詐欺師

「ギャンブル依存症というより、典型的な詐欺師だったんだね」「まんまとだまされていた大谷、ちょっと恥ずかしくない?」「ほかに財産管理人がいなかったの?」「親とか、全く助けてあげていなかったのかねえ」「そこが詐欺師の巧みなところじゃない」「以前の日本ハムの人たちもみんなだまされていた」
例の一平の話題で、友人との会話が盛り上がる。単なる嘘つきと、詐欺師とは違うのだろう。
わが家には、その昔、母の母の「全財産だまし取られた事件」が、教訓として残っている。勝ち気でしっかり者の祖母は、介護し続けていた祖父が亡くなった後、先祖代々の財産を全部ひとりで管理していた。叔父に言わせると、息子たちをいっさい信用しなかったと。ところが、80を前にして、長年のお付き合いだった郵便局の担当の若造?に、ぜーんぶだまし取られたのだそう。警察沙汰にまでなったが、入念に計画されていたあげくの持ち逃げだったらしく、祖母は住んでいた家を残してスッカラカンになった。周りのおとなたちは誰も気付かなかったのか、まだ子どもだった私には詳しくわからないけれど、その話になると、母の兄弟で唯一生きている叔父も口をつぐむのだ。
まさか、あんなに賢い人が・・・、実はそういう人ほどコロッと引っかかる。身内を疑って、必要以上に他人を信じる、そう思わせる詐欺師の手口はすごい。ホストに全財産つぎ込んでしまう~くらいは可愛いもんだ。ロマンス詐欺なんて言うのもあったなあ。ちょっとはいい思いをしたから、とことん用立ててあげたい、助けてあげようと思うのか?
何でも1人でシャッシャと即断、解決していけると思い込んでいると、かえってつけ込まれる。歳を取れば取るほど、自分の能力を信じ過ぎない、待て待てとひとまず立ち止まる、だれかに聞く・・・、自分自身に言い聞かせている。

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