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インボイス制度施行後の漫画制作会社と広告漫画家の付き合いはどう変わる?-課税事業者になるデメリット-


インボイス制度施行によって免税事業者はどうなる?

2021年12月に政府与党から発表された税制改正大綱でインボイス制度の概要が発表され、2023年10月1日に施行されることになりました。

売上1,000万円以下のフリーランスなどを含む免税事業者も消費税を納めるか否かの選択が求められています。実質増税にあたるこの税制改正ですが、免税事業者のままでいると今後仕事がなくなるかもしれないというリスクを抱えています。

インボイス制度とは

インボイス制度とは「適格請求書保存方式」といい、2023年10月1日から施行される新しい税制です。従来、年間売上が1000万円以下の事業者は、消費税を納めなくてもよい免税事業者として取引が可能でした。しかし、益税解消の観点からすべての取引で適正な消費税納税が求められるため、免税事業者は課税事業者(適格請求書発行事業者)に登録するか否の選択を求められています。

免税事業者が適格請求書発行事業者の登録をすることで、依頼した企業は仕入税額控除(仕入れにかかった消費税を差し引いて消費税の納税額を計算すること)を受けられるので、今後も変わらずの取引が見込まれます。しかし、適格請求書保存方式に倣った請求書を発行するためには、適格請求書発行事業者の届け出を所轄の税務署に提出する必要があります。

インボイス制度施行後も免税事業者のままの場合は、納税すべき税金を依頼した企業が代わりに負担するため、適格請求書発行事業者かどうかで、今後漫画制作会社との取引が大きく変わるのではという不安を抱えている広告漫画家は多いようです。
免税事業者は、適格請求書発行事業者の登録をすることで契約解消や値引き交渉されるといったデメリット(リスク)がなくなることがメリットと言えます。つまり、免税事業者の方々にはデメリットが大きいのです。

株式会社フーモアとしての見解

広告漫画家の大多数は、売上1000万円以下の免税事業者であると考えており、それを前提に仕事を依頼するため、適格請求書(インボイス)を発行できるか否かで今後の取引に影響が出ることはありません。

適格請求書(インボイス)が発行できない広告漫画家に対しては、フーモアが消費税をまとめて負担して納税しますのでご安心ください。また、それを理由に現在ご提示いただいている制作金額から値引き提示することもありません。

インボイス制度をきっかけに免税事業者の収入が減少し、廃業に追い込まれるのではという危惧もありますが、フーモアは広告漫画家の収入減少による負担を少しでも軽減し、金銭面でもサポートをおこなっていきたいと考えています。しかし、各社や広告漫画業界全体がどのような方針を取るのかはまだ分かりません。適格請求書(インボイス)が発行できないため、後述するようなデメリットが生じる可能性があります。広告漫画家は、お付き合いのある漫画制作会社にインボイス制度に対する考え方を確認しておくことをおすすめします。

インボイス制度施行後に起こりうるデメリット1「受注単価の減少」

適格請求書(インボイス)を発行 できないことで、ふたつのデメリットが懸念されています。

ひとつ目は、受注単価が下がる可能性です。今まで納税する必要のなかった金額を依頼側の企業が請け負うことになるため、その分の値下げを交渉される可能性があります。

もしそういった懸念がある場合は、インボイス制度が施行されるまでに制作単価を上げておくにもひとつの対策になるかもしれません。しかし、単価アップは取引が切られてしまうリスクもあるので慎重に検討する必要があります。
※取引上、優位な地位にある漫画制作会社が一方的に値下げ交渉してくることは下請け法や独占禁止法に抵触しますが、双方が同意した場合は問題ないとされています。

インボイス制度施行後起こりうるデメリット2「取引自体の敬遠」

もうひとつは取引自体が嫌がられる可能性です。適格請求書(インボイス)の発行ができないと依頼企業が消費税をすべて負担するため、仕入税額控除を受けることができる適格請求書発行事業者に依頼が偏る可能性があります。

ただし、適格請求書発行事業者(≒課税事業者)への登録は慎重に行いましょう。課税事業者に登録すると2年間は免税事業者に戻ることができないため、登録するメリット、デメリットを踏まえて検討してみてください。

広告漫画家はまだどうするか悩んでいる状況

ツイッターで開催した広告漫画スペースで、適格請求書発行事業者に登録するか否かのアンケートを取ったところ、検討中が約6割となり悩んでいる方が多いという結果となりました。

https://twitter.com/oidolodymama/status/1523457678986846208

前述したとおり、一度課税業者に登録すると2年は免税事業者に戻ることができないので、すぐ結論を出さず、業界全体の状況を注視している広告漫画家が多いのではないでしょうか。

漫画制作会社は、インボイス制度導入による取引の変化について早めに発信して業界全体のスタンスを表明することが求められています。

インボイス制度導入後の広告漫画業界はどうなる?まとめ

  • 免税事業者の方々にはデメリットが大きい

  • デメリット1「受注単価の減少」

  • デメリット2「取引自体の敬遠」

  • 広告漫画家は登録するか悩んでいる

インボイス制度は、免税事業者にとって支出や手間が増える非常に重大な税制改正といえます。フーモアは登録作家が免税事業者のままでも従来通りのお付き合いをお願いする予定ですが、各社や業界全体の方針はいまだ不明瞭なままです。広告漫画家もインボイス制度が施行された後、漫画制作会社がどのような対応をするのか、それによって課税事業者として登録する必要があるのか、制作費を値上げするのか等いろいろと対策を考えておくことが求められています。

フーモアでは、ポートフォリオの持ち込みやWEB面談を心待ちにしております。作家登録ページやツイッターDMからお気軽にご連絡ください。


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