肢麻痺、膀胱直腸障害、身体障害者手帳2級、簡易型電動車椅子で生活
夫は朝早く夜遅い不定休の仕事で日々の育児には参加が難しい
自動車免許は持っているが、諸事情で外出時の移動は車椅子で自走か公共交通機関やタクシーを利用

※今回の話は、親に障害や疾病があり(福祉サービス支援対象)、子は健常(福祉サービス支援対象外)で子どものお世話のサポートを親がヘルパーさんに依頼する場合です。
 お子さんが福祉サービス支援対象者である場合の、お子さんの移動支援や生活上のケアに入ってもらうこととはまた別のお話になります。


娘を保育園に入れてヘルパー制度を利用しようと思ったきっかけ


 娘が生まれたときは3歳になるまで自宅で育てようと考えていました。
しかし娘が1歳になる頃、自宅でのワンオペ育児に限界を感じ保育園に入れることを決意しました。

その時たまたまTwitterでAbemaTV「AbemaPrime」で以下の番組を見て、保育園の通園にヘルパーさんに付いて来てもらえると知りました。
それまで一人暮らしの経験もあり家に人を上げる事に抵抗があった為、ヘルパー制度は利用してこなかったけれど、背に腹はかえられず利用を考え始めました。

https://times.abema.tv/articles/-/7015392

※2023年6月現在もAmazonアプリで視聴可能

 

 たまたま自宅から徒歩でいける距離に保育園が一軒あったので、そこに入れたいと思いました。

 役所に申し込みに行く前に保育園を見学しました。
 入園した場合の送り迎え、朝夕の教室内でのお支度をどうするか等を話し合いました。役所に申し込みに行った際には、夫は普段送迎出来ず、ヘルパー制度を利用する予定である旨を伝えました。
 特別何かを聞かれる事はありませんでした。他の保育園は通園が難しいので第一志望のみ書きました。

 新年度から入園の枠に申し込んだので利用決定が降りるまでは数ヶ月あり、その期間中にヘルパーさん探しを始めました。

相談支援機関に繋がるまで

 ヘルパー制度に関して何も知識がなかったので、何をどうすればいいのか全くわかりませんでした。ネットで色々探し、住んでいる自治体のWebサイトで基本相談支援・地域相談支援を行っている、「障害者基幹相談支援センター」という支援窓口があることを知りました。

 厚生労働省のWebサイトで各市町村にある基幹相談支援センターの一覧をPDFで確認できます。

https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001079710.pdf

Google検索等で「基幹相談支援センター 厚生労働省」と検索すると色々な資料が出てきます。

 その支援センターに娘の保育園の送迎にヘルパー制度を利用したいがどうすればいいか相談しました。今までの生活や今後の生活の希望を聞き取りのために家庭訪問をしていただき、計画相談支援をしている事業所を紹介してもらい、担当の相談支援専門員さんと繋がれました。

 相談支援専門員さんは障害福祉版のケアマネージャーさんです。(知識不足故にざっくりした表現でごめんなさい)

 私の住んでいる自治体では、ヘルパー制度の利用には「障害福祉サービス受給者証」が必要なので、相談支援専門員さんに申請に必要な「サービス等利用計画案」の作成依頼をしました。
 その後、なんやかんやあり(専門的な事がわからないのでごめんなさい)障害支援区分の認定が行われ、受給者証の支給が決定しました。

ヘルパー派遣事業所と繋がるのはここからです。

※ここまではあくまで私の場合で、相談員さんへ繋がるまで・ヘルパーさんを見つけるまでの道のりは多岐に渡ります。私は現在の状況に至るまで自分で役所で手続きは一切しませんでした。すべて相談支援専門員さんが代行してくださいました。これもケースバイケースかと思います。

ヘルパー派遣事業所と繋がるまで


 ヘルパーさんにケアをお願いする方法も様々ですが、私はヘルパー派遣事業所と契約し、ヘルパーさんにケアをお願いする方法をとりました。

 ヘルパー派遣事業所も相談支援専門員さんに探してもらい、ケア内容やケアに入ってもらう日程を交渉してもらいました。

 保育園入園ギリギリまで受け入れてくれるヘルパー派遣事業所が見つかりませんでしたが、最終的には2カ所の事業所と契約しました。

 最初は理想的な時間帯・曜日にケアに入ってもらえずヤキモキし、ヘルパーさんに来てもらう生活に慣れず大変なこともありましたが、現在は信頼関係もできてケアにも安定して入ってもらえ、よい関係を保てていると感じます。

私がヘルパー制度で育児支援をスムーズに依頼できたポイントは?


・「障害者基幹相談支援センター」「計画相談支援事業所」に理解と知識がある職員さんがいた
・「サービス等利用計画案」の作成時に育児支援(具体的には「保育園の送迎サポートをしてもらいたい」)を計画に入れてもらった
・近くに支援をしてくれる身内(両親、きょうだい、親戚、友人、知人)がいなかったこと
・最初から育児支援対応可能なヘルパー派遣事業所を探したこと(育児支援専門のヘルパー派遣事業所は無いと思いますが…)
・自分の生活状況の説明やどんな育児支援を依頼するのかを客観的かつ具体的に相談する

以上がポイントかなと思います。
あとはもう運がよかったと表現する他ありません。

 私がヘルパー制度を利用して育児支援を受けられる事が厚生労働省に認められていると知ったのは、保育園への申し込みが終わったか終わっていないかの時期でした。
 ウィルチェアーファミリーのメンバーの方が発信していた情報がきっかけでした。その為、利用計画を立ててもらう時やヘルパー派遣事業所に依頼するときも「厚生労働省に認められていることなので!」と強気でいられました。


実際にしていただいているケアは?


 これはヘルパーさんに許可を得て、実際に私がしていただいているケアです。実際にはヘルパーさんの仕事範囲内なのか、個人の裁量に寄るところなのか判然としません。
 ですので、ここでこう書いているからといってすべての事業所・ヘルパーさんが同じようにして下さるとは限りません。

 家事のすべてを担ってもらったり、子の面倒を丸々見てもらうのではなく
あくまで私が出来ない部分をヘルパーさんにサポートしてもらう前提です。

 ■家事援助
  ○室内・お風呂掃除、お皿洗い、洗濯物を干す・畳む等

 ■育児支援・移動支援
   ○家でのサポート
    →保育園に持って行く物の準備、準備が進まない子どもへの声かけ、
                    子どもの着替えや身だしなみを整える等
  
   ○保育園の登降園時のサポート
    →歩道・道路で事故に遭わないように安全確保してもらう
     (自転車が来た時に教えてもらう、
                      走りだしてしまった時に追いかけてもらう等)
    →車椅子では行けない場所(狭い場所・芝生の上・階段)に
                    付き合ってもらう等
    →公園で遊ぶ時に怪我をしないよう付き添ってもらう
  
    抱っこしてもらう事もありましたが、
               基本的には私が膝の上に乗せていました。

   ○保育園でのサポート
    →子を教室まで連れて行ってもらう・連れて来てもらう
    →教室内でのお支度(ロッカーへの着替えの補充等)
    →教室内の掲示板に書かれている・張り出されている内容を
                   伝えてもらう(掲示物をスマホで写真を撮ってもらう事も)
    →親が直接先生に伝えたいことがある場合先生を呼んでもらう
  
  その他臨機応変に対応してもらいました。

  イヤイヤ期や歩き始めのどこにでも行きたがる時期はとても助かりました。
  子どもも、私といる時は走るのを我慢していますが、
        ヘルパーさんがいる時は思いっきり走っていました。


  派遣してもらっているヘルパーさんも事業所のはからいで育児経験がある女性がメインです。世間話の延長で育児相談に乗ってもらうこともあります。


私の経験は以上です。どなたかの参考になれば幸いです。

資料
障害者自立支援法上の居宅介護(家事援助)等の業務に含まれる『育児支援』について
厚生労働省PDF

http://www.kaigoseido.net/topics/09/pdf/090701ikuji-shien.pdf



ぽいさん貴重な体験談を寄稿していただき、ありがとうございました。
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