じんわり

ワイン業界の中の人が綴る誰得随筆。 ワインバリア破壊作戦(ワインに敷居の高さを感じてい…

じんわり

ワイン業界の中の人が綴る誰得随筆。 ワインバリア破壊作戦(ワインに敷居の高さを感じている方へのお役立ち投稿)も展開しています。 https://twitter.com/Wjinwari

最近の記事

  • 固定された記事

ワインは楽しい

はじめまして、じんわりです。 「ワイン業界の中の人」=ワインに関する仕事をしています。 ワインとは縁遠い親類・友人たちからワインについての質問・相談を受けることがよくあります。 「ワインに興味はあるけどよくわからない、敷居が高すぎて気後れしてしまう。」 「知識がないと恥をかいてしまうんじゃないか?」 「高いワインもあるのでワインショップの店員さんに気軽に相談しにくい。とはいえインターネットで美味しくないワインを選んでしまったらどうしよう、味は抜栓するまで分からないし

    • ワイン英語 ”Complexity” の対訳は「複雑さ」でよいのか?

       こんばんは、じんわりです。  皆さんはワインを形容・紹介するテイスティングコメントの中に所謂「複雑さ」「複雑性」と言葉見つけたことはありませんか。特にワイン常習者の方はこの言葉を頻繁に見聞きするでしょうし、ご自身でお使いになることもおありではないでしょうか。 「複雑な」香りと味わいのワイン 「複雑性」を感じるワイン  みたいな使われ方ですね。・・・で、「複雑」って何かね?という話です。この言葉にひっかかりを感じるのは私だけでしょうか。  一般には「『複雑』な事情があ

      • テイスティング実録 現代ワインを産地だけで語るべきか 2

        こんばんは、じんわりです。  先回の投稿で「現代ワインを産地だけで語るべきか」というテーマをぶち上げてブラインドテイスティングに持ち込んでみたものの、試験設計の雑さにより滑らかなスベりを見せたこの企画ですが、実は初回の投稿前に第二弾のワインも仕込んでしまっていました。「何度かやってみて見えてくるものもあるだろう、やると決めたらやりきろう」という信念のもと、愚かにも同じ緩さの試験設計でブラインドテイスティングした結果を綴っていきますね。  前回はシャルドネでしたが、今回はピ

        • テイスティング実録 現代ワインを産地だけで語るべきか

          こんばんは、じんわりです。  ご無沙汰しています。書こうと思っているネタはありますし、投稿の素材となるものは蓄積しているのですが、気乗りしない日々が続き、気付けば前回の投稿から数か月ブランクが空いてしまいました。性格だけでなくやろうとしている方向性も含め、つくづく自分がSNSに向いていない人間だなと諦観しています・・・。  そんな中、以前から疑問に思ってモヤモヤしていた私的関心事、「現代ワインを産地だけで語るべきか」について、ブラインドテイスティングを通して考えるチャンス

        • 固定された記事

        ワインは楽しい

          「今買ったワインを早く飲みたい!」 → ワイン急冷 匠の技

          本稿はワインビギナーの方向けに作成しました。 全文無料公開ですが「投げ銭」制も採用しています。 まとめ ワイン急冷 匠の技 ・濡れ布巾巻き巻き+冷凍庫作戦 ・アイスキューブ直接投入作戦 ・ワインクーラーに氷と塩水で撹拌作戦 こんばんは、じんわりです。  ここ数日強烈に暑い日が続きますね。そんなときに限ってこんなことありませんか? 「仕事帰りに買った白ワインを今晩飲みたい。でも・・・、冷えてない!」 「家飲みパーティーでワインを出す予定だったけど、掃除や料理に気を取ら

          「今買ったワインを早く飲みたい!」 → ワイン急冷 匠の技

          興味がないと言いながら、なぜ「アウトローのワイン論」を読んだのか

          こんばんは、じんわりです。  ご無沙汰しています。  更新が滞る中、幣ブログをチェックして頂きありがとうございます。  ブログテーマのストックはいろいろあるのですが、ここ数週間何かを綴りたいという気持ちになれずにいました。  マンネリでしょうかね(笑)  最近、所謂「自然派」という括り、概念や成り立ちに興味が出てきまして、周辺を調べていたところ、一冊の文庫本に出会いました。その本は「アウトローのワイン論」というタイトルで、昨年ご逝去された勝山晋作氏の著書です(厳密には「

          興味がないと言いながら、なぜ「アウトローのワイン論」を読んだのか

          喫煙とワインのテイスティング能力

          こんばんは、じんわりです。  今夜はタバコとワインのテイスティング能力の関係性について綴ろうと思います。  本稿執筆現在(6月初旬)Amazon Primeでアニメ版「美味しんぼ」が見放題でして、私ハマっております。  味覚に長け料理の知識経験も豊富な主人公が、仲違いしている美食家権威の父に挑んでいく物語ですね。その本質はというと、まるで往年のプロレス番組を観ているような、一見ガチな親子喧嘩の体をなしていますが、要所要所でツンデレ展開が待っている漫画ですよね(笑)。

          喫煙とワインのテイスティング能力

          ワインの穴場:近所の酒屋さんを攻略する

          こんばんは、じんわりです。  みなさんはワインをどこでお求めになりますか。  コンビニ?スーパー?大型酒販店?デパート?それともeコマース?  価格、選択肢、即時性、アドバイスの有無、安心感、保管管理の徹底度など、それぞれに一長一短がありますよね。  では「近所の酒屋さん」という選択肢はおありでしょうか?  30年程前までは町のいたるところに見られた所謂「近所の酒屋さん」ですが、1989年から2006年の一連の規制緩和により酒類小売市場が激戦区と化したことや、商店街

          ワインの穴場:近所の酒屋さんを攻略する

          実録!価格別シャルドネ ブラインドテイスティング

          こんばんは、じんわりです。  5月21日は International Chardonnay Day (*) でした。皆さんはシャルドネをお飲みになりましたか?どんなシャルドネでしたか? (*) Rick Bakasという方が2010年に仕掛けた記念日。氏はNikeでブランディングに従事した後、ワイン業界のマーケティングにデジタル戦略を持ち込んだ方のようです。ソムリエでもあるようですね。  シャルドネというと他の品種に比べると選択肢がかなり多く、値段のバリエーションも¥

          実録!価格別シャルドネ ブラインドテイスティング

          野生発酵でもワインがクリーンに仕上がる条件は何なのか?

          こんばんは、じんわりです。  今夜は「野生酵母」および「野生発酵」というキーワードにまつわるお話を。  ワインの紹介文や説明を読んでいると「ビオロジックで栽培、“野生酵母”で発酵し~」のような文言が出てくることがありますね。  巷では「自然酵母」や「天然酵母」などと呼ばれることも多いですね。本稿及び幣ブログではこれら表現を「野生酵母/野生発酵」に統一しています。理由は以下別稿の後半部分に綴っています。     「Natural(自然)」と「Wild(野生)」の混同

          野生発酵でもワインがクリーンに仕上がる条件は何なのか?

          私が買ったワインは熟成するの?

          本稿はワインビギナーの方向けに作成しました。 全文無料公開ですが「投げ銭」制も採用しています。 まとめ 1. ¥2,000前後のワインは熟成不要、買ったら冷蔵庫で保管して早めに飲みましょう 2. ヴィンテージ=生産年を気にする必要なし、気楽に飲みましょう こんばんは、じんわりです。 「熟成」  ワインを語るキーワードとして頻出するこの言葉ですが、 もしかするとこの言葉もまたワインビギナーの方を惑わせる謎ワードかもしれません。  「私の買ったこのワインは『熟成』させると

          有料
          100

          私が買ったワインは熟成するの?

          ワインを楽しむための道具:まとめ3稿

          本稿はワインビギナーの方向けに作成しました。 こんばんは、じんわりです。 ワインとの出会い、楽しんでいらっしゃいますか? ワインを楽しむために欠かせないオープナー、グラス、ストッパー(飲み残しのワインボトルに栓をし酸化を遅らせる道具)のお勧め記事をまとめました。 全般的にレビューしつつ、私が愛用しているもの/お勧めしたいものもご紹介しています。 新しくワイン関連の道具を揃えたい方や買い替えをご検討の方はご参考にして頂ければと思います。 お気に入りの道具が見つかると

          ワインを楽しむための道具:まとめ3稿

          日本最南最北の甲州を利く

          こんばんは、じんわりです。  ゴールデンウィークも「おうち時間を工夫で楽しく」お過ごしでしょうか。  外出できない不自由が続くとはいえ、「災い転じて福となす」といいますか、外出できない連休にしかできないことを考えました。  いくつかあるアイディアの中で、前々からやろうと思っていたのが今回の「日本最南最北の甲州を利く」というお遊びなのですね。  現時点で私が知る限り、日本の最南と最北で造られる甲州をブラインドテイスティングして利き分けられるか。利き分けられたとしたらどのよ

          日本最南最北の甲州を利く

          赤、ロゼ、白ワインを服にこぼしたときの対処法

          本稿は全てのワイン消費者さん向けに作成しました。 全文無料公開ですが「投げ銭」制も採用しています。 まとめ ・素早い対応が命 ・使えるナチュラルアイテムは 塩+炭酸水、度数高めのウオッカ、牛乳、重曹、猫砂など ・使えるケミカルアイテムは 酸素系漂白剤、オキシドール、食器用洗剤、シェービングクリームなど ・対応が遅れた場合はクリーニング屋さんに頼むのが一番 ・【予防】赤ワインを飲むときは暗めの色の服か汚れてよい服を着る、泥酔するまで飲まない こんばんは、じんわりです。

          有料
          100

          赤、ロゼ、白ワインを服にこぼしたときの対処法

          ミネラリティって何かね?

          まとめ ・Minerality(ミネラル感、ミネラリティ)の明確な定義はない ・長年の研究により、ミネラリティの輪郭が少しづつ見えてきた? ・ワインから感じられるミネラリティとぶどうが育った土壌には密接な関係性がなさそう ・では、ミネラリティの正体は何なのか? こんばんは、じんわりです。  本稿のお題は数あるワイン謎ワードの中でもテイスティングシーンで頻用される「Minerality」について。日本語で訳をあてると「ミネラル感」でしょうか。以下、カッコよさ重視で「ミネラリ

          ミネラリティって何かね?

          一生付き合うワインを1つしか選べないとしたら?

          こんばんは、じんわりです。  ここ最近ファクトや論文を引用する堅めの投稿が多かったので、今日は気分を変えて空想話をしようと思います。ビールのお話から始まりますが、最後にはワインお話に行きつきますのでお付き合いください。  先日、とあるビールを飲んでいた時のこと。ふと気づきました。 「このビール、結構リピート買いしてるね~。」  ワインと同様ビールについてもいろんなスタイルや銘柄を知りたい、楽しみたいと思う私ですが、この銘柄を酒販店で見つけるとつい手に取って買ってしまう

          一生付き合うワインを1つしか選べないとしたら?