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2022年『THE BOY FROM OZ』再々々再演からの観劇感想

 2022年6月23日(木)マチネで観てきました、『THE BOY FROM OZ』。
 自分がFCに入って応援している俳優さんは出ていらっしゃらないものの、「これは何が何でも”生で”観たい…!!!」と強烈に思うきっかけ(後述)があり、とても楽しみに待ってた舞台。
 当日から少し時間が経ってしまい、しかも1回しか観られなかったので細部を時系列で追うのはほぼ無理で、断片的に「ここが良かった!!!」「ここに打たれた!!!」をただ回想するだけの備忘録になってしまうのだけど(一部多分ちょっと日記に近くなる…)、少しでも後々読んだ時にこの熱気を思い出したく、例によって順不同に書き散らしです。

何が何でも”生で “観たかった理由&観るまでのわくわく

 ダントツ一位は、半年前にコクーンで観た『Murder for Two』での坂本さん。共演の海宝さんを観に必死でチケットを取っていたものの、初日の帰り道には見事にお二人ともに圧倒され、すごすぎる~~~!!!!と大興奮しながら帰宅。
参照:

『Murder~』の観劇前までは坂本さんの舞台を観る機会がなく、「坂本さん=V6のめっちゃ脚が長い方」くらいしか解ってなかった私は、「まーさは舞台の人だから楽しいよ~♪」と友人が事前にさらっと言ってくれてたのに全然意味を理解しないまま劇場についてしまい、度肝を抜かれまくり、その後2ヶ月くらいずーっと頭から離れないくらいにはどハマり。お一人で12役という驚異的な演じ分けを見事にこなし&それぞれをまた魅力的に出現させてらした中、物語の終盤近くに待ってたショータイムがまた格別で、毎回帰り道に「絶対次の坂本さんの舞台もチェックする!!!」、「いつかバリッバリにショータイムがある作品も観る~~~!!!!」とにわかながら心に決めてたのでした。
 
 余韻に浸りまくってた中アナウンスされたOZ2020年公演のリベンジ開催。Wikiを読んでた頃から気になってたのと、読めば読むほど素敵に違いない&私の好きなモチーフだらけの筋、共演者の方々も鉄壁、これは絶対行きます!!!万難排して生で観ます!!!ともう0.01秒で決心。どんな演劇もミュージカルも生に勝るものなし!!という主義の一人ながら、殊、ショータイムならではの熱気や独特の盛り上がりは客席で感じないと!!!という意気込みもあって、それはそれは先行やら前売り日にわくわくと印を付け、Original Broadcast版を例によってApple Musicで予習しながら(これがまた全曲かっこよくて痺れた…!)、文字通り指折り数えて迎えた当日。幕が上がる前、『The Lives of Me』が流れた時の高揚感ったらなかった。 

散々期待しまくった上で、尚、期待以上だった……!!!!!

 再々々再演から入って大丈夫かな、ひょっっっっっっとしてもっと前に観たかったって思っちゃったらどうしようダンスあるらしいし…とか、日が近づくにつれ時々とんでも無く見当違いに失礼な不安が胸をよぎったりもしたものの、「今の坂本さんで観れて良かった!!!!!!!!!!」と手放しで感じさせる、本当に素晴らしい舞台だった。もちろん初演から観れた方々はなんて幸せだろう!!!!!!!と羨ましく思わずにはいられない時間の重なりも感じたけど、今回での初観劇でも全然疎外感を持たせない、それどころか熟成ここに極まれりな瞬間を目撃できる喜びでいっぱいだった。ピーター・アレンの自伝的ミュージカル、出てくる方々もそれぞれ実在の方って設定は把握して向かったのに、これ宛て書きだよね?!って何度も突っ込みたくなるくらい、そりゃぁもうハマりにハマってた。
 オケは生バンドでステージの上での演奏だし(ショーやダンスの場面の迫力抜群、心底気持ち良いパフォーマンスを観るに当たって最高だった!!)、アンサンブルの方々はダンスからコーラスまで層が厚くて観応え&聴き応え(ソロも!)あり、隅々まで愛された、誇りを感じるステージだった。

盛大にネタバレしています


リトルピーター&ヤングピーター:小暮航ノ介さん&木村咲哉さん

 全然子役さんの世界を知らず、他の作品でのご活躍などもなにも知らないまま開演を迎えてしまったのもあり、タップが始まった途端「すっっっっっご?!!!!」と素で感激だった。若いながらにダンス筋ばっちりのふくらはぎに、「すんごいお稽古したんだろうなぁ…」とじーんとしつつ、でもすぐに保護者目線系じゃなくプロのパフォーマンスに心動かされる感覚、「タップってやっぱり最高に楽しいなぁ…!!!!!」と座って観てるだけのこっち側まで血が熱くなったのが心地良かった…!!!
 素晴らしいパフォーマンスであればあるほど、「難しそうなダンスなのにすごいな」よりも「なんてタップって楽しいんだ!!!」、「上手な方だな」よりも「人間の体がこんなに楽しさ/美しさを表現できるなんて」という感嘆で心がいっぱいになる、というのがあって、この日のヤングピーターがまさにこれだった。3階席まで埋まったオーブの舞台の真ん中で、観客の手拍子を受けながらタップの愉しさと魅力を全身で魅せるって、演る側も堪らなく楽しかっただろうなぁ…!!!また彼らの舞台を観る機会に恵まれますように…!!

ライザ:紫吹淳さん

 死の間際のピーターの元を訪れるシーン(『You and Me』)、いかにライザがピーターとの間で「生物学的」ねじれ(性まで含めて愛される生活と、望んだそれを得られないギャップ)に苦しんだか、それでもその苦しさを全部超えるくらい根本的に深いところで彼を人間として愛していたかが、ひたひた胸に迫ってきて、言葉が見つからないくらいぽろぽろ泣きながら観てた。出会った時にじゃれてショールを引っ張り合ってたのを彷彿とさせるような振り付けがまた。。。!!

 ティーンとして登場した前半のシーンでは、「リカさん (=紫吹さん)全然オーラが隠しきれてないよ…!!初心でまだ自信をつける前の十代にしては大物感が漏れ出てるよ…!!!」と客席で勝手にハラハラしたものの、大スターで気分屋の母に振り回されて苦労してる感と、それでもママが大好きなのは一発で伝わってきて、後半待ってる死別の場面のリアクションに納得できた。

 「これこそリカさん!!!!!!」と一番血沸き肉踊る楽しさを味わったのは言わずもがな『She Loves to Hear the Music』。リカさんの脚線美/肉体美/ダンスの迫力は理解してたつもりでも、これでもか!!!とガンガンに踊る姿をあれだけ堪能させてもらえるのは実に爽快で、「ジャジャジャ、ジャージャジャジャ、ジャッジャ!!」「ライザ!!!」のとこは、完全に心の中で声を合わせて拳を振り上げてた(笑)。

 前半でのピーターとのデュエットダンスは、もうお二人の脚が長くて長くて、解ってたけど本当長くて長くて( 2回書く/笑)。坂本さんの超絶長い足と鮮やかなステップ、にばっちり噛み合うリカさんと、お二人の腰の高さたるや…と足元を見て「ヒールほとんど無いし!!!」と驚愕してまたダンスの全体像にうっとり、の往復を多分4~5回やった気がする …(笑)。

 売れっ子になって以降のライザが鮮やかな衣装で入ってくるところや、終盤の紫のお衣装で出てくるところなど、「やーーーーーなんでこんなにもスター衣装が似合うかね!!!」と(そりゃ専属で衣装さんがオーダーメイドで用意しているとはいえ)毎度ため息で、演目的にとても素敵だし是非この後も何十年と継がれていって欲しいけど、誰がこのライザ役を将来襲名するのかなぁ…とか何十年後にまで思いを馳せてしまった。

 

グレッグ:末澤誠也さん

 ピーターに対して「深入りする気はないから」と冷静な様子の始まり方、その時点でのピーターとの若さの差や、束縛が嫌いで虚勢を張りつつも自分の生き方は自分で守る核のような誇りを持ってる感じが無理なく伝わってきて、「あ、今回ちゃんとピーターの後半の物語も楽しめるかも!!!」と割と早い段階で期待させてもらえたのが良かった。
 かなり繊細で複雑なお芝居が求められる役ながら、全然ストレス無くこちらが物語に没頭するのを加速させてくれた。
 
 『If You Were Wondering』のやり取りも自然で坂本さんとばっちり噛み合ってたし、ピーターがどんどん脚光を浴びて進出していくのを見つめる顔が本当に誇らしそうで嬉しそうで、自分のプロデュースが活きていることへの自信や歓びもにじませてて、まさに「ベストパートナー」をピーターがon/off両面で得たんだな、と実感させてくれる好きなお芝居だった。
 後半、エイズに罹患していることを告白する場面も、魂になって再びピーターの前に現れた時の静かな顔も、二人の結びつきの強さがしっかり印象に残って、ピーターの独白で語られるグレッグの最期ではボロボロ泣いてしまった。。。天邪鬼な振る舞いだったかもだけど、ピーターには最期の最期まで心を開いて甘えてたんだよね。。
 
 (リトル・ヤングピーターを除くと)プリンシパルメンバーの中で物理的にも圧倒的に最年少なのに、「うわこの子もやっぱりスターだな…!!!」と唸ったのが、ピーター専属になった後、タキシードで登場した時。登場時のラフな格好がとってもハマってただけにギャップが良い刺激で、ダイヤの原石ここに…!!!感。


ディー/ディック(ピーターの父):宮川浩さん

 ザ・敏腕プロデューサー感。才能と野性的な勘が独走してしまうピーターと世間/観客との間を現実世界でどう結びつけ素晴らしいパフォーマンスを世界に放っていくかに腐心しながら、それを生き甲斐にしてる人!!で、なんとなくこっち側(=観客に近い方)として観てた。ピーターのことを「オカマオカマ」と揶揄してくる電話の相手に対してブチ切れて受話器を落っことすところ、ピーターをなんとか「順調に」デビューさせようと「典型的に」「男性的な」着こなしで送り出そうとするところの葛藤や必死さに、『熱海殺人事件ーモンテカルロイリュージョンー』での阿部寛氏と山本亨氏がフラッシュバック。時代背景的にもちょうど両作品重なる80年代なのだけど、どうしようもない悔しさや、パフォーマンスや本質そのものを見ろよ!!という声が通らないもどかしさにぼろぼろ泣いた感覚が蘇って、そうだ、この作品の核の一つも性の面での壁だった、と。

 『Everything Old is New Again』で3人で足を上げるところ、何気に一番若い末澤さんよりもばりばりダンサーな坂本さんよりも足が高く上がってて、宮川さんの気合を感じた(笑)。
 
 帽子を目深に被ってあまり表情を見せないディック。酒場の中心でピアノを弾き踊るピーターを見つめる、音楽と息子への気持ちが寂しく影を作る背中と、ピーターから稼ぎをむしり取る場面のギャップが辛くて、終盤マリオンが語る「昔のお父さん」のところは苦しくてしんどくて、望まず別人になってしまった帰還兵のエピソードがいくつもよぎった。
  

マリオン(ピーターの母):今陽子さん

 久しぶりに「こういう人になりたい!!!!!!」と強烈に思わせる生きた登場人物に出逢えた。そのくらい、今さんのマリオンが良くて良くてしょうがなくって、いろんなシーンで声にならない「あぁ…!!!」が心の中で漏れまくった。
 マリオンはかなり頻繁に、それこそほぼあらゆる節目でこまめにピーターから近況報告をもらって登場するのだけど、いつだってピーターを心配する気持ち/愛している気持ちはしっかり伝えこそすれ、ピーターの選択を否定したり、自分の望む方に誘導しようとしたりはせず、常にピーターの側で応援して、背中を押して、嬉しいことがあったら、それが当時の世間の多数派からどういうリアクションをされそうなことでも一緒に喜んで、ちゃんと声に出して「おめでとう」と言える。

 脚本に描かれているマリオンの振る舞い/台詞にとても惹かれた部分がまずあるにしても、今さんの声の感じ、言葉にはされていないけど飲み込んだ気持ちや全身から滲む想い、オーブいっぱいに歌声に乗せて流れてくるマリオンとしての信念や誇りや愛情などが肌を通して染み込むように伝わってきて、客席で観劇出来たからこそ受け取れたものが沢山あった感じだった(伝わりますように…)。
 
 心に焼き付いたシーンはいくつもある中、敢えて3か所挙げるとしたら、一幕ラストにテンタフィールドに帰ってきたピーターを叱咤激励する場面(案外ここの暮らしも悪くないわよ?って言ってたのは割と本心だったと思うし、あすこで地元回帰に誘導しちゃう親のが多そうなものなのに、ピーターの背中をバーンと押せるところが…私も今まさに息子を育てているけど、そう出来る人でありたい)、グレッグのことを報告された時の、ほんのちょっとだけ間を空けつつもにっこり、間違いなく心から笑顔で電話口で祝福する場面、そしてラストの『Don’t Cry Out Loud』。

 OZのストーリーを読んだ時は、なんとなくこれまでの自分の観劇時の心の動かされ方から、才能ある主人公の周囲との軋轢や、同性の恋人とのやりとりに一番胸抉られるのではと漠然と想像していたのだけど、意外にも今回はこのマリオンとピーターの折々の場面がとても今の自分に響いて、間違いなく「今、今日観られて良かった。。。!!!」と繰り返し思う大きな理由の一つになった。

ジュディ:鳳蘭さん

 スターがスターを演じる説得力、スターもまぁ様々いる中、ジュディを現役で知らない私ですら「ジュディ本人でしかない」と信じて疑わないくらいに圧倒されるジュディ・ガーランド像。
 香港のシーンで、酔いどれで髪ボサボサの、いかにも「今下り坂転がってます!」なジュディが出てきたところから、ピーターと言葉を交わして自棄っぱち全開が露呈するところ、ピアノを得て歌ううちにどんどん輝きを取り戻して場を沸かせる場面までの流れがもうのっけから圧巻で「あぁもうツレさん……!!!!!!!!」だった!!!!なんなんだろうあの絶妙としか言いようのない匙加減、複雑な背景が何の予習も必要ないほど鮮やかに語られてぐりぐり物語が進んで行く感じ!!
 『Only an Older Woman』での可愛さとベテラン感も、『Don’t Wish Too Hard』でのワクワクさせるメロディにぴったり乗った、ニヤりとさせる楽しさもCDで原曲を予習していた時に想像したものを遥かに上回り、「あぁ~~~この感じが堪らない!!!」だった!!
 ライザに対する嫉妬や不安定さ、本心まじりとはいえ辛辣な言葉を何にも包まずピーター達に容赦なく投げつける姿、結婚前のピーターに、おそらくピーターがその当時見ないふりをしていた(またはそれほど深刻視していなかった)溝を指摘する真摯さなど、強烈な場面をいくつもこっちに刻み込んだ果ての、『Quiet Please, There’s a Lady On Stage』での白いお衣装が目にしみた。
 紗幕を通して浮かび上がるジュディの神々しさと、その後のエネルギッシュで湿っぽさを吹き飛ばすような手拍子のナンバーは圧巻で、説明できない涙が溢れて止まらなくなるような感覚があって、実在のジュディには一切個人的な思い入れがなく、重ね合せるようなエピソードも何にも無いのに、たった2時間弱のツレさんのお芝居でなんでこんなにジュディに愛着持っちゃってるんだ私は…!って今回も降参だった。
 

ピーター:坂本昌行さん

 自分がこの公演に間に合って、生で観るのが叶って本当に良かった!!!と心底繰り返し思えるピーターだった。ピーターが実在の人物だっていうのは頭ではわかっているけど、何度思い返しても宛て書きだよね?!!って聞きたくなるほどハマってた。
 歌にもダンスにもセンスがあって実際のパフォーマンスも抜きん出ていて、行く先々でみんなに愛される魅力に溢れ、野心家で、自棄っぱちになっちゃっても立ち上がる底力やまっすぐ人を愛する根の強さは持っていて、ベストを尽くすことを知っているのに博打を打つ大胆さも持っていて、シリアスな雰囲気は苦手で面白楽しいラテンな雰囲気に逃げ込みがちでいながら、人一倍繊細。
 
 プログラムによれば、これまでの3回はピーターの外枠を、今回の公演では彼の心情を自分のフィルターを通して伝えたいという思いで演ってらしたという坂本さん。ピーター本人への思い入れは私自身はほぼ無く、きっと坂本さんやこの作品が無かったら「あぁあの曲書いた人なんだー」で終わってたくらい接点の希薄な存在だったのが、坂本さん演じるピーターは愛おしくて堪らない存在となって胸に刻まれた。音楽だけを聞いてた頃には思いもよらなかった色んな感覚にガンガン揺さぶられた3時間だった。

 冒頭、ピアノを弾くシーンの似合うこと…!!!タップの軽やかさ、ちょっとした動きの伸びやかさ、目線から放たれる可愛らしさから色気までの自在感、好きなものにまっすぐぶつかるエネルギー、堕ちる時の底なしの自棄っぱち感、そして腰を振った時のキレ!!!!!!!!!!!ちょっと待った聞いてないぞーーーーーーーちょっとちょっとちょっとーーーー!!!!バンドの人が絶妙に合わせてくれるドラムに乗ったあの場面があまりにセクシーで(またこれが湿ったいやらしいセクシーさじゃなくていかにもカラッとしたかっこよさ99%のセクシーだからもう参った …!!!/残り1%は…多分可愛さ!)、心の中でラテン系ダンス大好きな友人達を思い浮かべながら「坂本さんが!!!!坂本さんが……!!!!みんなに伝えなきゃ…!!!」と大分壊れた感じに口をぱくぱくさせてテンション上がりまくってた(笑)。

 格好良さに痺れたシーンは他にも目白押しで、まずテンションが上がったのは水色のジャケットが眩しくもダサ可愛い『Love Crazy』、ピーターの自暴自棄感が、醸される色気に拍車をかけてる『Continental American』 (すんごい細かいけども、そして記憶違いかもだけど、原詞で朝6時まで踊ってるところが日本語だと「あっさは5っ時まっでっ!」になってた気がして、おっ一時間早く解散!!とかちょっと面白かった/笑)、物語の流れと共にぐーーーーっっと気持ちを励まし押し上げるかのような一幕終わりの『Not the Boy Next Door』、二幕冒頭の『 Bi-Coastal』。そしてなんといっても白燕尾でのロケット!!!!宝塚での女性onlyのロケットしか観てこなかったので、男性が入ったロケットの迫力は初の経験だったものの、眩しさとコーラスの厚み&エネルギーはまた違った魅力があって、真ん中のピーターがとにかく楽しそうで楽しそうで、それがこっちも心から嬉しくて、最高の場面だった。。。 !!!

 客席に向かってピーター本人として軽妙な語り口で物語を進めつつパッと本編の中に戻ってその時その時のピーターを生き、笑って悔しんで罵ってまた笑って、また語りとして客席側に戻ってきて…の鮮やかさはMurder for Twoを思い出させる安定感で、バレットやホイットニー夫人を彷彿とさせる瞬間もあったりして、期せずして「わー!!」と小さくガッツポーズをこれまた心の中で繰り返してしまったり。

Original BW cast版の音源を聞いてた頃と一番印象が変わって自分でも信じられないくらい心を揺さぶられたのが『I Still Call Australia Home』。本編に関係ない自分語りに一瞬逸れると、たまたま生まれた場所が東京で、就職しても片道1時間で地元に帰れるエリアに引っ越しただけだった私はこれまで「故郷」をしみじみと理解する機会が無く(日本を離れたことはあるけどmax1か月、ホームシックにすらなったことが無い…)、上京してきた方の「故郷恋しいソング」「私の故郷は◯◯ソング」は「そういうものなんだろうなぁ…」ととにかく「頑張って想像に努める」対象で、下手したらちょっと退屈な時間で、あくまで自分の外側の物語でしかなかった (理解に苦しむ、とかではなく、「実感湧きにくいモチーフ」 )。
 「つまらない故郷」を飛び出し、戻るなんて真っ平御免と何度も振り切り、大都会で成功し、挫折し、再び故郷に戻ってきて…まではもう何百回何千回とあっちこっちで目にしてきた、聞いてきたストーリーのテンプレで、音源を聞いてた時は「おぉぉ…この話もその型なのか…」程度に思ってたのだけど、客席で『I Still~』を聴いた時は、頭に電気が走るような形で「あぁ、、、ピーターはこういう境地に至ったのか……!!!!」と今までどこか遠くに浮かんで実態の無かった気持ちが急にぎゅーっと形を持って自分の胸の中に集まってきたような感覚で、紗幕の後ろのアンサンブルさん達のコーラスが重なってきた時には訳もわからず涙が溢れて止まらなかった。あくまでピーターを通して、なので、自分の実感とはやっぱり呼べないものだけど、明らかにこれまでと違う理解度に一歩枠を超えて近づけた気がした(毎度呪うけど、ほんと語彙力不足…)。

 音源で聞いてた時から大団円の良い曲だなと思ってたけど、想像の何十倍もボロボロに胸掻きむしられたのは『Once Before I Go』。声が良いだけでも歌が上手いだけでもお芝居が巧いだけでも成り立たない、目線の一瞬一瞬と声の一粒一粒に生き様が込められた濃さで、他の作品/他の役者さんにだって毎回本来言える筈のことなんだけど、この時は殊更に「この歌は坂本さんが積み上げてきたものが特に全部滲んだパフォーマンスで、今の年齢だからこそのこの深みと円熟味なんだ」と本能的に悟らせる贅沢さだった。あぁ、今この2022年に、50歳の坂本昌行さんを通してこの作品に出逢えたことには確かに意味があった ……!!!と誰に感謝したら良いか分からないながら、色んな巡り合わせにありがとうが止まらなかった。

フィナーレの『I Go To Rio』まで一滴残らず最高に楽しくて、帰宅してからもずーーーっと色んなナンバーがぐるぐる頭を巡ってしまうほど。版権関連物凄い大変なのは想像に難くないものの、なんとかして日本キャスト版音源出ないでしょうか。。。坂本さんの声でピーターの歓びと挫折と愛情に満ちた半生をもう一度、出来れば繰り返し聴きたいです。。。

 
 以前にも増して順不同加減がとんでもないものの、誤字脱字をこの後気付いたベースでコツコツ直すことにして、投稿します。
 今日は 7/3(日)東京公演千秋楽。今日の公演も、大阪公演も全て健やかに、沢山の拍手と笑顔に彩られて完走できますように!!!
 これからも、『The Boy From OZ』が沢山の愛に支えられ、末永く演じられていきますように!!!

 最後に、ここまで記事を読んで下さった方、貴重なお時間をありがとうございました!!!

 

 
 
 

 


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