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「世界中で使われないなら、辞めたほうが良い」メディアでは語られない、LinQ代表 原田豪介の過去とこれから

「whoo your world」(※以下whoo)はアプリリリースから3ヶ月で1,000万DL獲得と、国内のアプリでは他を見ない急スピードで成長を遂げている。ただし鮮やかな実績とは裏腹に、創業から本アプリリリースに至るまでは苦汁をなめることも多かったと言う。今回は株式会社LinQ代表を務める原田豪介の過去を振り返ると共に、ここでしか語られないwhooを作るに至った背景までスポットを当てたいと思います。

原田豪介 / Harada Gosuke
株式会社LinQ代表取締役CEO。 1995年生まれ。株式会社ジラフにインターンで入り、そのまま新卒として入社。当時月間3億PVを誇るソーシャルサービス「Peing-質問箱-」のプロダクトマネージャーを担当。2019年に株式会社LinQ創業。

陸上漬けの毎日から一転、スタートアップでプロダクトオーナーに

ずっと小さい頃から陸上をやっていました。もともと陸上で大学に入ったので、ずっと寮生活で部活漬けの大学生だったんです。朝から晩までずっと練習で、どんなときでも常に走るか筋トレをするような生活を過ごしていました。
ただし大学2年生の時に故障してしまい、退部せざるを得なくなってしまった。ショック、というか空っぽになってしまったという感覚でしょうか。今まで生活の大半を走ることに捧げてきたので、部活をしていない自分が信じられなかった。それでも生活していかなければいけないので、居酒屋でアルバイトを1年ほどやった後に、株式会社ジラフで働き始めたのが、僕とスタートアップの初めての接点でした。

–– ジラフは、どのようにして働き始めたんですか?

Twitterを眺めていたら、代表の麻生さんの営業インターン募集ツイートが流れてきたんです。少し気になるなと思い、応募したら、面接日その日にインターン内定が出て、その日の内に「これから新規得意先へのアポなんだけど良かったらおいでよ」と誘って頂き、営業同行に連れて行ってもらったんです。
そんなスタートアップの洗礼を受けながらも、自分が一人のビジネスマンとして取引先の前でお話しして、契約を取ってくるという体験が凄く新鮮で。
そのまま仕事にのめり込み、インターンからそのままジラフに新卒入社することを決めました。

2017年頃の原田。ジラフ社にて

ジラフは現在magiというサービスが主要プロダクトですが、当時のメインサービスはヒカカク!という買取価格比較サービスでした。当時トレーディングカードショップや各ブランドショップ、総合リサイクルショップを対象とした営業をしていたのですが、これが面白いくらい結果が出て、数ヶ月で少し「飽き」みたいなものも感じてしまっていたんです。その後プロダクト開発に興味が湧き始め、プロダクトマネージャーをやらせていただくことになりました。当時のジラフは手を上げたら何でもトライさせてくれる文化があり、そこで営業からプロダクトマネージャーへのジョブチェンジがあったわけです。

当時、初めてプロダクトマネージャーを任されたプロダクトは最安修理ドットコム
スマートフォンを修理する際に、どこが一番お手頃に修理できるかを比較できるサイトですね。当時はインターン生が中心となって運営していました。
当時、プロダクトマネージャーとは言えども、足りない部分があったら何でもやる何でも屋さんだったので、実際に掲載してくださるスマホ修理屋さんに訪問して、一緒に在庫運搬を手伝ったり、粗利計算をしてあげたり、新店舗を出す際のエリア相談に乗るなど、販路戦略を一緒に考えるということもやっていました。
今思うと掲載頂いている店舗さんのコンサルティングのような業務ですよね。

そしてその後に「Peing-質問箱-」を会社が買収し、そのプロダクトマネージャーをやらないか打診が来たんです。
プロダクト開発に興味が湧いてきた僕としては願ってもないチャンスだったのですが、当時既にPeing自体が月間3億を稼ぎ出すモンスターサービスだったので、関わる人が非常に多かったんです。僕自身が人のマネジメントをした経験もなかったので、エンジニアとのコミュニケーションもおぼつかないですし、何をやろうにも常に後手になってしまう。仕事に追われる感覚でした。

買収直後取り上げられた記事。当時、スタートアップの中でも大きな話題に

しかもプロダクトオーナーになって少し経ったタイミングで、当時、「Peing-質問箱-」の脆弱性を指摘するニュースが出たことによって、サービスを3日間ほど落とさなければいけない事態に見舞われてしまいました。そこからネット上では大炎上。ただでさえ、通常業務を回すのも必死な中でやっているのに、炎上対応に見舞われ、本当にあの時のことは正直思い出すだけで苦しくなりますね。あの時に、深夜作業しながら頬張ったマクドナルドの味は今でも忘れられないですね。

ただ、僕にとってはサービスを売るという経験も、プロダクトを開発するという経験も、Twitterで誰かから叩かれるという経験も、皆と一緒にプロジェクトをやり切るという経験も全て初めてジラフで経験させていただきました。
まだ未熟な自分にそこまでの裁量を与えてくれたジラフに感謝しています。

電車の中で自分のサービスについて話している高校生を見て、プロダクト魂に火がついた


–– そこからジラフを退職して、起業に至るんですね。

はい。ジラフで働き始めて約2年が経った頃でしょうか。このままでは世界を狙えるサービスを作れる人にはなれないと思い、退職して翌月には法人登記しています。

ちなみに、今振り返ると起業を後押ししてくれた出来事があるんです。
僕が「Peing-質問箱-」のプロダクトマネージャーになった際に、電車に乗っている高校生が「Peing-質問箱-」の話をしていたんです。スマートフォンを触りながら、隣りにいる友人と思わしき方と「なんか質問きてる!」って。
自分が手掛けたサービスを名前も知らない誰かが使ってくれていて、生活に影響を与えていることを知ったときに、月並みではありますが、純粋に感動したんです。

この「Peing-質問箱-」時代に感じた感動を、もっと感じたいと思いましたし、なおかつ自分がオリジナルで作ったサービスだったら、それはどんなに嬉しいんだろうと。

また、日本はSNS大国にも関わらず、多くの人が普段毎日使うアプリケーションの中に、国産アプリが入っていないということに対して疑問と悔しさも感じていました。YouTubeもTwitterもInstagramも全てシリコンバレーで生まれたサービス。これはやっぱり悔しい。
日本人だってもっと素晴らしいモバイルアプリが創れるはず。

その時、僕は自分が作ったサービスが世界中で使われることが夢だということに改めて気づき、結果的に起業していたというわけです。

仕事を手伝ってくれていた友人(現在は社員の岩崎)の家でミーティング

創業して初めて作ったサービスは「アバチャ」というアバターSNSです。原宿で街行く高校生に毎週インタビューして、ユーザーのスマートフォンのスクリーンショットやサービス利用時間を撮らせてもらったり。
初めてゼロからサービスを作ったので慣れないことばかりでしたが、その時はすごく楽しかった。

「承認欲求に毒されたSNSって面白いか?」この疑問が全てのプロダクトづくりの原点

そのあとはグループチャットサービスの「LinQ」を作りました。
これは僕自身のペインから考案したサービスです。僕はメッセージアプリを使う時にやっぱりどこか使いづらさと言いますか、息苦しさを感じてしまうことがあるんです。
人は皆、複数のコミュニティに属していて、それぞれのコミュニティで呼ばれ方やキャラクターがそれぞれ違うじゃないですか。僕だったら、地元の友達からは下の名前で呼ばれますし、会社のみんなからは名字さんづけで呼ばれます。家族からはパパと呼ばれることもある。でも、基本1つのメッセージアプリで自分のアイコンや名前は1つずつしか登録できない。それに違和感を感じたんです。

それぞれ違う呼び名で、そのコミュニティ内で楽で居られるキャラクターで有り続けたいのに、コミュニケーションアプリ内ではそれを許してくれない。それにしんどさを感じてしまったんです。そのペインを解消するグループチャットツールをLinQというサービスで叶えたくて作りました。

その後、作ったのはNinjarというボイスチャットアプリです。僕たちは普段からテキストでコミュニケーションをすることのほうが多いですが、ボイスコミュニケーションのほうが自分の感情を表現しやすく楽しいではないかと思いNinjarを作りました。
また、ただのボイスメッセージ機能だけではなくSnap chatのように時間が経てば消えるというコンセプトにしてみたら、皆面白がって使うのではないかと思いました。
ただ、いくらダウンロードしてくれたユーザーに使われても新しくユーザーを獲得できなければサービスとしては伸びていかないので、その時に初めてバイラル施策として質問機能を作ったんです。これが面白いくらい数字に繋がったんですね。

そこからユーザーコミュニティを作って、ユーザーのインスタグラムを見に行ったりとか、インタビューなどを行って、ユーザーの意見を反映させながらプロダクト開発していきました。

LinQが開発したサービスの歴史

大切なことは、すべてユーザーが教えてくれた

僕達はNinjarのサービスづくりを通して、ユーザーコミュニティの形成がいかに大事か学びました。ユーザーはサービスをただ使ってくれている人というわけではなく、サービスの未来のヒントを与えてくれる存在でもありますし、僕自身がサービスを開発する上でユーザーに勇気をもらうことも多々ありました。

すごく印象的な出来事でいうと、ある日とあるユーザーから「受験期になるので一時的にNinjarの利用を控えます」という連絡を頂いたことがあったんです。まずこの連絡をそもそも運営に送るということ自体が信じられない、非常にありがたい出来事だったのですが、更にそのユーザーは半年後に「受験が終わったから、またNinjarを再開します」という連絡までご丁寧に送ってきていただいたんです。
なんていうか、このユーザーと運営側の「絆」みたいなものに、すごく僕は感動したんですね。会社単体でサービスを作っているわけじゃないなぁと、ユーザーの生活に寄り添っているからこそ、こういった思いが芽生えたんだろうなと胸が熱くなりました。

また、コミュニティを強くする上で、ユーザーを自分たちより上の立場と思っていないということも、僕たちにとっては大切にしていることなんです。誤解を恐れずに言うとお客様を神様だと思っていない、ということですね。
あくまでも役割の話になると思っているんですが、ユーザーは僕らがプロダクトを作るから生活がより豊かになったり、楽しくなる。僕らは皆がプロダクトを使ってくれるから、更に良い体験を生み出そうと思って開発を頑張る。どっちが欠けてもいけないし、どちらも成立させないといけない。そのためにはやっぱり距離感がすごく大事だと思っているんです。特に僕たちみたいに10代の利用者が多いサービスなのであれば特に。ユーザーの熱狂を作るためにはどちらも対等でなくてはならない。そのためにグッと距離を縮めてコミュニケーションすることが非常に大事だと思っています。

ソーシャルプロダクト以外は作らないという強い意志

Ninjarがオーガニックで300万DL規模に成長し、新たに新規事業も検討し始めました。
当時はCryptoが日本の中でも凄く勢いがあるカテゴリだったので、Cryptoをやろうと思い、日本の税制の問題もあったのでオランダ法人の設立も検討し始めました。
実際オランダ現地に行って、ビザを取る準備も始めようとしていたんです。

でも、ふと今まで作った色んなものを置き去りにしてまで、Cryptoに熱量を注げるのか?と問う自分がどこかにいたんです。結局世界で使われるサービスを創りたくて起業したけど、今自分は違う方向に行こうとしている。本当に大事なものって何なんだっけ?と。

アムステルダムの空港に降り立ち、CTOの武田さんに電話しました。
オランダ法人を作ろうと思って、オランダまで来たけど正直このまま進んで良いのかわからないと、正直に話したんです。
当時、僕も武田さんも子供ができたりプライベートで大きな変化があったということもありこれからどんな姿勢で仕事をするのか迷いも出ていました。

武田さんと話す中で、自分の今考えていることも全て話した際に
「やっぱりやるからには、本気で世界を変えられるサービスを作りたい、そのために自分たちは会社を作ったのではないか?」「改めて、自分たちが最高の熱量を注げるものはソーシャルサービス以外ない」という結論に至ったんです。

今まで作ってきたものもソーシャルアプリ一筋だし、これ以外をやる選択肢は、今ここで無くそうと。世界で戦えるソーシャルアプリを本気で作ろうと改めて腹を決めました。

そこからtomateという位置情報共有と写真共有を一度に出来るソーシャルアプリを開発しました。当時Zenlyのクローズ発表もあり、位置情報共有という機能にユーザーが食いついてくれていたことは数字を見ても明らかだったのですが、それでもユーザーからは毎日InstagramのDMにて「Zenlyの代わりになるものを作って欲しい」と連絡が来ていました。

位置情報単体のサービスを別で作るべきか、tomateの機能強化をすべきか悩んだのですが今ユーザーは「位置情報共有アプリ」を求めているんだと思い、新しくプロダクト開発をする意思決定をしました。それがwhooのはじまりです。

新しいプロダクトを立ち上げると決めてからは6週間で開発を完了し、リリースまでこじつけました。朝10時から働き始めて、3時まで開発に集中して、早朝4時から歩いてデバックして、朝6時に寝て、また10時から働いて....。これをずっと繰り返していたので体的にはしんどかったですが、リリースしてから、ぐんぐんダウンロード数が伸びていき、ピーク時には1日で100万DLダウンロードされました。その数字を見た時に今までの苦しかったことも吹っ飛んだ感覚でしたね。
(リリース当時のことについて触れている記事はこちら /出典:アプリマーケティング研究所)

位置情報共有のニーズはZenlyが作ってくれていたので、ある程度サービスが伸びることは確信していたのですが1日に100万DLは想定していませんでした。

気付けばたった3日間でサーバー代が数千万かかってしまい絶望もしました。
常時接続サービスなのでとにかくランニングコストが自分たちが予想している10倍以上に膨らみ、これは流石に2人(原田と武田)だけでカバーできる領域を遥かに超えていると思い、会社として拡大していく意志を固めました。

既存のSNSの常識を壊しに行く。自分たちの手で「楽しいインターネット」を創ってみたい

—- 改めてwhooのサービスについて教えていただけますか。

はい。whooは位置情報アプリです。現在ティーンを筆頭に利用者を伸ばしており、リリースしてから約1年で1,500万DLを突破しています。
ありがたいことに日本だけではなくアジア圏の利用者も増えており、海外のアプリランキングで上位に入ることも多くなってきました。

同じアプリを使う友人同士で「今どこにいるか」をリアルタイムで知らせ合い、チャット機能を通じて、近くに居合わせた友人に話しかけることも可能です。
僕はよくwhooの好きな点をあげる際に、「コミュニケーションのハードルを下げている」と社内で話しています。例えば、関係が深くない知り合いをいきなり飲みに誘うのは気が引ける。しかしお互いの位置情報を共有していれば前提は変わる。夕方、相手が仕事場から離れ始めたことが分かり、なおかつ自分が偶然近くにいた場合、「さくっとご飯でもどうですか?」と誘いやすくなると思うんです。

実は、既存のSNSにはありそうでなかったコミュニケーションなんですよね。既存のSNSは必ず自分がどこにいるか、自分が何をしているかをテキストや写真、もしくは動画などのコンテンツを通じて発信する必要があります。

それだけならまだ良いのですが、既存のSNSは常に誰かに見られることを意識してしまう設計になっているので「ありのままの自分」でいられないんです。
誰かに見られることを意識するがあまり、自分を過剰に良く見せたり、誰かに対して何かをアピールするための投稿が目立つ世界観になってきているように感じます。「バズ」という言葉が市民権を得たせいか、どのプラットフォームでも、その投稿に対してどのくらいリアクションがあるかという意識が強くなっているんです。

ソーシャルメディアが台頭してきた2007年頃は、Twitterでつぶやく内容は「渋谷なう」だけで良かった。仲の良い友人に見られる前提での発信だけで良かった時代がありましたし、僕はそのコミュニケーションが一番ありのままの自分でいることができて好きなんです。

本来のSNSの使い方は、友達とより仲良くなるためのツールであるべきだと考えてます。そういう意味では、近年は誰かにアピールするためのメディア化されたSNSが多くなってしまっている。

ただ、whooは違います。位置情報そのものがコンテンツなんです。アプリを入れているだけで繋がっている友だちに位置情報が共有されるので、「あの子は今渋谷にいるんだな」とか「学校からバイト先に移動しているんだな」とか「今仕事が終わったんだな」とか。
何も発信しなくても伝わる温度感が、そこにはあるんです。

コミュニケーション領域だったら、ずっと第一線で勝負し続けられる


僕はPure toCサービスを創れる人がやっぱり一番クールだと思っています。何かしらの社会課題を解決するtoBサービスも素晴らしいと思いますが、みんな10年以上それをやり続けられるのか?とも思うんですよね。
起業してビジネスが大きくなったらある程度立場を手放す人のほうが圧倒的に多いと思うのですが、to Cはゴールがない。コミュニケーションという領域は何かを解決したら終わり、何かの業務を効率化したら終わりというわけではない。こんなに壮大で自分を興奮させてくれる領域は他にない。

僕たちのプロダクトを使うことで大切な人を愛する気持ちを思い出したり、絆が深まったことを確認し合ったり、時には戯れたりふざけたり。
僕は、好きな友達や家族とピュアな状態でコミュニケーションできるサービスを創りたい。
僕はコミュニケーションという領域なのであれば、人生を賭けられる。それくらいこの領域に強い興味がありますし、飽きない自信があります。

グローバルで勝ちきれるサービスを創る

まずはグローバルで1億人が使うアプリを本気で目指します。もちろん足元のマネタイズなども考えていないわけではないですが、サービスをとにかく伸ばし切ることが何よりも重要です。もしマネタイズとサービスグロースがトレードオフになるのであれば確実にサービスグロースを取ります。お金を稼ぐためにサービスや機能を創るのではなく、ユーザーにより心地よい体験を提供するためにお金を稼ぐものと考えています。なので、そこがいつの間にか逆になってしまったり、マネタイズを優先して目の前のユーザーを置き去りにするダサいプロダクトは作る気はありません。

ちなみに、僕はこの会社で成功できなかったら、5年はニートになると思います。多分働く気が起きない。それぐらい全力かつ本気でこのサービスと会社に向き合っています。

ここまで徹底的に考えているので中途半端なことは一切したくない。ここまでやり抜いて事業を作らないと世界で一番のサービスは作れない。その覚悟で今後も伸ばし切れるところまで諦めることなく伸ばしきりたいです。


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