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第11回「俳句四季新人賞」を読む。

俳句誌「俳句四季」の新人賞は、毎年七月号に発表があります。
少々遅ればせながら、新人賞、新人奨励賞を丁寧に読みましたので、ここに記すことにいたします。




第11回俳句四季新人賞 「水に声」犬星星人氏

好きな句、気になる句、十五句。

天窓に鳩の乗りたる遅日かな
ふたたびは聞けぬ雪割草のこと
つばくろや嘴より泥をこぼさじと
遠足をはぐれて空の広かりし
蛇いちご子供にもある夕ごころ
青鷺の水はうつつを映したる
蝉穴を埋めては父を悲します
耳鳴りのとほくに蓮の咲きにけり
名月や雲の凹凸よく見えて
糸瓜棚おとなの方がよく眠る
彫刻をおほふ白布も冬はじめ
まだ口に餅のこりたる返事かな
雪掻きの少年雪へ倒れけり
雫して氷柱なほさら澄みにけり
水に声あれば二月を明るうす

「俳句四季」2023年7月号P.38抜粋


第6回俳句四季新人奨励賞

「夜へ跳ねて」内野義悠氏

好きな句、気になる句、十句。

狐火やデータのままの写真たち
夕焚火知りすぎぬやう夫のこと
溜まりゆくコスメサンプル春隣
みどりの夜どれかは効いてゐるサプリ
飲み込みし言葉プールの乱反射
遠雷や甘噛みの歯のやがて牙
秋風や触れられて知る剃り残し
ジョーカーのちらちら見えてゐる良夜
どんぶりの底の屋号や天高し
折り合ひのつくまで霧へ浸す唇

「俳句四季」2023年7月号P.39抜粋

「磁界」早田駒斗氏

好きな句、気になる句、五句。

初花やいのりはねがひより青し
タンバリンしやらら町ぢゆう春なるか
占ひ師不在の夜の海月かな
新涼や畑にささる箒の柄
歯茎に血みなぎる馬よ朝焚火

「俳句四季」2023年7月号P.40抜粋



     ・・・・・

俳句四季新人賞の募集は、毎年12月号にあり(11月20日発売)三年以内の既発表句も可能な、題をつけた三十句。
応募時四十五歳以下、或いは、作句開始十年以内。

季語の、春・夏・秋・冬・新年、それぞれの、時候・天文・地理・生活・行事・動物・植物、をまんべんなくの三十句が連作の基本ということを、私は昨年知りました。
季語の位置や、切れの場所、詠嘆の方法などもできるだけ偏らず、に越したことはありません。
それがきっかけで、今年の初めから、藤田湘子先生の「20週俳句入門」で型の勉強をする覚悟ができ、春には無事終えることもできました。


今回、犬星氏、内野氏、早田氏の受賞作を拝読し、季語や詠み方などを自分なりに分析し、大きな学びとなりました。

犬星氏の御句には、体言止めが三句のみ、という驚きと(私は、放っておくと、ほぼ体言止めの句になります)、手慣れた詠み方をとても感じました。
内野氏は、言葉の選び方のセンスが秀逸と思いましたし、早田氏には若さあふれる独特な発想を。

これから年末にかけて、自分自身の句にしっかりと向かい合い、連作を楽しみたいと思います。

いただいたサポートは、次回「ピリカグランプリ」に充当させていただきます。宜しくお願いいたします。