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要約されてしまう10分こそが、人生かもしれない

金曜ロードショーで放送していた「カールじいさんの空飛ぶ家」を見たら、まさかの開始10分でおじいちゃんになってびっくりした。

早すぎるって。

恐らくカールじいさんは推定70歳ぐらい。冒頭、冒険に憧れる少年は恐らく5歳ぐらい。ということは、たった10分で65年分の年をとったのだ。

65年 ÷ 10分 = 6.5 年/分。単純にいえば、1分で6.5年分の年を重ねているということだ。5歳の少年が1分後には11歳と半年。2分後には18歳。歳のとり方が犬じゃん。ダグじゃん(カールじいさんの空飛ぶ家に登場する犬)。

ただ、そのたった10分のシーンがめちゃめちゃいい。とにかくいい。

5歳ぐらいのときに出会った、カールじいさん(このときはじいさんじゃないけど)と同じで冒険を夢見る女の子、エリー。彼女と付き合い、結婚し、子どものときに2人が秘密基地として使っていた廃屋を買い取る。そして2人でDIYを重ね、家が完成。手形をつけたポストがお気に入り。仕事に精を出し、エリーがカールじいさんにネクタイをつける日々。子どもができず悲しむエリーを見て、冒険の夢を叶えるために再び貯金を始める。2人は少しずつ年をとり、行きつけの丘を登れなくなってしまうエリー。カールじいさんはカールじいさんになり、一人になる。

10分でカールじいさんの65年の月日が流れていくさまを見て私は「ああ、そここそが見たいんだけどなあ」と思っていた。

2人は行きつけの丘で寝転び、空を見上げながらどんな話をしたんだろうか。エリーはカールじいさんに毎日、カラフルで奇抜な柄のネクタイをつけていたけど、なぜそのネクタイたちを選んだのだろうか。そして、ネクタイの総数はどのくらいあったのだろうか。

理由はわからないけれど、子どもができなかったとき、エリーとカールはどんなことを感じたのだろう。そんなことを思っていた。


それと同時に、人生の多くの時間はこの10分のように要約されてしまうんだなあと思った。


だからこそ、カールじいさんと一緒に空飛ぶ家で冒険することになった少年、ラッセルが途中で言うセリフが印象的だった。

ねえ、この話つまらない?

でも僕は、つまらない話ばかりを覚えているんだ。

気になった人はぜひ、「カールじいさんの空飛ぶ家」を見てください。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。