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2019.06.16 周南市徳山動物園

 朝起きるのがどうしても苦手な私だが、その朝はそこそこ元気に目を覚ました。今日は動物園へ行くのだと、決めていたからだ。窓の外を見ると、良いお天気。しかも、肌寒いくらいに涼しい。

 これは絶好のお出かけ日和だ!ということで、「周南市徳山動物園」へ。


 開園時間の9時を過ぎて、日曜日の家族連れが集まり始めるなか、到着。

 入り口を通り、まず目に入ったのが、無料で貸し出ししている日傘。これは本当にありがたい。気温はそれほど高くないものの、日差しが鋭く痛かった。お借りして、先に進む。

 メインの南園から入ったので、いつものルート、右回りの道を行く。左へ行くとまた新たになったゾウ舎があったが、楽しみは後に取っておいた。


 こちらから回ると、毎回初めに会えるのが、ダチョウだ。仲睦まじい2羽が、奥の方で並んでいた。

 人と暮らしている生き物だからだろうか、動物園の動物は、種類に関係なく、手を振ったり、呼んだりしたら、傍まで来てくれることが多い。

 人間の名前を覚えるのも不得意な自分なので、家に帰ってくるまでその子たちの名を覚えていることはできないが、その時はプレートを見て、名前を呼んでみる。名前を呼びながら、「おーい」だの、「こんにちは」だの、言ってみる。

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  こちらに来てくれた…!しかも、いつもと違うポーズを決めてくれている。

 なんてサービス精神旺盛な……と思っていたら。写真にも少しだけ移ってしまっているように、トイレだった。ダチョウはタマゴも大きいけれど、フンも大きかった……。

 珍しい姿を拝めたという意味で、出だし好調だ。


 すぐ隣のオリはシマウマだ。

 ずっと以前のことだが、地面にばたんと体を投げ出して眠っていたときは倒れてしまっているのかと驚いてしまったものだが、今日は普通に立って歩いていた。

 やはり、呼べばゆっくりと近くまで寄ってきてくれる。大きな動物ほど、来てくれる。

 案外お耳が大きいのと、シマシマ模様のなかでもお尻が面白いのとに感心しつつ、張り切って写真を撮る。

 生き物は毎回違うものを見せてくれるので、こちらとしても毎回違うものを発見できるのだ。

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 お次は、お楽しみの一つ、ミーアキャット。

 私は彼らのしっぽがたまらなく好きだ。真面目な顔をして、すっくと立っている姿も好きだ。

 おお、今日も立ってる!と近づくと……その後ろに、ミーアキャット団子を発見!身を寄せ合ってじゃれつつ、上の木から落ちてきたヤマモモの実を奪い合ったりしていた。

 ふと、その姿を眺めながら疑問が浮かぶ。

 木の実を食べていたけれど、ミーアキャットって肉食だよね……?有名なアニメ映画でも虫を食べていたし、プレートにも肉食だと書かれている。

 我が家の犬もヒメリンゴの実が好きだし、そう言えば、それしか食べないとか、食べられないとかいう訳ではないのだなと再確認。

 甘いものはおいしいのだ。

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 ニホンザルとその赤ちゃんも見て、外のまぶしさに対して小屋の中が暗くて姿の見づらいビントロングを見る。そわそわしながらケヅメリクガメにも挨拶し、次のお楽しみ、ワラビーに、やっと会えた。

 どうしても好きな動物と大好きな動物との間に、そこに留まる時間の差が出てしまうのは、私はミーハーな動物好きなので、仕方がない。

 ちっちゃなワラビーは3匹。

 丸くなっていたり、後ろ足と前足とでゆっくり移動したり、前足で上手に野菜の皮を掴んでお食事していたり。ワラビーたちは大人しくうずくまっているとき、しっぽを体の下から前に出して屈みこんでいるのがかわいい。

 私は長座体前屈と呼んでいる。

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 ヤマアラシは親子だった。こんなに小さなうちからこんなに立派なトゲを持っていて……。

 ところで以前、彼らにもおやつをあげられたので印象深かったのだが、彼らは小さなペレットでもとても上手に優しく受け取ってくれる。食べ物の受け取り方が優しい動物は好きだ。

 別の動物園(サファリランド)の話になるが、エミューも手のひらにのせたペレットを、長い首を曲げ、ちょんっとくちばしを寄せて、優しく受け取ってくれた。

 ひどいのは、ガチョウだ。手にかみつき、手首にかみつき、おやつを強奪したあと、ひょこひょこ歩いてお尻を向けると、フンを射出した。

 私はもう当分やってやらないと心に決めたのでので、優しい心の広い人、かわりにやつらにあげてください。

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 だまだ道のりは長い。お楽しみはこれからだ。

 ここでまた、とても楽しみにしていた、コツメカワウソがいる!はずだったのだが、いない。それどころか、彼らのプールに水がない!

 どうやらお掃除中のようで、施設のなかからぴーぴーと声がしていた。

 表からと裏からと両方見られるようになっているのだが、裏へ行くと、走り回るコツメカワウソたちがいた。

 どの動物たちもそうだが、飼育員さんの気配を感じ取ると、お客のことなど気にかけている場合ではないようだ。

 カワウソは、止まっているときは丸くなって寝ているときで、写真を撮ろうとしてもその全体図をとらえるのは難しく、動いているときはせわしなくクルクル往復を繰り返しているので、カメラを構えていなくても目がまわる。一番の観察のチャンスで、とてもかわいいのは、仰向けになって小石や小枝を胸の上にのせ、手で器用に転がして遊んでいるときだ。

 今回は見られなかったが、またの機会を狙いたい。


 さて、そのまま道に沿って行くと、クマに会える。徳山動物園には、ツキノワグマとマレーグマがいる。

 マレーグマは、かつて一世を風靡した(?)頭を抱えて悩み苦しむツヨシくんがいる。(※執筆当時。ツヨシくんは2020年3月2日に亡くなりました。ツヨシくん、ありがとうございました!)

 ここ数年、何度会っても、そのポーズを見たことはない。

 今日もツヨシくんは、気だるげに岩のてっぺんに頬杖をついていて、懸命に呼びかけたら、のそのそとゆっくりあるいて降りてきてくれた。

 マレーグマは毛が短くてそれが目立つのか、皮がたるんでしわしわなのが面白い。

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 午前中に行ったからだろうか、その先の区画の鳥たちが元気に鳴いたり、動き回ったりしていた。前に来たのが冬だったので、暖かいところの鳥たちには、寒すぎたから大人しい印象を受けていたのかもしれない。

 特にこの日はコバタンが構ってくれた。オリに足をかけて移動しつつ、首を左右にぐねぐね振りながら、アアッと声を上げたりしている。

 他の動物と同じように「こんにちは!」と挨拶して、しばらく眺めてから、隣のヨウムやベニコンゴウインコを眺めていると……。

「コンニチワッ」

と、しわがれた、小さな声が!

 びっくりしたぁ……。

 子供のころはオウムは全部しゃべるのだと思っていて、大人になってからはむしろオウムは余程のことがないと喋らないと思っていた。うれしかったので、そのあとしばらく「こんにちは!」と言ってみたが、二度と返事はなかった。

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 カンムリヅルに関しても、新しい発見があった。2羽で密談している様子を見ていたのだが、この後ろ姿、どう見てもネギ坊主だ……。

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 いつの間にかお天気も日差しも変わらないまま、気温が上がってきている。その時の私はまだそれに気づいていなかった。

 鳥たちの檻の区画の隣の区画には、大好きなキツネとタヌキがいるからだ!

 小屋の中にだらんと寝ながらぼーっとどうでもよさそうにしているキツネと、飼育員さんの気配にそわそわと動き続けているタヌキ。どちらも、もう6月なのに、まだもふもふに見えた。

 冬はもっともふもふしていただろうか……?

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 ここで、そろそろお掃除が終わっていないものかとコツメカワウソのところへ行くが、まだまだお掃除は終わっていなかった。

 ふと、あまりの暑さに頭痛がしてきて、はじめて気がつき、お水を買って飲む。

 そのあと、ブラッザゲノンという、名前の発音が難しい、お顔も気難しそうなお猿さんを見てから、ふと、さっきまでオリの隅で丸く収まっていたアライグマが出てきているのに気がついた。

 5月にまた別の動物園で見た時より、少し小さく見えるアライグマたち。その時のアライグマたちよりも、飼育員さんへのアピールも控えめだった。

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 そこから少し上ると、チンパンジーやマンドリルがいる。サルたちはよりヒトに近いからだろうか、目が合うとギクッとしてしまう。

 彼らに不審がられない程度に眺めつつ、目をそらしつつ、先に進むと、カバがいる。

 動物にも個体差というものがあるもので、この子はお水に入っていてくれないので皮膚が乾燥して大変だそうだ。この子は、伸ばしてつるしたホースに細かい穴を空けて、常にミストが降り注ぐ装置の下にいた。飼育員さんたちは様々な工夫をして、動物たちの健康を守ってらっしゃるのだ。

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 そろそろ再び私はそわそわしはじめる。

 次は爬虫類館なのだ。

 順番通りにガラスを覗き、ホシガメ団子を見つけ、この暑いのにまだ寒いのかなと思いながら足を進めていたら……いた!

 ニシキヘビだ!

 なんと体を伸ばして、動き回っている。いつものように、水槽の隅で丸まっているのではない。しかも、真ん丸な目をしてちろちろ下を震わせながら、お水を飲んでいるではないか……!

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 このあとずっと舌をちろちろしてくれていた上に、14時から触れ合いがあるようだったが、時間の都合と、日曜の家族連れの多さから、断念。でも、いつか、ヘビさんを首にかけさせてもらいたい……。

 オリの隅の扉にへばりついているコガタワニと、ゆったりまったりキャベツを食べているムツアシガメを経て、爬虫類館を抜ける。


 動物園の3大スターのひとり、キリンがその先にいる。キリンさんはゾウさんと同じくらい、呼べば来てくれる確率が高いのだ。

 だが、しかし、今日はオリの外に青々と茂った木の葉を食べるのに夢中で、遠く離れたところから見ることしかできなかった。

 いつ見ても、大きい、舌が長い、首が長い。舌の器用さはもちろんだが、首を曲げる角度も、器用だと思う……。

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 そこを過ぎると旧ゾウ舎。ここはこれからダチョウの居場所になるらしい。

 たしかに、一番隅っこで、なかなか足を止める人もいないくらいかもしれない。もっと脚光をあびつつ、快適に過ごせるようになればいいと思う。


 そして、そして……私の大好きな大型肉食獣たち!ここでは、ネコ科の子たちだ。案の定、だらんとして、おなかを見せてくれている。

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 下から見た動物の下あごはとてもかわいい。おなかもかわいし、首から胸にかけてのもふもふもたまらない。

 特にトラは、それらが完璧なうえ、手足が太く、尻尾も太い。我が家の猫を一口で食べられそうな大きな口。

 今日はあくびをみせてくれたが、犬と違って猫はあくびで大きく口を開けても、舌がくるんと丸まっていない。

 このあと、大きな舌で前足をぺろぺろしていたが、ざりざりの舌、彼ら自身は痛くないのだろうか……。

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 私の幼いころにはペンギンプールだったところに、今はカピバラがいる。そのころは、カピバラという動物の存在も知らなかったかもしれない。


 だんだんと、日差しとその照り返しの眩しさが、目にも負担をかけ始める。

 少しサル山を覗いて、サルのために投げ入れられる餌をつけ狙うハトやスズメを見てから、北園へと移動する。

 かつてはちょっとした遊園地(シンプルな電動遊具がある程度)だったそこは、今はふれあい動物園や、鳥や、レッサーパンダの展示がある。

 ペンギンのプールは広い水槽が下から見られて、水族館でよく見るようなつくりだ。新しいのでガラスがとてもクリアで見やすい。

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 ふれあいゾーンでは、ヤギやヒツジやブタやポニー、ウサギやモルモットなど、オーソドックスなメンバーに会える。触れるもふもふに関しては、家の犬猫にその欲求を満たしてもらえるので、次へ進む。

 昔はミーアキャットの隣にいたプレーリードッグが、今はこの北園にいる。ちいさな子供のプレーリードッグがたくさん、取っ組み合ってジッジッと鳴きながら、転げまわっていた。なかには限界まで壁をよじ登り、外の世界を眺めている子も……警戒に抜かりはないようだ。

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 さて、新しくなった北園でとても楽しいのは、野鳥観察所だ。二重の扉の先に、何の仕切りもなく、間近に鳥たちを眺められる場所がある。

 運が良ければ、そしてこちらを警戒しないでもらえたら、一切途中を遮るものなく、よくよく見ることができるし、写真を撮ることができる。

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 ヘラサギが、ことごとく背中にくちばしをうずめていて、せっかくの「へら」が見えないと言おうとしたら、一羽だけこちらを向いてくれた。そんなところまで察してくれるなんて……!

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 小鳥も多く、ぱっと見ただけで名前のわかる方には楽しいかもしれない。もちろん、名前がわからなくても楽しい。

 これほど一度にたくさん、近くで小鳥を見る機会は、日常生活ではなかなかない。

 とくに私が心に残っているのは、ここのあるカモさんのことで、優しくて、人慣れしているので、少しくらいなら隣に立っても嫌がらなかった。

 以前、調子に乗ってもう一歩と近づいたら、「がっがっ」と小さな声でたしなめるように鳴きながら、一歩距離を取られてしまった。スマートな断り方だった。

 こんな距離で、キジに会うこともできる。赤と緑と茶色のコントラストが美しい、物静かなキジだった。

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 今回は会えなかったが、アオバトなどもいるらしい。ここは特に、行くたびに新しいものに出会えそうなところだ。


 北園の最後はやはり、レッサーパンダ。

 じっとしていても、動き回っていても、まるでぬいぐるみだった。

 外の階段からと、屋内のガラス越しと、どちらからでもよく見ることができる。

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 肉球好きとしては、なんとしても確認せねばならなかったのだが、レッサーパンダの肉球は見えないことを改めて確かめた。もふもふで、ふわふわの毛にすっかり覆われている。見えるときがあるのだろうか、それとも毛を掻き分ければ……?

 笹を掴んだり、器用に梯子を上り下りしたりしているのに、手足がふわふわなのはちょっと面白い気がした。

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 南園に帰ろうとしたところ、ふれあいコーナーのヤギが道の上の橋に腰かけていたので、これはシャッターチャンスだとばかりにカメラを向けた。

 写真を撮ったので「ありがとう、もう撮ったよ」と言うと、顔を背けて全く別の方向を向いてしまった。やはり彼らに人間の言葉は分かるのだ、我々が気づいていないだけで……。

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 南園に戻り、ハナジカやフライングケージの鳥たちを眺める。

 様々な種類の鳥たちが、それぞれがそれぞれの生活を送っていた。水場にはカメも大勢いて、甲羅を干していた。

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 やっと最後に新しいゾウ舎に来た。

 彼らは奥の方にいたので、「おーい」と手を振ってみると、ゆっくりとこちらに歩いてきてくれた。

 こちらを見ながら、鼻を振ったり、鼻でオリのパイプを揺さぶったり、鼻息で砂利を噴き上げて見せたり、小石を投げて見せてくれたり。大盤振る舞いであった。

 最終的には仲睦まじい姿を見せつけてくれた後、角度を変えて別の面から彼らに視線を送っている客たちに同じポーズを見せていた。

 ゾウは、本当に、本当に、賢いのだ。

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 さあ、すっかり見て回ってしまった。

 暑さと眩しさでくたびれてしまったので、帰ろうとしたところ、最後に素敵な出会いがあった。

 以前は入ってすぐのところで出迎えてくれていたメンフクロウが、ひっそりと順路の最後の陰で佇んでいた。

 穏やかな表情ときれいな白い羽根。

 テーマパークのお見送りのようだった。

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 最後にもう一度、コツメカワウソのところへ行ったが、彼らはまだ裏にいて、諦めたのかドアのそばに丸くなって身を寄せ合って寝ていた。

 かわいいしっぽはよく見えたので、今回はそれで満足しておくことにした。

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 今回は前日に調べて予測していたよりずっと暑くなってしまい、暑さと眩しさへの備えができていなかったのが、反省点であり教訓だ。

 最近、外でのお出かけのたびに熱中症もどきになっている気がする。

 それを考えたら、このな惰弱な人間に比べて、一日中外にいる動物たちは本当に強いなと改めて感心してしまった。

 今度はできれば雨の日にでも、また彼らに会いに行けたらと思う。


(2019.06.16に別ブログで掲載した内容を少し手直しして写真を増やしています。)

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