居場所。
野良猫くんとの始まりの場所。
私はその場所が苦手だ。
雰囲気の良い建物だし、街は雑然としてるが可もなく不可ない。
でもその場所は何故か居心地が悪く、帰りたくなってしまう。
今日も途中で帰ろうかと思ったくらい苦痛だ。
理由の一つは、彼が旅立ったばかりの頃に行った場所だから、彼を思い出して感情が波打つ。
でもそれだけではなく、場所に拒まれている感覚が強い。
野良猫くんと出会うまで行った事はないし、場所自体に思い出も思い入れもない。
この強力な苦痛は一体何なのだろうと考える時間が多いひとときだった。
この街には、彼やあの人との思い出の詰まった場所が幾つかある。
そこへ行くと色んな記憶が蘇って、懐かしさや愛おしさを感じる。
決して楽しく嬉しい事ばかりではないのに、笑って思い出せる大切な記憶。
今日は友人達が、あの人と楽しい時間を過ごしている。
私は野良猫くんに会う事を選んだ。
私の居場所はどこにもない。
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