投稿誌Wife編集部

「普通の女性」の声を集めて61年。今も年4回発行を続けている投稿誌「Wife」編集部で…

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「普通の女性」の声を集めて61年。今も年4回発行を続けている投稿誌「Wife」編集部です。3カ月に一度では書き足りない思いをここに。3カ月間濃縮した思いは紙媒体雑誌でどうぞ。年4冊発行で購読料4320円。https://womenslife21.netからお問い合せください。

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    投稿誌Wife4代目編集長前みつ子が綴るよもやま日記

最近の記事

妄想ばなし

わが家の裏手の遊歩道を通って帰宅する際に、必ず通るご近所さんの家々。この辺りは、もともと広い敷地を何分割もして建てられた新興住宅地だ。30年も前にわが家が移り住んだときには、すでに隙間なく家族の生活が出来上がっていた。ちょうど裏手の比較的大きな敷地は、息子の同級生の家、でもあちらは女子なので親同士のお付き合いはほとんどない。“もも”という名の大きな番犬の、大きな犬小屋はまいまだ玄関脇に置かれているけれど、今はご夫婦だけのよう。でも、頻繁にまだ独身らしいお嬢さんが帰ってきている

    • 美容院

      取材に行くためにバスを待ってたら、いつも行く美容院のオーナーOさんとばったり会った。年に3回程度しか髪をいじらない私だから、いいお客さんとは言えないだろうが、それでも、20年近くのお付き合いになる。Oさんは私の顔を見るなり、「髪型、いい感じに決まってますねえ」「その服装とよく合っていますよ」と言う。褒めてくれているのだろう、悪い気はしない。 黒い薄めの上着と黒のキュロットスカート。肩からぶら下げた大きめのバックには録音テープやカメラ、書類などがパンパンに詰まっている。若い頃か

      • 静かなご近所

        ゴールデンウイークに突入しているが、ご近所は今日も静かだ。 男の子が4人いるお向かいのお宅だけ、朝からパパの大きな声が響き渡っていた。小5と小2の上の子2人が朝からサッカーのようで、しかも、行く先は別々、自転車で送り出す際のバタバタの様子は、見なくても想像できる。ガテン系の旦那は声が大きい。ときおりママの名前も「おーい」「おーい」と呼ぶ。子どもが5人いるみたいで、微笑ましい限りだ。 もうすぐ2歳になる末の子を、前に背中に抱えて動き回る小柄なママは、いつみてもどっしり構えていて

        • 黄砂か…

          朝から左目が妙に痛い、ゴロゴロする。花粉症の時季は終わったと思ったのに、目薬をさして何度もパチクリするが、それでも違和感が続く。今日は東京にも黄砂が飛んでいるらしい。目だけではない、左のこめかみも重くてズキンズキン、首筋まで凝ってきた。こうやって具合悪さを取り上げていったら切りがない。あ~あ、全身すっきり快調という日は、もう来ないのだろうか。 一日中、どんより重苦しい日だった。家の中にいると、ニュースで言うほど暑くない。長袖ブラウス一枚では寒いくらいだ。でも、一歩ベランダに出

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          47本

        記事

          上野毛のクリニックで

          ピンチヒッターで、急きょ上野毛のクリニックの先生取材に出掛けた。連絡があったのは一昨日の晩、担当していた彼女の父君の具合が悪くなったから実家に帰らなくてはならないと、代わりに行ってほしいと言うのだ。取材内容やコンセプトもあやふやなまま、引き受けた。近いし、断る理由はない。整形外科医の話は興味がある。ただ、いつものような疾病啓蒙記事ではなくて、クリニックの広告という感じだから、あまり面白くはない。実はこの手のケースが、一番難しいのだ。あからさまな宣伝は法律に触れる、かといって「

          上野毛のクリニックで

          脚がつる

          毎朝のように脚がつる。常に左脚の調子が悪い。多分、かなり重度の外反母趾が原因で、長い年月をかけて血流が悪くなっているのだろう。筋肉の状態を調べると、具合が悪いと感じている左脚のほうがだんとつ筋肉量が多い、とでる。第二の心臓と言われるふくらはぎの太り具合も、右側の倍はある。特に気に病んでいるわけじゃないけれど、何かの拍子にこういう話をすると、整体やマッサージ、そのほか諸々を勧められる。あそこの整形外科はとても効くから是非行くようにとか、遠赤外線とはまた異なる何とかという布を当て

          八咫烏シリーズ

          知りあいが多い私、いろんなグループの仲間たちと会うのはもちろんだが、毎日のようにLINEで交流している。その中の優雅なマダムグループの人たちには、いつも感心している。 1人が阿部智里の「八咫烏シリーズ」にはまっていると書いてきた。すぐさま別の人が原田マハの「板上に咲く 棟方」を読んでいると書き、もう一人が原田マハは全部読んだと。そして瞬時に、伊岡瞬や夏川章介、近藤史恵など、次々に好きな作家の名前が挙がった。みんなすごい、読書家だ。寝る前に数頁しか読まない、と謙遜するけれど、継

          八咫烏シリーズ

          吉祥寺に行きました

          雨の合間を縫って、おひとりさまのグループの遠足で吉祥寺の井の頭自然動物公園へ。昨年暮れから、天候不順のせいで秋の遠足も初詣も流れた。こんども天気予報を気にしながら、雨が心配だった。家を出るときにポツリときたもんだから慌てたが、暑すぎず寒すぎずちょうどいいお散歩びよりとなった。シニア料金200円で、深い緑とマイナスイオンをたっぷり味わうことができる。ここも東京都の施設、なかなかきれいに整備されていて、特に子連れにいいかもしれない。私たちは総勢12人の60代、70代、80代の女た

          吉祥寺に行きました

          ちょこっとだけ来た息子

          「明日の昼あいてますか~」 大阪の息子からのメールに朝になって気付いた。そうか、東京出張なんだなあ。「いますよ~」と返事を送りながら、一日中寝ていようと思っていたのを取り消した。今のわが家からもっと多摩川に近い所に住んでいた頃から、息子たちが大好きだった地元のパン屋さんに急ぐ。早い時間に行かないと売り切れてしまう。焼きそばパンやウインナー、テリヤキバーガー・・・、あの頃のように、惣菜パンを山ほど買い込んだ。 「6時から高円寺で舞台を見なくちゃいけないから、昼過ぎになるよ」 「

          ちょこっとだけ来た息子

          ボーイフレンドたち

          アメリカから一時帰国中のMくんを囲んで、蒲田の中華料理屋さんに集まったのは7人だった。円卓で、全員の顔を見ながらあれこれしゃべるにはちょうどいい人数だ。急な声かけにもかかわらず、平日の昼間にぱっと集まれたのは立派なもんだ。ただし女性は私だけ、「あなた人気がないのね」とMくんを茶化したが、夫を置いて出掛けられない、本人の体調が悪い、入院中、1人で電車に乗れない・・などと、実は女性陣からは情けない返事ばかりだったのだ。集まった人たちはほぼ全員、いまだに何かの仕事をしていて大忙しの

          ボーイフレンドたち

          「おくさま」という人生

          80をひとつかふたつ越したお金持ちのマダムSさんの話。 超一流の銀行の頭取にまでなった自慢の旦那さんは、20年以上前に急死。おひとりさまという共通項で、私とはつかず離れずのお付き合いが続いている。もともとは小学校のPTA活動で知り合った。女子大出の元スッチー、人はいいのだが、上から目線でズバズバものを言うものだから、当然周りからは疎まれ避けられ・・・・、それでも正義感があるし、銀行という世界の裏話がおもしろいから、私のようなタイプの数人が時々彼女の豪邸にお邪魔したり、近場で食

          「おくさま」という人生

          待ち時間

          待って、待って、車両に揺られて、そしてまた待って・・・。この2日間、ドクターに話を聞いていたのは合わせて二時間あまり。あとはただひたすら時間が過ぎるのを待つだけだった。これが私の仕事だ。 池袋のホテルで一日目のインタビューが終了したのは、予定よりも早い19時。そのまま新幹線で山形まで行く。もしや一本前の「つばさ」に乗れるかもと期待して、大宮までとんで行ったのだが・・・、結局一時間待つはめに。 取材ストーリーはどのドクターもみんな同じだから、後はいかに本人の言葉で聞き出せるか、

          血圧安定

          八重洲のクリニックで2カ月ごとの受診の日。ぜん息やアレルギー性疾患のチェック、肺活量や呼吸器の検査が中心ではあるが、総合的に内科診察をして貰える。 ここ半年ほどの気掛かりは、血圧が140台と少々高めなことだ。もともとは低い方で、午後に測っても130を超えたことがなかったから、自分の中では気になっていた。2月の受診の際には150近くもあって驚いた。めまいとかふらつきがあるわけではないし、「帯状疱疹後の痛み、鎮痛剤服用などのためかも」と担当医は特に問題視しなかったけれど、以降、自

          狛江と立川

          日曜の昼下がり、暑くなる暑くなるという予報のわりには涼しくて、着るものが定まらない。上着を脱ごうかと足を止めた狛江駅の前で、突然声を掛けられた。 マスク姿の穏やかな女性、えーと誰だっけ、とっさには思い出せない。確かに知っている人に間違いはないのだが・・・。なぜ? どうして? というオーラ丸出しで目をぱちくりしている私に、「2年前に娘が狛江に越してきたの」と彼女は言い、隣にいた犬連れの女性に私との関係を説明する。おひとりさまのグループの仲間のひとりだった。しかも、立川でもごくご

          預けたロッカーがみつからない

          わが家に一泊予定の妹と新宿駅で待ち合わせ。義理もあって、東京タワーの隣の高層ホテルで行われた、藪中三十二氏の講演会と立食パーティとやらに参加する。妹はけっこうな荷物を抱えていたから、コインロッカーを探したけれど、どこも赤ランプばかり。諦めかけていたら、都営大江戸線の改札口に降りるエスカレーターのうえから、ひとつだけ赤がついていないボックスを見つけた。遠くはわりとよく見える。しかも、今風のスマホで操作するのではなく、一昔前のタイプだ。ラッキーとばかり荷物を入れ込んだ。 いちどゆ

          預けたロッカーがみつからない

          詐欺師

          「ギャンブル依存症というより、典型的な詐欺師だったんだね」「まんまとだまされていた大谷、ちょっと恥ずかしくない?」「ほかに財産管理人がいなかったの?」「親とか、全く助けてあげていなかったのかねえ」「そこが詐欺師の巧みなところじゃない」「以前の日本ハムの人たちもみんなだまされていた」 例の一平の話題で、友人との会話が盛り上がる。単なる嘘つきと、詐欺師とは違うのだろう。 わが家には、その昔、母の母の「全財産だまし取られた事件」が、教訓として残っている。勝ち気でしっかり者の祖母は、