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龍のたまごと楓の赤ちゃん(2022/6/26)

【日常の中で感じる些細な幸せ】


遡って6月9日。
職場でブアーーーっと草刈りした跡に、小さな丸いものがコロコロと転がっていた。

カナヘビの卵…?

しばし逡巡する。

もうお母さんカナヘビが産んでいった状態には戻してやれないよな。
しかもカナヘビの卵って、確か上下の向きを変えちゃうと孵化しないんじゃなかったっけ…。

いやしかし、それならますます持って帰ったところでどうにもできん。

いや、でも。


で、こーなる。

拾い集めたカナヘビ(仮)の卵をペットボトルの蓋に入れ、そのまま手に乗せて帰宅するおっさん出現。


調べてみると、やはり「カナヘビの卵は上下を変えてはいけない」というのが主流ではあったが、一方では無事孵化したという情報もあり、ならばそちらに賭けてみたい。

とりあえずね、中身は生きていて、成長しているみたいで。
卵が大きくなってきて、ライトで透かすと血管見える…!
(゜▽゜)ギャー


『孵化できない』
というのが
『成長が止まる=死』
を指すのなら、クリアしたことになるのだろうか。

拾った時点で産み落とされて何日目だったのかも分からないため、いつごろ孵化するのかの予測もまったく立たず、それ以前にもしかしたら生まれてくるのがカナヘビじゃないかもしれないという何もかもが謎の卵ですが、どうか無事に育ちますように。


もうひとつ。

いつもお世話になっている神社に、ある日楓の赤ちゃんがいっぱい生えていて。
でも生えている場所的に、十中八九、全部雑草として抜かれてしまうんだろうな…と。

これまたしばし逡巡する。

この子たちだって神域の生き物になるんだろうし、連れて帰っちゃまずいかな。
でもどうせ抜かれちゃうなら、ひとつくらい助けてやれないかな。

一度敷地から出たのに、やっぱり戻って、なんとなく一番弱々しそうなのを砂利の間からそっと引き抜く。
それから家まで猛ダッシュ。
なにせ根っこをくるむものとか何も持ってない(笑)。

だけどこの子、植木鉢に植えてもずーっとしんなりしていてね。
あー、やっぱりダメにしちゃったかー。ごめんなあ…

と思いながらも毎日水をあげ続けること3週間。

!!

真ん中からちっちゃい葉っぱ出てきたー!
(゜▽゜)ワー


この『雑草扱いの植物』を育てたいとふと思ってしまったのは、僕のエゴというか、少しの贖罪の気持ちというか。
僕も仕事で草を取るんですよね。
で、いつもぐるぐるしちゃうんです。

人間が観賞用にせっせと水をやり肥料をやり剪定をし、花が咲けば人々に笑顔を向けられる植物たちと、
人間の要不要で『邪魔な草』として命を摘まれる雑草と言われる植物たちと。

何が違うんだろう…?

何も違わないのに、なんで僕は仕事だからとこの植物たちの命を摘むのだろう。


だからエゴ。
だから贖罪。
僕のために、せめてひとつ、抜かれる予定の植物を育てさせてくださいと。

(と言いながら、職場でも抜かずにこっそり育てている草は結構あるけど笑)


と、まあ、小さき生き物たちに水をあげては、その成長にニマニマしている毎日です。

あ、カナヘビの卵にも朝夕水をあげるんですよ。
卵に水をあげると膨らんでいくなんて、本当に不思議です。



《BGM》
上原ひとみ/Old castle, by the river, in the middle of a forest



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