音圧戦争について

音楽業界に関わる全ての方へ
早速なのでミックスエンジニアっぽいことを書こう。
専門用語が多く出てくるかもしれないが、
できるだけ簡単にわかりやすく書きます。

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音圧戦争とは

我々が聞いている音楽のデータは最大音量が決まっている。
そして人間は相対的に「大きい音=良い音」と感じる傾向がある。
テレビで暗い画面よりも明るい画面の方が綺麗に感じるのと同じだ。
だから他人の曲よりも良い音に聞かせたい多くのエンジニアは
音圧を上げ、最大音量ギリギリのデータを長年に渡り作り続けている。

上が大昔の曲の波形データ、下が昨今の曲の波形データ。
お分かりいただけるだろうか?
これが音圧戦争である。

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音圧戦争の利点と欠点

音が最大音量で常に大きく聴こえるなら
それは最高だしメリットしかないのでは?と思われるかもしれないが
察しの良い方ならお気づきだろう。
同じ決められた最大音量で音を大きく聴こえるように音圧を出そうとすると
必ず犠牲になるものがあるのだ。
特に手痛い犠牲となるのが「低音域」と「ダイナミクス」の2つである。
人間は聴覚の特性上、音域によって聴こえる音の大きさが変わる。
それを「ラウドネス」という。

音量が小さいと低音域や高音域が聴こえなくなる。
人間の耳は同じ音量だった場合、中音域が一番大きい音に聴こえる。
同じ音量でも小さく聴こえる「低音域」は
大きな音に聞かせるには削るしかないのだ。
そして「ダイナミクス」とは音の強弱のことである。
最大音量が決まっているため、
それを超えないように音量を下げるか潰すしかない。
結果として「ダイナミクス」は失われ、より平坦な音になる。
つまり音圧戦争は低音域とダイナミクスを失った曲を量産するのである。
音圧戦争が生み出した曲は音がでかいため音量を下げて聞く必要がある。
あるいは音圧戦争に参加していない曲は
音量が小さいため音量を上げる必要がある。
エンジニアもリスナーもとてもめんどくさい。
誰も得しない。
音圧戦争は負の連鎖なのである。

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・昨今の音圧戦争事情

私は長年に渡りこの音楽業界の音圧戦争を嘆いていた。
過去の名曲も最近のカッコイイEDMも一緒のプレイヤーで聞いて楽しむには
音圧戦争のように最大音量で歩調を合わせるのではなく
最大音量の1/4程度の音量で同じ音量に聴こえるように
全ての曲が音量を揃えてくれると嬉しい
な、と私はずっと思っていた。
そうすれば世の中の全ての曲が生き返る。
無駄に低音やダイナミクスを犠牲にする必要も無くなる。
実は昨今、嬉しいことに私の願いが実現しつつある
音楽の消費がCDやダウンロード購入の時代から
ストリーミングの時代に移り変わってきていることをご存知だろうか?
月980円程度で世の中の曲を聞き放題できる夢のようなサービスである。
YouTubeSpotifyApple MusicAmazon Music Unlimited
Google PlayLINE MUSIC 
など
挙げていくとキリが無いほど各社がサービスを展開しているが
なんと、これらのストリーミングのプレイヤーには
音量を自動で揃えてくれる機能が備わっているものがあるのだ。

上が音圧戦争に参加した曲、下が音圧戦争に参加していないピアノ曲。
それぞれSpotifyで再生された際の音量を表しています。
お分かりいただけるだろうか?
もうリスナーは曲ごとに音量を調節する必要が無い。
音圧戦争に参加した曲の音量は小さくなり、過去の名曲は音量が大きくなる。
まさに私が理想と思い続けていた音の世界が実現している

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音圧戦争の今後

ストリーミングサービスが採用している自動音量調節が
今後より世界に浸透することで
人々は音圧戦争から解放されるだろう。
音圧戦争からの解放されると、
エンジニアはミックスやマスタリングに掛かる無駄な手間から解放される。
リスナーは曲ごとに音量を変えなきゃいけない無駄な手間から解放される。
そして曲自体は低音やダイナミクスに払う無駄な犠牲から解放される。
これからは良い曲を良い音で自由に楽しめる時代が来る。

とはいえ、この自動音量調節や基準を採用していない業界では
音圧戦争の流れは今後も止まらないだろう。
ただ、音楽にとって一番幸せなのは
全ての業界がこの基準を採用することで間違いないと私は思う。
その事実にみんなが気づき
音圧戦争に終止符が打たれることを願っています。

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・終わりに

さてさて、長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか?
こんな話、専門でやってる人しかわかんないよね。
音圧戦争の弊害ってたくさんあるんですよ。
作曲してる人は音圧を出せるエンジニアに依頼しないといけなかったり、
エンジニアは無駄に高価なマスター用機器やプラグインを揃えたり、
自分も十何年の間
最大音量で最高の音を出すにはどうしたらいいか
試行錯誤と研究を続けていました。
音圧戦争はそんな作曲と関係の無いところへ
無駄に金と時間と手間を浪費させているのです。
恐ろしいことですよ。ほんとに。
自分を含め、みなさま大変お疲れ様です。
終わりにしましょう。音圧戦争は。
さて、YouTubeSpotifyApple MusicAmazon Music
Google PlayLINE MUSIC その他もろもろで
自身の曲を配信しています。配信は始めたばかりで、
そもそも活動も始めたばかりなこともあり、
まだリスナーも少ない現状ですが、
私は今後ガンガン活動します。
是非フォロー&シェアしてもらえると嬉しいです。
よろしくお願いします!
ホームページもあります。みんな着てね^q^

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Wired7i

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コメント1件

ダイナミクスこそが生音の楽器や歌のいちばんいいところのひとつなんじゃないかなぁと思っていますので、とても納得のいく文章でした。
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