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大橋トリオ15周年ライブの感想

今日、2022年11月3日に東京国際フォーラムで大橋トリオの15周年ライブが行われた。実はこのライブに行くことが決まったのは、今日のお昼の事だった。久しく連絡を取っていなかった友人から「明日さ大橋トリオのライブのチケット1枚余っちゃってんけど、来れたりしますか?」と誘われたのは、昨日の夜22時。実は3日は、大学の別の友人と神田のブックフェスにもいく予定があり、その友達が17時からバイトの為、トリオのライブが開場する17時という時間があまりにもドンピシャすぎたのだ。そんなの行くしかないだろう。最近、誰かのそういうのに巻き込まれなさ過ぎて、たまらなくワクワクしたのを覚えている。
とはいえ、実は今年の9月に愛知の友人と四国を一周しており、10月にその請求がどかーんときたばかり。口座はすっからかんで、しかも扶養間近のため、稼ぐこともできないでいた。誘われたばっかりにチケット代を忘れていた。値段を聞くと8100円で、それすらも払うのをためらう程、金欠を極めていた。さすがにタダにしてもらえないかとはいえない。でもいけるっていっちゃったし。どうしようかと考えていると、誘ってくれたその友人がお寺関連の家だったことを思い出す。季節はまもなく師走。お坊さんが駆け回る季節である。苦渋の策ではあるが、友人に私はこうLINEをした。

「○○の家って年末バイト募集してない?もししてたらそこで働かせてもらえないか」
彼は答える。
「皿洗いシステム?多分年末に仕事あるし聞いてみる」
そして続けて、その答えはOKだった。
実は二年くらい前に地元の神社で、巫女さんバイトを年始にしたことがあったことが活きた。皿洗いシステムは多分王将だろう。昔は貧乏学生は皿洗いすれば飯を食えたとか。かくして大橋トリオのチケットと年末のお仕事を手に入れたのである。

長くなったがそんな経緯で出会った大橋トリオライブ。スマホの音楽アプリを変えて以降、しばらく遠ざかっていたメロディーと歌詞は、心の奥底にじんわりと、されど愉快に浸み込んできた。彼のバンド仲間はまるでブレーメンの音楽隊みたいで、カラフルな衣装に、様々な楽器を自由自在に、そして何よりも心の底から楽しそうに操っていた。かのトリオ自身もまた、周りの仲間や時にはソロで何とも楽しそうに奏でている。こんなに楽しそうに生きている人があるのかと思うくらいだった。
ライブ自体は冒頭は割とトリオの曲の中ではがちゃっとした部類に該当するような、都会と地続きの曲に始まった。その後、ちょっとしたトークやトリオの日常?を挟みながら、どんどんと彼の世界に聞くものを連れて行ってくれる。その様はハウルの動く城で、ハウルの部屋にソフィがたどり着く感じの、もっとその過程と行き先が楽しいバージョンって感じ。(伝われ)
途中にはロック調にアレンジしたトリオの音楽やザ・トリオの名曲たちが続く。時間はあっという間に過ぎ、二時間半くらいがすでに経っていた。あ、そうそう。そういえば今日はLILYこと、石田ゆり子さんの初ステージらしく、あれほどの女優さんでもこんなに初々しく、また一生懸命な姿で歌っていてなんだか励まされる。いいと感じた世界に積極的に巻き込まれる。トリオのライブはまさにそんな感じで、きっとここにいるライブの観客同様、石田ゆり子さんも一緒に巻き込まれたんだなと思う。(最後にトリオの仲間たちと石田ゆり子さんが一緒に歌っているのすごいよかったな。まじで、ブレーメンの音楽隊)
ちょっと脇道かもしれないが、この時ふと思ったことがある。というのも、トリオのライブでは、公式のグッズ(トリオも演奏に使うのだが)で、木とねじで鳥の声を再現する楽器がある。ピヨピヨとなるその楽器は、演奏の合間とかにファンも鳴らすことができ、まるでトリオの周りにたくさんの鳥が集まっているみたいだった。だとすれば、鳥がこんなにも集まるような音を出すものってなんだろうと思い、考える。これはちょっとまだしっくり来ていないのだけど、でもそれならトリオは木みたいな存在だろうか、と思う。カサカサ、さわさわと木々の葉っぱがふれあう音のような楽曲の数々。風(気分)次第では、そのメロディはいかようにも変化し、時にはロックにもなりうる。そうかー、我々はいろんな鳥で、この大きくて心地のよくて、とても楽しい木に集まっているんだな。なんてことをぼんやりとその頃思う。

ただ、彼が木なら、その周りの仲間たちはなんだろう。あのゆかいな仲間たちは、間違いなくいろんな動物たちにしか見えない。トリオ自身もじっと一か所にいるような感じもあまりしない。それでもいろんなジャンルや楽器をこなし、多くの小鳥たちを呼びよせるトリオは、空高く、そして広く枝葉を伸ばす木のように思えてならないのである。

また気が向いたら立ち寄りたい。やっぱりトリオはそんな木だった。あの木で過ごした時間は、きっと一生忘れることはないと思う。そして、今日という日を作ってくれた人、それから誘ってくれた彼とそのご家族に心から感謝を伝えたい。ちゃんと年末働かせてください。よろしくお願いします。

ごとう。





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