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ゴールデンカムイが面白い!

漫画家・野田サトル氏の作品「ゴールデンカムイ」が面白い。知り合いの勧めでアニメ版を一話見た後、全話を"イッキ見"するほど虜に。明治時代末期の北海道・樺太を舞台に、歴史ロマン、バトル・サバイバル、グルメの3要素がうまく絡み合い、まったく飽きず、先が気になってどうしようもない。調べると、この作品は4月に朝日新聞社が主催する手塚治虫文化賞「マンガ大賞」を受けていたのね。うん、その選考や、良し!

魅力の源泉

この作品はアイヌが集めたとされる莫大を金塊をめぐり、それを狙うさまざまな人たちの姿などを描いたストーリー。個人的には、登場人物の一人であるアイヌの少女・アシㇼパを通じて、分かりやすくアイヌ文化を紹介しているところが好きだ。たびたび出てくるアイヌ流の狩猟や料理についての詳しい説明に興味津々。

作者の野田さんが北海道出身。だから、アイヌ文化に詳しくて当然という訳ではない。北海道出身で故郷愛を執拗にアピールする"うるさ型"の知人がいるが、ここまで具体的に知らないようだ。その辺りの事情について野田さんはこう語る:

「とにかく取材、取材、取材って感じで。直接自分で現地に行って体感することが大事だと思っています。そういう作り手の熱量って読者も分かるだろうからしっかりやろうと」。(コミック・ナタリーのWEBサイト)

この作品に惹きつけられる源泉はそこにあるんだろうなと自分なりに合点が行く。実際、野田さんのブログには、2016年7月以降の更新がストップしているものの、アイヌの猟師と一緒に狩猟に出かけた体験などが複数載せられており、内容も面白い。

作者自らがしっかり取材しているだけに、アイヌの人たちにも評判が良いようだ。ウィキペディアによると、アイヌ文化を丁寧に描いているとして平取町アイヌ文化情報センター(北海道)でも人気になっている。アイヌ民族博物館(北海道白老町)の職員が「文献や資料をよく調べている。文様も細かく描写されており、見応えがある」という。

ほかにも「全国の若い世代にアイヌ文化に興味を持たせるきっかけをつくったという点で貢献度は非常に大きい」との評価がある。さらにアイヌの料理や狩猟など風習・文化がリアルに表現されており、北海道アイヌ協会の理事長は「よく描かれている」とする。この作品を気に入った読者としても嬉しい言葉だ。

強いアイヌ描く

さらに野田さんはいう:

「取材でお会いしたアイヌの方からも言われたんですよ、『可哀想なアイヌなんてもう描かなくていい。強いアイヌを描いてくれ』」(このマンガがすごい!WEB)

アイヌの人たちやその文化には迫害や差別といった暗いイメージがついてまわりがちだ。だからこそ、野田さんはこれを明るくおもしろく描けば、「人気が出るはずだと確信していました」とし、ヒット以前からこの作品には自信があったとする。

確かに、この作品に登場するアイヌの人たちは皆、暗さが一様に見られない。アイヌの文化を粗野なものではなく、独自に発展して受け継がれてきた伝統的な文化として描かれており、その中で老若男女の誰もが生き生きと暮らす姿が描かれる。

主人公の杉本佐一を含め、「和人」(アイヌの人たちから見た日本人の呼称)たちも、それを自然に受け入れながらストーリーが進んでいくため、読んでいて重苦しい雰囲気にならず、アイヌ文化に関する好奇心をますますくすぐってくれる。

この作品は映画やテレビのオマージュもところどころに盛り込まれているほか、"ガチ"ではないが、ボーイズラブ(BL)っぽいシーンもあり、クスッと笑える軽妙さがある。他方、耳を削ぎ落とすといったグロテスクな場面もあり、単に軽くてポップという訳でもない。そこが実に良い。

奥さんもこうしたトーンは好みだ。アニメやマンガにそれほど興味はないが、かなりハマるだろう。個人的にまずどう見てもらうか、どう読んでもらうかを考える必要がありそうだ。ちなみに奥さんがこれまでハマった主な作品は、諫山創氏「進撃の巨人」など。

Ψ(`∀´)Ψヶヶヶ、、、「ゴールデンカムイ」もたぶんイケる。

(写真〈上から順に〉:「ゴールデンカムイ」公式サイト、ヒロイン・アシㇼパの変顔も魅力の一つ=ピンタレスト、アシㇼパがりす料理を披露=アニメ「ゴールデンカムイ」、アイヌの子どもたちに懐かれた主人公・杉本佐一=同、作品内にはプロレスファンに馴染み深いオマージュも=バトル・ニュース)

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