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2023年 最高の相棒に出逢えた歓び−音楽劇『ダ・ポンテ』東京公演千秋楽感想


前書き

 2023年7月16日(日)、無事行ってきましたダ・ポンテ東京公演千秋楽!!
自分の体調もさることながら、家族の体調や予定もあって無事に観劇に出発出来るかギリギリまで不安でしたが、無事に(安堵)。
 
 上に書いたような状況から、ここ数年は毎回公演3時間前くらいにチケット発券してたので当日まで席番が分からず、かつ、my初ブリリア観劇だったので「席ガチャすごいんですよね?!(T口T)」とわなわなしながらLawsonに向かったのですが、C列センターブロック(!!)、そして「底席()なのに、ほんとだ大丈夫だー!!!!!」と伸び伸び楽しめたのでした。VIVAダ・ポンテチーム!!

 例年にも増しての酷暑の東京公演とあって、俳優さんチームからも体調がすぐれず舞台をお休みされる方が出始め(鈴木結加里さんは東京公演途中から大阪千秋楽まで、井上小百合さんは大阪公演を。千秋楽はぎりぎり復活!!)、日々該当する方々の具合を案じたり、どうか回復に専念できていますようにと祈ったりでしたが、物凄い集中力の連携プレーで公演は繋がれ、Twitter(X)で勝手にカンパニーの遠い遠い一員のような気持ちになって応援していました。

この記事もネタバレあります

 全場所公演は終了しているタイミングでのuploadになってしまったので、読みにきてる方はご自身の目で既にご覧になってるかな、とも思うんですが、今回も演出やら本筋に触れるネタバレをしています。
 再演前の予習を兼ねてる方などで、第一印象は自分で、という方は、そっと閉じて他の記事にどうぞです。

出来るだけ時系列順での箇条書き感想

 まさかの3ヶ月近く経ってのuploadなので、基本自分の下書きからの転載/抜粋。けど書き始めると、そうそうそうそう!!!!!と蘇ってくるものが沢山あり、いつもこの、楽しかった観劇をじわーっと回想して楽しくなったり切なくなったりする瞬間が結構好き(v人v)

ではいざここから箇条書き:

・冒頭のロレンツォ、手の皺まで完全におじいちゃんで、改めて見事な作り込み!!なのだけど、オペラグラスで再確認したら、多分手には特に皺とか描いてらっしゃらないんだよねあれ。。。お芝居だけであんなに口の見せ方から指先まで完璧に+50歳加齢出来るって、ほんとつくづく海宝さんって役者だなと惚れ惚れ。

・♪思いー出してーアンジョレッターがパワーアップしてる、、、とTwitter(X)で読んでワクワクしてたけど、確かに(笑)。そして奥でストップモーション中の諮問官様とまたしても目が合った感があり、「今日はまた一段と飛ばしてますねー😊」「ねー😊」と心の中で念を送ってみたり(笑)。

・「僕の音楽を必要とする人がきっといる!」というモーツァルトと対照的に、「僕の才能を認める人は必ずいる!」っていうダ・ポンテ、最初からやっぱり立ってる次元が違うというか、見ている距離や高さ(?)が違ってたんだよなぁ、と後半を思い浮かべて、序盤で早くも胸がちくり。。。ダ・ポンテにも創作の歓びや「もっと良いものを」っていう観点はあったと理解しているけど、やっぱり根本的に「世界を表す時にそばにあるもの」であるモーツァルトの音楽と、「自分の居場所を作り、守るためのツール」であるダ・ポンテの言葉って、性質が違ったんだろうな、と。。

・コンスタンツェのプロポーズの場面、あなたの音楽が何より好き♪の瞬間の壮ちゃんさんモーツァルトの横顔がこの日は目の前で、横顔でも分かるくらい真摯に「きゅん!」となってたのが素敵で、一緒にきゅん♪だった。この夫婦もプレビューからもっともっと素敵になってて、何度もじーん。。。こんな風に励ませて、迷った時にどっしり構え、悔いのない選択に向けて一緒に人生背負って歩いていける間柄…本当に憧れる。

・青野紗穂さん演じるコンスタンツェ(以降コンス)が2人の共同作業をどんな眼差しで見守っているかを楽しむ!という今回の目的、無事に達成!!しっかり3人の表情や熱が堪能できて胸がいっぱいに。。モーツァルト&ダ・ポンテの二人だけでもあの場面涙なのに、さらに二人を見守る包容力あるコンスを視界に納めた時の多幸感最高だった。。。!!

・ヴェネツィア滅亡…のくだりを指摘されたダ・ポンテが慌てて「それは友を励ますために書いたもので」と取り繕う場面、斜め後ろのサリエリ先生が「ヴェネツィア滅亡で励ますとかどんな友達だよそいつ?!Σ(ー口ー)」って衝撃受けてるのに気づいてツボった(笑)。ほんとだよね、我らが大事な故郷を(笑)。同郷の筈でしょうダ・ポンテ(笑)!

・同郷のよしみで!!の場面で、海宝さんダ・ポンテとばっちさんサリエリ先生の頭上に「VIVA!!」ならぬ「CHIBA!!」が浮かんで見えて()、何だか本編の盛り上がりと並行してニヤニヤしてしまったのは私だけじゃない筈。この公演中、お二人お忙しい中色々配信やニコ生とかをやってくださり、こんなに短い時間にこんなに笑えるとは!!ってくらい楽しい裏話から濃い制作裏話まで披露してくださってたの、本当にありがとうございました。。。!!!公演終わった後、私も無事にミスド買いに行けました♪

・八十田さん演じる皇帝、初見の時から、この絶妙な笑いに繋がる間って、演出と本人originalの配分ってどのくらいなんだろうな…といつになく真剣に思ってしまうほど面白くて、castingってやっぱり笑いの要素に関してもめちゃくちゃ大事だよなーと肯定的に思ってたのだけど、唯一、北千住公演からちょっとベクトルずれたかな?と思ったのが「処女のミューズを手に入れたというわけだ」の後の皇帝による笑いの長さ。。ここだけは北千住の頃の方が良かったな…と。東京千秋楽はちょっと長すぎて、「え、この後なんかあったっけ?」と戸惑う感じだった。客席からのリアクションの聞こえ方がひょっとすると違ってて、北千住に比べて客席がウケてるって分かるまでに時間がかかってたのかなとかつらつら考えたり。

・ガストハウスの「何かが始ーまるー♪」のコーラス&お芝居、この日は一段と良かった。鈴木結加里さんがお休みになってしまったので、各場面柴原さん演じる息子バージョンで物語は進んでいたけど、かえすがえす鈴木さんがいらっしゃらなかったのが惜しかった。次回公演で、元気なお姿をまた楽しめますように。。。!

・ガストハウス、フィガロの結婚で盛り上がって椅子から転げ落ちちゃった、小原和彦さん演じるオヤジに声をかけるモーツァルトのオフマイクの声、「大丈夫?明日になっても痛かったら病院行ってね」が聞こえてきて静かにツボった(笑)。モーツァルトの「いい奴み」の匙加減が今回本当に大好き。。。神童とか、エキセントリックな天才的、といった描き方じゃなく、とても素直で、とにかく音楽と作曲にまっすぐな、素朴なところすらある青年、という今回の脚本を、平間さんがほんっとうに良いバランスで演じてらして、ハマり役。

・「歌との出会い」としてサンマルコ広場の話をするロレンツォの言葉を聞くフェラリーゼの瞳のお芝居を観ながら、「目の前で、何の打算も下心も無しにこんな風に評されたら心震えるよね。。。!!!!!」と一緒にジーン。「私の歌を書いて」ってリクエスト、メロディは無いけど、ある意味今もうもらったやーん(涙)!!ってなった。。井上さん、フェラリーゼの演出上おそらくついてるだろうdirectionとか歌とか、どんな感じに消化されていくかなぁ…と北千住公演終わったときは見守ろうと決めてたところ、東京千秋楽で3週間ぶりに観たらびっっっっっくりするくらい進化していて良かった。歌が安定するのと、あとは物語一本通して、北千住版よりずっと芯が通るようになって、観ている間の「どこに軸があるんだー」と悩ませてくる脚本の隙間(?)とお芝居で埋めてくれるようになってた。

・全編通して実は一番使われているオペラはドン・ジョバンニだったのね。。。!と観劇三回目にしてようやく気付き、自分を重ねていた戯曲って設定がより一層印象付けられた。
「さようなら!また遊ぼう!」の二回目(ダ・ポンテが出ていく時)、めちゃくちゃ泣いた。もう会えないって分かってたのか、また君と会えたらいいなの祈りは確かに含まれていたような。壮ちゃんさんの、色んなものを飲み込んだ笑顔がもう海のような深さと包容力で。。

・「僕が拍手するんだ」のところ、「世界の素晴らしさ」を音楽で讃えたくて才能を使うモーツァルトに対して、世界に「自分の素晴らしさ」を讃えさせるために才能を使いたいダ・ポンテなんだなぁ…と今日はより一層コントラストが感じられて辛かった。

・ナンシーと出会うロンドンの場面、前回まではお花を手にした後の柴原さんしか知らなくて、「これからデートなのかなー」とか思ってたけど、この回ではむしろお花を売ってる女の子のことを好きな設定だったのか!!と理解。黄水仙を手に名残惜しそうにもう片方の手を振る姿がめちゃくちゃ可愛かった。。。!前はピンクのバラを持ってた気がするんだけど、これ日替わりだったのかな。

・「あなたはどこへ向かっているの?」への「分からない」。北千住版ではもっとわーんとなりふり構わず泣いてた記憶があったんだけど、この日は精魂尽き果てた茫然自失に近い、すっかり消耗して枯れてしまった「分からない」で、これはこれでまた、言葉の媚薬のギラギラからの落差が凄まじくて辛かった。。。時代に合わなくなって、もう波に乗れなくなって、、って感じにこの手前のシーンで落ちぶれて行く様子が描かれてるのだけど、「自分を表現せずにはいられない芸術家」として作品を作るタイプというよりは、「自分を認めさせるためならいくらでもこねくり回してやる」って感じに言葉を弄んでた(私の目にはそう映ってた)ダ・ポンテも、身を削って、考えつく限りをやり尽くしてロンドンに流れ着いたんだねと。。。僕の納得のいくものを、じゃなくて、みんなの欲しがるものを、みんなの驚くものを、みんなが焦がれるものをって軸でやってったら、そうだよね、納得いくまで作品と対峙するのとはまた別のボロボロがあるよね。。。と、「何のために作るのか/演るのか」みたいな普遍的なテーマを感じながら観てた。

・♪思い出してロレンツォ、の歌が実は今回1位2位を争う勢いで初見から耳の奥にずっと残っていたので、どうなるBrillia?!とやや緊張しながら迎えた観劇だったけど、私の位置(C列)からは、文句なく圧勝で、涙ボロボロになりながら芽実さんの歌を浴びた。。海宝さんの老レンツォのお芝居に重なって、色んな気持ちや記憶の蓋が開いちゃって、とてつもなかった。。

 改めて、海宝さんがいかにお芝居と歌に強く、物語を精魂込めて客席に届けてくださるかを印象づける作品だったのはもちろん、今回の観劇で初めて出逢い、好きだー!!!と思えた共演者さん、脳裏に焼き付いたアンサンブルさんがかなり沢山いらして、純粋に出逢いの多さも楽しめた♪
 今後の作品でも、また私の観劇と道が交わりますように♪

おまけ

 本編と直接関係ないんですが、ダ・ポンテのこの東京千秋楽が直接背中を押す形になって、東京公演千秋楽後の1.5ヶ月、数年ぶり(下手したら十数年ぶり…)の集中力で自分の今後の人生設計見直し&変更手続きに奔走しました。
 ダ・ポンテ先生とモーツァルト達のお陰で変わったよー!!!!!と報告する記事を書きたいなと密かに思ってるものの、結果がちゃんと分かるまでには少し時間がかかるので、今はあくまで「きっかけをもらいました」まで。
 観劇で何らか人生変わった人って結構沢山いると思うし(私も初ではないです)、日々あちこちの劇場で様々な作品が、誰かの背中を力強く押したり、励ましたり、癒したり、勇気を与えたりしていると思うけど、ダ・ポンテは、観劇自体が楽しく充実していただけでなく、タイミング的にも内容的にも、私とこれからの私にとって、確実にかけがえのない作品になりました。舵を切ったこの先、うまく進むといいなー!!!!!!!!!!

最後に、大切なお時間でここまで読んでくださり、ありがとうございました!!!

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