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『反脆弱性』のパワーリフティングについての参考箇所

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ウェイト・トレーニングする人を想像してほしい。トレーニングに精を出すと、身体は過剰反応し、もっと大きな負担に備えようと背伸びする(もちろん、一定の生物学的な限度はあるが)。こうして身体は強くなっていく。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle89ページより引用。

私は夜間警備員のアルバイトをしていた通称レニー・ケーキという人物を見つけた。体重130キロの巨漢トレーナーだ。彼のニックネームと体重は、どちらもケーキ好きから来ている。レニー・ケーキは60歳だというのに、このへんの郵便番号五つ分の地域では、間違いなくナンバーワンの体つきをしていた。だから、私は教えを請う代わりに、彼のトレーニングをじっと観察した。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle90ページより引用。

彼は「最大重量」タイプのトレーニングばかりをやっていた。それがいちばん効果的で、時間もかからないと考えていたからだ。この方法では、ジムにいるわずかな時間で、自分の過去の最高記録を塗り替えることだけに専念する。1回で持ち上げられる最大重量を更新しようと努力するわけだ。繰り返しのトレーニングに漫然と時間を費やすのではなく、1〜2回、最高記録の更新に挑戦するだけでいい。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle91ページより引用。

自然に近い形のウェイト・リフティングをするようになった。最高記録の更新に取り組み、あとは休んで、マフィア・サイズのステーキをたいらげる。今では、自分の限界を更新しつづけてもう4年になる。驚くのは、私の中にある生物学的な何かが、今までの最高記録を超える重さが来るのをちゃんと予期していることだ。もちろん、一定の限界はあるだろうが。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle91ページより引用。

私が150キログラムのバーベルでデッドリフト(石を腰まで持ち上げるのと同じ動き)を行い、休息を取る。すると、私の身体は「次に155キログラムが来るかもしれない」と予期し、必ず余分な力を蓄えておいてくれる。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle91ページより引用。

私は骨には特別なこだわりがある。これから話す理由で、私はジムのマシンではなく、重いモノを持ち上げて運動するようになった。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle109ページより引用。

私が見よう見まねで実践していると話したレニー・ケーキのトレーニング方法は、筋肉を強化するだけでなく、骨にストレスを加えて強化することにもつながっていたようだ。彼はこんなメカニズムなんてあまり知らなかっただろうが、ウェイト・リフティングが身体に何らかの影響を及ぼすことをヒューリスティック(経験則)として知っていたのだ。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle110ページより引用。

人間がひとつ前の戦争と戦うのだとしたら、自然はひとつ先の戦争と戦う。未来に関しては、人間の身体のほうが頭脳よりも敏感だ。ウェイト・トレーニングする人を想像してほしい。トレーニングに精を出すと、身体は過剰反応し、もっと大きな負担に備えようと背伸びする(もちろん、一定の生物学的な限度はあるが)。こうして身体は強くなっていく。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle89ページより引用。




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