「ズレズレなるままに」野球殿堂入り


 今年の野球殿堂入りが決まって、プレーヤー表彰では谷繁元信さんと黒田博樹さんに決まりました。

 もちろん記者投票もあって、MVPの野球記者歴5年以上に対し、殿堂は15年の経験を要します。それでも、やっぱり毎回出てくるのは「なんで◯◯が入らないんだ? 記者はどうなってんだ!」って議論ですな。今回でいえば掛布雅之さんでしょうか。正直、これは難しい問題なんですよ。そのときのノミネートされた顔ぶれとか、「プレーヤーじゃなくエキスパートで取れるのでは?」なんて状況もあったりして。そりゃ、贔屓の選手には殿堂入りしてほしいよね。

 担当記者が難儀するのは「特別表彰」。アマの重鎮みたいな方ならともかく、あまり有名でないと、原稿書く材料が乏しくて苦労した記憶です。

 ところで、表彰式ではゲストスピーチがあります。今回でいえば谷繁さんはベイスターズ時代の権藤博さん、黒田さんには山本浩二さんでした。
名誉のために名前は言わないけど、ある方は表彰が決まったものの、なかなかゲストスピーチが決まらなかったことがありました。なんだか、こういうときに人徳というのが分かっちゃう気がします。
 かと思えば、表彰者とは何の関係もない演説を延々とぶった人もいたっけ…。
 権藤さんで思い出したけど殿堂入りすると、とある試合の前に表彰式をやります。監督時代に担当記者として仕え、20年近く経ち立場変わってNPB職員時代にはこの表彰式でアテンドしたんですよ。珍しく「こういうのは緊張するよ。知ってる顔がいてよかった」と、日頃は泰然としている権藤さんの違う表情を初めてみました。

 さて、いまだ表彰されていない中には、江夏豊さんとか加藤秀司さんなんてビッグネームが案外いるもので、こちらも今の時期は話題になったりします。それに水島新司さんも、候補になりながら最後は辞退されたけど貢献度高いよね。

 論点違いますが、公私(今は仕事関係ないか)ともに“ボス”の江本孟紀さんは、いつも「阪神園芸を表彰すべきや」といいます。確かに、雨さえ降っていなければ試合ができる技術は間違いなく日本、いや世界最高水準じゃない? しかも、プロばかりかアマだって恩恵に預かっているわけだし。個人というより、団体になってしまうけど。
 余談だけど、水島新司先生の名作「あぶさん」には、酒が飲めない江本ボスが大酒飲みのキャラで登場。そのことを伝えたら、のちに下戸キャラになったとか。
 また「ベンチがアホ」と言って、そのままスタンドに投げ入れたグラブには水島先生が書いたイラストの刺繍が入っていたそうです。のちに持ち主の方が「鑑定団」に出したらしいけど、ボスは「そんなに高くなかったね」と笑っておりました。

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