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夜、誰にも見られないようにゴミを捨てる私はスパイのよう

ゴミ捨てって、つらい。つらいというか、面倒くさい。この世の中、面倒くさいはすべてに勝つ。家を綺麗にしたいのに、そもそもゴミ箱が満杯だと「綺麗にするぞ!」と意気込んだときのやる気が萎んでいく。「え~……綺麗にして出たゴミはどこに捨てたらいいんですか~……」私は呟く。とりあえず掃除機を出してみたものの、掃除機にはかつてのゴミが入っていて、「クリーナーを綺麗にしてください」を知らせるランプがチカチカ点滅していて、それだけでもう面倒くさい。いい、家は綺麗にしなくていい。とりあえず、いい。

そして、私の生活統計だけど、料理が一番ゴミを出す。「じゃあ今日は鍋にしよう」そう思って、白菜に巻かれたサランラップを捨てる。白菜の最初の1~2枚はシオシオと枯れている部分があるから千切って捨てる。ジャクジャクジャクと白菜を切ったら、次はネギ。根っこの部分を切って捨てる。シャクシャクシャクと切って、頭の青い部分はちょっと枯れているから使えるところまでは切って捨てる。もやしは袋をバリッと破って鍋に直接ダイブ。空になった袋を捨てる。パントリーから「プチッと鍋」を取り出して、ぐるりと回しかけたらプチっと部分を捨てる。ちなみに今日は、濃厚みそ鍋。これが一番美味しい。

ここまでですごいゴミが出た。正直言うと、満杯のゴミ箱をぎゅうぎゅうと押し込んで無理やり詰め込んだ。ゴミ箱には謝った。こんな家主でごめんよ、こんなに詰め込んでごめんよ。私も捨てたいんだけど、捨てたいんだけど、面倒くさいんだよね。ごめん。許して。

だけどさっき。もうついに捨てきれなくて、キッチンの隅のほうに空の牛乳パックとか、空のツナ缶とか、空のキムチのパックとかが無造作に置かれていたから(私の暮らし方が垣間見えてしまうけれど……noteのために背に腹は代えられない)、満杯のゴミ箱からゴミ袋を引きずりだした。そしてキッチンの隅で家賃も支払わないのに鎮座していたゴミたちをぎゅうぎゅうと入れた。

夜、玄関のドアを開けて周りを見渡しながら「誰もいないよね……」と呟いて、マンションの下にある共同のゴミ箱に捨てに行った。パジャマで、薄着。寒い。誰にも見られたくない。夜のゴミ捨てに行くときが一番俊敏さがある気がするし、スパイになった気分になる。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。