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その午後私は、その場所に向かう


12:00 退社!!
12:05 出発!!

雨予報だった天気ははずれ、晴れた正午、私は最寄り駅に向かって走った。
「大好きだった、あの味に会える」
毎日通る道が、いつもより輝いていた。

世の中がコロナ騒動になる前、同僚とランチで通っていたパスタ屋は、ある時閉店した。
そこのパスタが大好きで、嫌なことがあっても頑張れるご褒美パスタ。
閉店すると聞いたときは、ものすごく凹んだし、閉店直前まで同僚と足繁く通った。

その後、他のお店でパスタを食べても感動することはなかった。
「移転の予定もある」と聞いたので、
再開のお知らせを待ったが、一向に再開の話は上がることなく、完全に思い出になっていた。

つい先日、同僚が会社の社内チャットで食べログのURLを送ってきた。
「お店、再開してるらしいよ。」
「うそ??いつ??」
仕事の手を止めて、しばらく会話に熱中した。
たしかに、そのお店は噂通りの移転先で、再開していた。
しかも、ひっそりと再開している。
「行きたい」衝動は抑えられなかった。

同僚とは予定が合わず、
友達を誘ってみたものの、体調不良により急遽キャンセルになってしまった。
それでも、私の気持ちは抑えきれず、一人で行くことにした。

*****
鎌倉について、江ノ電に乗り換えた。
鎌倉殿の13人やスラムダンクの影響で、平日にもかかわらず電車は混んでいた。
私の家から鎌倉は、そう遠くない。
小学校、中学校の遠足、高校の部活の練習試合など、
神奈川出身の私にとっては、そんなに特別な場所でなはない。

久しぶりに江ノ電に乗った。
電車は極楽寺を過ぎて七里ガ浜に向かう途中、国道134号と合流する。
そこに、海が広がる光景はいつ見ても美しい。
周りは友達、恋人、家族と楽しそうにしていて「観光地」であることを思い出した。
これから待っているパスタを考えていると、一人で乗っていることも全く気にならなかった。
食欲とは恐ろしいものである。

*****

最寄駅に着いた。
何度か降りたことがある駅だが、何年ぶりだろう。
あまり詳しくないので、事前に教えてもっらった道を辿ってお店に向かった。

お店に着いた。
当然のことだが、都会にあった当時のお店とは違う。
入口から海が見える、素敵なお店だった。
ワクワクも最高潮だった。

メニューを見るとPizzaが増えていた。本格窯があったのだ。
パスタ目当てに来たにもかかわらず、気づけばマルゲリータを頼んでいた。
お店に通っていた当時は、同僚と違うものを頼んでシェアしていた。
本来ならば、Pizzaもパスタも食べたいが、これが一人できた運命だろう。
パスタを目指したが、Pizzaに挑戦した。

お店の雰囲気も良く、青い空と海を前にしただ最高こロケーション。
雰囲気を味わっているだけで、あっという間に時間は過ぎた。
バジルとトマトのいい匂いのするアツアツPizzaがやってきた。
一人で食べるにはあまりに大きいと感じながらも、一口…
「おいしい!」
シンプルだが、上品なトマトソース。私はこの味が好きだ。
トマトソースの感じは懐かしさも感じる反面、Pizzaにすることで、まったく別物のおいしいものに出逢ってしまった。
薄めのPizzaで耳はもっちり。本格窯の味もする。
「今日ここに来てよかった。」
改めて実感した。
周りの客がパスタを食べているのを見て、うらやましい気持ちにもなった。
「やっぱり、パスタを食べたい」
この時、私のリベンジことリピートが確定した。

本格窯のピザ


正直、このお店は誰かときてシェアするのが、一番満足度が高いと思う。

*****

葉山、三浦半島を一望できる
江ノ島の見えるテラス


あまりにも外が気持ちよさそうだったので、食後のお茶を持ってテラス席にでた。
本当はテラス席で食事をしたかったが、強風のため店内での食事を勧められた。
たしかに、食事をするには少し風が強かった。

いつもは、苦手な海風も今日は気持ちよく感じた。
江の島から葉山、三浦半島まで一望できる。
強風の影響で、いい具合に波が立っている。
まるで神奈川とは思えない絶景だった。
いや、知らないだけだったのかもしれない。
これが神奈川の鎌倉・湘南の魅力なのかもしれない。
見慣れた景色もそんな風に思えた。

運よく空いていたので、のんびり本でも読もうと思ったが、
景色の良さに興奮して、あっという間に時間は過ぎていた。

食べきれなかったPizzaを包んでもらい、
「必ずまた近いうちに来る。」
そう心に誓って、店を後にした。

お店を出てしばらく歩いた。
せっかく天気もいいし、浜に降りてみた。
一人だったけど、幸せいっぱいの
気持ちで歩いた。
冷静に考えたら、周りから見た変人に見えるかもしれないが、心もおなかもいっぱいで気にならなかった。

また足繁く通ってしまうかもしれない。
やっぱりご褒美ランチだな…そう確信した。

カロリー消費と江ノ電代を浮かせるべく、江ノ島駅まで歩いた。

青春の浜辺
江ノ島を目指す


*****
すごく素敵なお店なのですが、
オーナーとお話をしたところ、今は様子見の段階とのことで、
お店の名前を今は伏せておく判断に至りました。
いつかハッシュタグつけたいと思います。
その時まで、お楽しみに。

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