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①福祉用具専門相談員の立場から


ご本人に初めてお会いしたのは、病院での治療を終え自宅に帰られた日でした。

末期がんとお聞きしていましたが、奥様、娘様たちはご本人のベッドに寄り添い、「早く良くなってね、お父さん、大好きなゴルフ一緒に行こうね。」とたえず声かけをされていたのが印象的でした。
 「いつか娘さんたちとゴルフに行きましょう。」を目標にし、ご自宅でもご自身の残された力を最大限に引き出せるように、リハビリ、訪問看護の方と相談しながら福祉用具選定を進めていきました。
 住宅改修で手摺をつけ、近くを散歩できるよう歩行器をレンタルし、ご自宅で大好きなお風呂に入れるよう、シャワーチェアー導入。「ああ、やっぱり家のお風呂はええなぁ。」と喜んで頂いたのが、私の励みになりました。その後、ご家族が献身的に介護されましたが、徐々にがんが進行し、ベッド上の生活になられました。在宅医・ケアマネジャー・看護師・理学療法士・福祉用具専門相談員のチームでご自宅で過ごす方法を検討しました。ご本人の痛みや身体的な負担を和らげる為、エアーマットを早めに導入した事で床ずれが出来ず、痛みの訴えも無くご家族に見守られながら、眠るように最期を迎えられました。
 お別れの時、ご家族から「お父さんは眠れないと言ってたけど、早くエアーマットを入れてもらったおかげで、ぐっすり眠れるようになったのよ。」と喜んで言って下さいました。 
ご家族と一緒にチームで利用者様を支えられた事を糧に、今後もご本人、ご家族に寄り添える支援者として、さらに皆様に喜んで頂けるよう、チームでサービスを提供していきたいと思います。

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