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「障害者専用風俗」の現場から考える「性に対する合理的配慮」の論点:セックスワークサミット2019 秋の大会@渋谷 二日目(9月23日)

9月23日(月・祝)のセックスワークサミット2019 秋の大会@渋谷 二日目「障害者専用風俗」の現場から考える「性に対する合理的配慮」の当日配布資料をアップいたします。

下記の内容に関心のある方は、ぜひご参加ください!

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ゲスト:まゆみさん(障害当事者・元障害者専用風俗店キャスト)
    藤原るかさん(NPOグレースケア機構所属・登録ヘルパー)
進行役:坂爪真吾(一般社団法人ホワイトハンズ代表理事)

13時20分~14時50分(90分) トークセッション

第1部:自己紹介とテーマの解説(20分間)

・登壇者の自己紹介
・「障害者の性」「要介護者の性」というテーマに向き合うようになったきっかけ

<本日のテーマの解説・・・「性的自立」と「合理的配慮」>(坂爪)
・障害者・要介護者にとっての性的自立とは?
「社会の中で他者と共に生きていくために必要な自尊感情、そして人間らしく生きていくために必要な最低限度の性の健康と権利を確保できていること」
・性的自立は社会的自立のための必要条件
⇒性的自立だけでは社会的自立は達成できないが、性的自立なしでは社会的自立は達成できない。
・障がいのある人が自立生活や就労を目指すモチベーションの多くは、恋愛やセックス、そして結婚
 ⇒現行の制度の下では、障がいのある人の性的自立の支援はほぼ皆無

<障害者・要介護者の性を理解するための基本原則>
1.性の問題を、個人ではなく社会の問題として考える
2.性に関する支援は、本人の自尊感情を育むため、そして社会的自立を実現するための支援である
3.性に関する問題の背景には、人間関係や生活環境の問題が隠れている
4.障害者・要介護者の性の問題は、支援者側の性の問題でもある

⇒これらの原則を踏まえた上で、障害のある人の性に関する支援・介助・配慮について、どこまでが「合理的配慮」なのか、どこまでを「合理的配慮」とするべきかを議論する!

第2部:現場で何が起こっているのか(20分間)

●まゆみさん
・障害者専用風俗店で働くまでの経緯(思春期の頃の恋愛や性、男性との交際で感じたことなど)
・障害のある人にとっての恋愛・セックスの難しさ(自己肯定感の低さ、過小評価、価値観の相違など)
・障害者専用風俗店の現場で見た景色(働いた期間、利用者の実像、利用者のニーズ、問題行動、やりがい、トラブル、他のキャスト、印象に残っているエピソードなど)
・「ケアされる側」から「ケアする側」に回ったことで得られたもの
・非日常の娯楽としての風俗、日常のケアとしての性介助の違い

●藤原るかさん
・現場のエピソード(『介護ヘルパーはデリヘルじゃない』より)
 部屋の中にエッチな本やDVDが(これみよがしに)散乱している利用者
 精神に病のある青年が全裸で立ちふさがったときに、どう対応するか?
 自分の性器を見せつけたがる男性に対しては、事前にどのような準備をしておくか?
 脳梗塞の男性から、腕をつかまれてベッドに引き寄せられそうになったら
 認知症の女性から、「夫と浮気しているんでしょ?」と詰め寄られたとき、どう対応する?
・言葉では通じない認知症の人への対応
・パワハラやペットの問題との関係(孤独、社会的孤立、承認欲求)

第3部:課題と解決策(どうすればいいのか)(20分間)

●まゆみさん
・障害のある人を取り巻く社会環境、障害のある男性・女性が囚われがちな価値観(性教育の不徹底、性の語りづらさ、家族の壁、相談相手・場所の欠如など)
・プライベートな時間・空間・関係性を持てないことの辛さ
・マスターベーションの介助・・・当事者の主張(権利)と支援者の主張(権利)
・女性障害者の性欲について・・・何を・どこまで・どのように介助(支援)すべきなのか
・極論と決めつけの弊害・・・当事者も支援者も苦しくなるだけ?
・「自分のため」から「他人のため」に考え・行動する習慣を身につけるための性愛
・被害者にも加害者にもならないために
・障害者向けの性サービス、性介助の理想の形とは?(10代の子ども、家族向けの専門相談機関など)
・当事者に対しても、「支援者への接し方」を学ぶ研修があってもいい?

●藤原るかさん
・セクハラ・パワハラの背景にある課題と解決策・・・介護従事者の4割がセクハラ被害に
 ⇒介護現場でのハラスメントの問題は、社会の風潮や文化と密接に関わりあっている
 ⇒日本介護クラフトユニオンの調査と政策提言、介護現場におけるハラスメント対策マニュアル
・誰かに相談しても解決にならない?・・・背景に人手不足の問題
・同性介助をめぐる問題(LGBT含む)
⇒個人間の人間関係や信頼関係は「男/女」でくくれるほど、単純なものではない?
・介護従事者の社会的地位向上のために必要なこと・・・利用者・家族への啓発、事業所内での情報共有
 (参考:感情労働従事者の権利保護などに関する条例@韓国)

第4部:どこまでが「合理的配慮」なのかを考える(未来への提言)(30分)

・これまでは、障がいのある人たちの性を見たくない・考えたくないという社会のニーズに応える形で障がいのある人たちの方が、自らの性的なニーズを語らないという「合理的配慮」をしていた。
⇒しかし本来合理的配慮をするべき主体は、障がいのある人たちではなく、社会の側であるはず

・性の支援=QOLの支援。しかし、どこまでが「合理的配慮」なのか?(会場にも質問)

強制不妊手術 
性暴力被害の防止・被害者支援 
障害児への性教育の拡充
入浴介助で包皮を剥いて洗う
射精介助(自慰行為の介助)
風俗店への同行支援
AVやアダルト動画の視聴介助
婚活・デート支援
障害者カップルの性交の介助
不妊治療費用の助成
出産支援(サポート体制の整備)
育児支援(ヘルパーの派遣など)
第二子以降の出産支援(祝い金等)

・最も合理的配慮が必要な領域であったにもかかわらず、最も不当な差別的扱いを受けてきた障がいのある人の性の健康と権利に、きちんと社会の光を当てていくために
・障害+LGBTのダブルマイノリティの問題
・性の支援・介助にかかる費用は、誰がどう負担する?
⇒自己負担、障害者総合支援法、介護保険 ⇒民間のNPO、株式会社、行政
・現行の制度で改善すべき点・行政への提言
・「愛される障がい者」から「愛する障がい者」へのパラダイムシフト
⇒本人が自分の意志で試行錯誤を重ねながら、主体的に性愛に関わっていく存在
=「愛する障がい者(要介護者)」になるための支援とは?
⇒『愛される障害者』『愛する障害者』とは、どんな障害者?
・誰かに愛される脇役から、誰かを愛する主人公へ
・当事者・利用者・支援者へのメッセージ

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