砂利道。

音楽と共に刻まれた思い出達。


音色はタイムスリップさせるスイッチとなる。




長い時間を過ごして来た事。


笑ったり、喜んだり、怒ったり、泣いたり、寂しかったり。


そこにいつもあの人がいた。


育った環境も、生き方も、言葉のチョイスも、笑いのツボも、思い描く未来も、何一つ共通点のないあの人。


一緒にいる時の安心感や、機嫌を伺うような目も、たまに見せる自我も、ストレートにぶつかる私を交わしたり受け止めたりする優しさや冷たさ。


能天気さに苛立ったり、心配でヒヤヒヤする事も多くて、片時も目を離せない。


あの人以上に誰かを好きになる事はないかもしれないと不安になるくらいに、出逢って5年以上経つのに惹きつけられる力が未だに強い。




私は今でもあの人が好き。




そんな事に今やっと気付いたんだ。


あの人を嫌いになって離れたわけじゃない。


私は一生彼を想い続けるし、あの人は彼の分まで生きていこうと思っているだろう。


私にはどちらも大切で大好きだからこそ、一緒に居られないと思った。


例えそれが逃げだとしても、離れる事しか選択肢はなかった。


それは間違っていなかったと今でも思う。


ただ半年経っても気持ちは変わらない。




逢いたくても逢えない彼。


逢えるのに逢わないあの人。


2人との出逢いは、私の人生を大きく変えた。


2人はそれぞれの道を歩んでいる。


私はまだ砂利道に倒れ込んだまま、地面を見つめている。

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