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「付加価値」をつければ、本だって、CDだって売れていく!

女子スポーツ作品を愛して25年以上になるHSP勢による「オタ語り」。
今回のテーマは、「作品の映像・音楽メディア」。

なお、この記事を最後まで読み進めていただくと、キャラクターがお礼をしてくれるという「付加価値」をつけておりますので、どうかお付き合いいただけると幸いです。


突然ですが、皆さま、「TVアニメシリーズ(劇場版除く)」における映像作品(Blu-ray)で、"一番たくさん売れたタイトル"をご存知でしょうか?
(アニメファンの間では、こうした映像メディアを「円盤」と称しますが)

それはずばり、実在の競走馬をモチーフにした作品、
ウマ娘 プリティーダービー Season 2』。
意外と思われる方も多いかもしれません。
(注:劇場版を入れると「鬼滅の刃」が入ってきます)

でも、そこは動かしようのない事実であり、製作者側の見事な戦略があります。

もはや、アニメは配信で視聴するという現代において、「映像作品の売上」は、作品の評価と比例しないという声はたくさんあります。
そうは言っても、「円盤の売上」が、アニメの続編制作における指標ともいわれている以上、「売れる努力」というのも必要になってきます。

アニメファンとしては、やっぱり1期だけでなく2期も見たいですからね。
さらに、自分のようなマイナージャンル推しにとっては、「配信はずっとやるわけではない」ので、古い作品を見返したりするときに、もう見られなくなっているなんてことが結構あるので。

逆に言えば、「セールス戦略」を上手くやれば、"例え知名度がない作品であってもたくさん売ることができる"ということでもあります。

メディアミックスの見事な戦略

人気のソーシャルゲーム(以下ソシャゲ)を多数リリースする「Cygames」(通称サイゲ)社は、上述の『ウマ娘』のほかにも『グランブルーファンタジー』『プリンセスコネクト』など、多くの人気タイトルを抱えています。

この、「サイゲ」さん、売り方が上手いのは、自社のコンテンツであるソシャゲをアニメ化するときに、円盤に「ゲームのアイテムをもらえるシリアルコードをつける」という、いわば抱き合わせ販売のような形式をとっています。

つまり、「アニメにはそんなに興味なくても、ゲームのアイテムもらえるなら買うか!」という購買意欲が生まれるわけです。

また先日発売された『ウマ娘』TVアニメ3期の円盤『ウマ箱3』では、封入特典も結構豪華です。(もちろん私も買いました)

  • [ウマ本]キャラクターデザイン《椛島洋介》氏描き下ろしイラスト

  • 総合スポーツ誌「Number」コラボ記事

  • キャストスペシャル対談

  • 競馬雑誌「Gallop」の再録レース記事

  • アニメ設定資料

  • アニメスタッフインタビュー

  • ゲーム特典シリアルコード

さらに、映像特典などもついており、アニメファンだけでなく競馬ファンにとっても楽しめる内容です。

配信全盛のこの時代、円盤を1万枚売るのはとても難しいと言われていますが、『ウマ箱3』はこの数字を軽く突破していきそうです。

「所有」から「共有」の時代、でも…

「AKB商法」(ファンの間からは好まれない俗称ですが)として話題になった、アイドルグループのCDの販売方法は、特典に「握手券」をつける、というものでした。

こうした商売方法は、当然ながら批判も受けることになりますし、音楽関係者からは疑問の声も上がりました。
でも、それが嫌なら買わなければいいのであって、選択の自由はあくまでも購買者側にあるわけです。

さらにいうと、もしそれが稚拙な方法であったのなら、とっくに淘汰されていたかもしれません。
ですが、「そうまでしても買いたい」という人が多かったからこそ、売り上げが伸びたのは事実であります。

もはや音楽はサブスクで聞く時代、という方もいらっしゃるかもしれません。「現物を所有する時代は終わった」というのが音楽業界の主要な流れでもあるかもしれません。

でも、やっぱりそれはそれで寂しいと思います。
私はそれこそ、今の世代の人が知らない「カセットテープ」の時代から音楽を聴いてきた人間。
音楽もまた、「ひとつの作品」という考え方に基づけば、その「作品」をパッケージングしたCDを手元に置いておきたいという気持ちは私もずっと持っています。

先日、人気コンテンツである『ラブライブ!』シリーズのグループである「Liella!」がオリコンで初のランキング1位を獲得したことがニュースになりました。

『ラブライブ!』好きな私も、(HSP勢なのでライブに行った経験はないですが)CDをいくつか所持しているのですが、人気を得ている秘訣として、CDに「ライブの応募シリアルコード」が封入されるという戦略があります。

『ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』 / Link to the FUTUREと封入される特典

今の時代、「作品の魅力」だけでなく、「付加価値」をつけていかないと、「モノ」はなかなか売れていかない時代です。

「AKB商法」をあまり良く思わない方もいらっしゃるかもしれませんが、作品に「プラスの価値」をつけていくこと自体を否定するべきではないと、私は思うのです。

日本のものづくりにおける今後の戦略の方向性として、よく言われてきたことではありますが、「価格」で勝負しても人件費の安い海外にはどうしても太刀打ちできません。

であれば、やはり、それを手に取ってもらうための「魅力アップの工夫」が必要になってくると思うのです。

「出版不況」も「付加価値」で乗り切るしかない

円盤やCD同様、書籍だって、今やほとんど売れず、書店はどんどん少なくなる一方。
でも、実は「独立系書店」は増えているといいます。
書籍のセレクトや置き方など、一般的な書店との差別化を図ることで新しい読者層を取り込んでいます。

また、書籍の売上は全体としては下がっていますが、その一方で、売り上げを伸ばしている雑誌があります。
それはずばり、「付録付き雑誌」。

もはや内容だけで本が売れなくなった以上、こうしたわかりやすい「付録」だけでなく、様々な「プラスの価値」をつけていけば、多くの人が手を取ってみたくなるのではないでしょうか。

私の提言ですが、たとえば「紙の書籍にしかできないこと」を積極的に売りに出してみるのはどうでしょう。

昔私が体験した「香りのする本」は、チョコレートのカカオの香りを紙に染み込ませていて、「香り」というのはずっと記憶しているもので、現物はもうどこかにいってしまったのですが、記憶だけはずっと残っていて、また売りに出されたら買ってみたいと思っています。

それから、実は私、数か月ではありますが、昔出版社にいた経験がありまして。
そこの事務所にあった「紙のサンプル帳」というものが実に興味深く。

実際に触ってみることでしかわからない質感、これはどう頑張っても電子書籍に出せるものではありません。
五感を使って体験できる何か」を書籍に取り入れることで、新しい発見を読者に与えてくれるのではないかと思います。
(そういう書籍が専門にある独立系書店とか、あったら楽しそうです)

「お金=汚いこと」という風潮

冒頭にあげた『ウマ娘』についても、世間一般では「売上は確かにあるけど、その割に世間での知名度はいまいち」という認識の方もおられるかもしれません。
「作品の魅力というより、オマケで釣っている」みたいな評価をする意見もちらほら見かけます。

でも、「売れるための工夫」をしてきた結果として、セールスの好調があるのは事実で、その関係者の努力を簡単に否定してほしくはないと思っています。

冒頭で紹介した『ウマ娘』も発表当時は色物扱いされ、お世辞にもスタートは順風満帆とは言えませんでした。

キャストの方も語っていますが、初めの頃のライブイベントでは、観客が数十人だったこともありましたが、今やベルーナドームや有明アリーナを満員にするほどのコンテンツに成長しました。

日本では海外に比べると金融教育が遅れており、「お金」に関することを小さいうちから口にするのは良くない、と大人は言いながら、いざ学生が卒業して社会に放り出されてみると、急に「金融知識がない」などと言われて、矛盾したものを感じざるを得ません。

1月から新NISAが始まり、ようやく「貯蓄から投資へ」と付け焼刃のように奨励し始めた政府のやり方にも色々と思うところはありますが。
まずは「お金に関すること=汚いことではない」を小さいうちから堂々と教えることが先決なのではないか、と思ってしまいます。

プロモーションの重要性

日本の作品は良く「コンテンツはいいけどプロモーションが下手だ」と海外から評されることがありますが、「中身の充実」だけでなく、「どのように売っていくか」という戦略をもっと考えていかないと、ますます今後世界の中で存在感がうずもれてしまうのではないかと危惧しています。

アニメやゲームという、日本が独擅場といわれたサブカル界隈でも、今や押されまくり、ソーシャルゲームでは『原神』『ブルーアーカイブ』といった海外勢が台頭し、国産のコンテンツは苦戦しています。

なかにはリリース当初こそ『パクリだ』なんて言われたゲームもありましたが、今やすっかり多くの人が夢中になって遊んでいることもしばしば。
日本だって、貿易摩擦の時代にはアメリカから「日本車はアメリカの技術を盗み取っている」なんて言われていたものです。

「パイオニア」だからといって奢っていると、後発の企業が次々と追い抜いていくわけで、「うちは純粋に中身だけで勝負」というだけでは生き残るのは難しい世の中になっています。

優良誤認や不当表示といったように、自社の製品を誇大に宣伝することはもちろん問題ですが、正当な「プロモーション」は必要だと思います。

競馬のイメージを変えた男

競馬界の「レジェンド」といわれる存在で、いまなお第一線で活躍するスタージョッキー、《武豊》騎手。

実は、あれほどの実績を誇りながら、『ウマ娘』がまだ爆発的な人気を得る前からプロモーターとして数々の宣伝に協力してくれています。

かつて、「競馬」は世間から必ずしも良いイメージでは見られていませんでした。「ギャンブル」ということで近寄りがたい雰囲気をまとっていたと感じる方もいたでしょう。

しかし、《武豊》騎手はそうした競馬の世界を変革したいと、自ら使命感を持ってメディアに出演し、「プロモーション」を怠りませんでした。

武は競馬関係以外のメディアから脚光を浴びるようになると、時間の許す限り各方面のメディアの取材に積極的に応じていった。その理由について武は、「競馬サークルが世間一般から偏見の目で見られているのを子供の時から感じていたんです。競馬サークル外に自分が積極的に出ることで、こうした偏見を無くしたいと思ったんです」と語っている。

Wikipedia - 「武豊」 来歴より引用

そんな《武豊》騎手が、当初は色物扱いされていた「ウマ娘」にも嫌な顔一つせず快くプロモーターを受け入れてくれたことに感謝したいですし、実際に今の競馬場は若い女性も多く詰めかけるなど、競馬のイメージを変える原動力になったのは間違いなく《武豊》騎手の力によるところが大きいと思います。

"もっと評価されるべき"作品群

日本のアニメやゲームにおけるミームで、よく見かけるのが「もっと評価されるべき」というタグ。

ものづくりに定評がある日本ですが、前述したように「プロモーション」はどちらかというと苦手分野でもあります。

素材はいいのに、あまり知られていない、それはやっぱり日本的に言えば「もったいない」。

そういう作品が多いという中で、やはり感じることは、「最初からプロモーションの事を考えてコンテンツを作る」ということも必要ではないか、ということ。

「作品ができて、後からプロモーションを考える」ということもできますが、効果的に作品の魅力を伝えるには、やはり「作品と宣伝」をセットで考えていくことも必要のような気がします。

最後に

そういう意味では、この「note」の記事もしかり。
しっかりと「付加価値」がついたものは確実に人気を博して売れていきますし、うまくいけばnoteを生業にすることもできるでしょう。
(もちろん、noteは表現の場でもあるので、人気や売上がすべてではありませんが)

まぁ、自分はまだまだnoteを始めたばかりなので、この記事は無料でお送りいたしますがw

でも、いつの日か、もっと良質なnoteを記すことができるようになったら、その時ははじめての有料記事にチャレンジしてみようかと、思います。

キタちゃんがお礼を言いたいようです


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