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アイルランドで現存する最古のビール醸造所”スミティックス”へ#4

ーーー2023.9.15ーーー

元ギネスビール工場だったウォーターフォード蒸留所を見学した後は、アイルランドで現存する最古のビール醸造所”スミティックス”へ参ります。

今日は何だかビールと縁がある。

ウォーターフォードからバスで一本、およそ1時間ほどで到着。

このスミティックスはキルケニーという街にあります。ビール好きな方であれば、このキルケニーという言葉を聞くと「ん?」となる方もいるのではないでしょうか。そうです、頭に浮かべられているそのキルケニーです。キルケニーの生まれがこのスミティックス醸造所。

キルケニーの街並み

スミティックスは正しくはセイントフランシスアビー醸造所という名称で、アビー(修道院)と名前についている通り、元は修道院でビールが造られていました。

醸造所はなんと約300年前の1710年からあり、Smithwick'sと前述したとおりKilkennyの生みの親。スミティックスは馴染みがありませんが、キルケニーは以前、日本でもパブでよく見かけました。残念ながら2年前の2021年に日本では終売に…美味しいだけに悲しいです(個人的にバスペールエールが無くなったのも悲しい)

キルケニー

ちなみに、スミティックスは英語の綴りだとSmithwick'sで、スミスウィックスと発音してしまいそうになりますが、スミティックスと呼ばれています。

では説明もほどほどに、醸造所に行ってみましょう。

醸造所は街中にある
この奥に分かりにくく
小さなトンネルを抜けると
厳かな赤い扉が

この扉を見て、グランファークラスが頭によぎった方はウイスキー飲み確定です。この奥に受付があるので、そこで予約している旨を伝えて待合室へ。

インディスクライバブリーデリシャス

壁には”説明できない程の美味しさsince1710”と描かれていました。素晴らしい言葉です。

バスタブソファー

ここに来るまで知らなかったのですが、スミティックスはこの醸造所で2013年までビール造りをし、その後は首都ダブリンのセントジェームズ醸造所で造られているとのことです。もう稼働はしていませんが、ここに建物はあるので、アイルランドで現存している最古の醸造所ということに変わりはない…

また、現在はギネスと同じ会社です。それはディアジオ社…ビジターセンターがとても綺麗なことに納得しました。

さてそうこうしているとツアーが開始。

はじめに簡単な説明があり、そこからは様々な部屋に案内されながらの見学となります。

木桶
麦汁
スミティックス家の肖像画

スミティックスは、その名のとおりスミティックス家によって1710年に設立。13世紀からエールビールを造っていた聖フランシス修道院の敷地内に建てられました。

創業者のジョン・スミティックさん
モルト
ローストしたモルト

スミティックスのビアスタイルは、赤みがかったレッドエール。一般的なモルトとローストされたモルトをブレンドして造られています。一番オーソドックスなスミティックスレッドエールのアルコール度数は3.8%と低い。

モルトミル

モルトミルは、ウイスキー蒸留所でもよく目にするポーテウス社製でした。

上下2箇所が電力で動く

この箇所をミルというのかよく分かりませんが、麦の粉砕は電力を用いてこの2箇所で行えるそうで、片方が動かないともう片方で稼働できるよと。もし2箇所とも故障してしまったら…

手動ハンドル

右側についている手動のハンドルを回せばモルトを粉砕できるとのことでした。かなりの重労働となりそうです。

グリスト(粉砕されたモルト)
Mash vessel

ウイスキー蒸留所の場合は、マッシュタンで糖化させ濾過する工程を一括で行うことがほとんどですが、ここでは糖化と濾過を別々で行っていたようです。vesselとは容器という意味で、これは↑マッシュ(もろみ)をつくって貯める容器。

Lauter tun

そしてこちらでlauter(濾過)します。

一通り設備の説明が終わったところで、次は原料について。

ローストされたモルト
黒い

食べてみると甘味は感じず、さっぱりしたカカオみたいな味がしました。

ビールの原料

ツアーはここで終了。そして最後はお待ちかねの試飲タイム。なんと3種類も飲ませていただけました。

目の前で注いでもらえます
どん
こちらの3種
さらに詳細

今回は看板ビールのレッドエールに加え、ペールエールとキルケニーの3種類。どれもアルコール度数が5%を切っており優しめです。

味わいはレッドエールが優しい甘さの麦味、ペールエールがどっしりめ、キルケニーはバランス型みたいな感じ。個人的に麦の甘味を感じるビールが好みでして、この3種はどれもツボを突いてきました。

またアイルランドでキルケニーを飲むのは初めてで、これまた感動。この泡のクリーミーさが何とも幸せな気持ちにさせてくれます。

では醸造所を後にしましょう。

スミティックスがずらり

このまま宿に帰っても良かったのですが、せっかくなのでこの敷地内で古くからビールを造っていたという聖フランシス修道院を見に行ってみることに。

あらま

しかし、あたり一体が取り壊し工事中。まさか修道院も無くなっているのではないかと心配になり、フェンスの隙間から中を覗いてみます。

ありました

写真では分かりにくいですが、ちょうど真ん中にある建物がその修道院です。周りは近代化が進んでいる中で、どっしりと佇んでいる姿を確認でき、何故かホッと安心しました。この修道院があったから、今こうしてスミティックスやキルケニーを飲めていることに感謝です。

では今回はこの辺で。明日はアイルランド最古のウイスキー蒸留所、キルベガンに行ってきます。

街でビートルズイベントが開催されていた

↑香川県琴平町で小さなバーを営んでいます。ふらっとお越しくださいませ。


素敵なウイスキーライフをお過ごしください🥃