「ズレズレなるままに」親不孝…

 もう12年かぁ…。時の移ろいは早いもので、サンケイスポーツ時代の後輩S君の13回忌でした。前夜はご両親のお招きで、サンスポ組と学生時代のご友人達と食事会、日曜日は彼が眠る墓にサンスポの皆さんと手を合わせました。

 東日本大震災が起きて日本中ワサワサしていた年の瀬、「アイツが交通事故で運ばれた」という一。当時は夕刊フジのデスクをしていて、夜は締切まで時間があるので病院に駆けつけたけど、その日はどんな仕事したか記憶がありません。
高校時代、20代前半にも友人を病気で亡くしているけど、やはり若くして親より先に逝くのは、ちょっとツライ。

食事会の場で、初めてゆっくりお母様と話をしました。案外、仕事中のエピソードなんて親は知らないものでしょう。我々の記憶をお話したら、「そんなことがあったのですか、今日はありがとうございました」と感謝されました。

S君とは2006年サッカーW杯に行ったし、野球でも一緒に仕事しました。底抜けに明るくて、ちょっとボケていてお調子者。いいように使われたせいか亡くなるときは芸能担当と、上司の適当な差配であれこれ異動もあったけど、どこでもそつなくこなしていたのは間違いありません。

スポーツ紙は年末になると「読者プレゼント」に、各担当がグッズ集めに奔走させられます。野球担当の場合、選手からバットや手袋を頂いたりしますが、だいたいは未使用品。ただ、ファンはやっぱり選手が使ったものに価値を見出すわけですよ。

ある年、鹿島アントラーズ担当だったS君は使用感たっぷりのスパイクを持ってきました。元日本代表の本山雅志さんのものです。本人いわく、「本山さんが“これあげる”ってくれました」とのこと。こういうところに、記者としての食い込み度合いが出るんものなんですよ。

12月末の忙しい時期の葬儀でしたが、アントラーズの幹部や某大手芸能事務所から花や弔電が来ていたのはもちろん、彼が野球時代に担当した西武ライオンズの選手やある芸能人も参列してくれました。これだけ取材対象に信用される記者は会社の財産なんだけど、あちこち異動させた上司に人を見る目かなかったってことだよね。

彼の遺影は、もちろん当時のままの笑顔です。かたや、こちらは立派なオジサン、オバサンです。ご両親は時間の経過をどんな思いでいるのかなと、ふと考えます。やっぱり親より先に死ぬのは親不孝の極みだなと。

翻って…。あと数年で還暦を迎えますが、そのとき卒寿になる母はどう見てもこちらより元気過ぎる。あちこちガタガタの息子は、母より生きながられる自信はありません〜🥴

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