見出し画像

ウィト家のつなぐものがたり #2【リレー小説】

わたしたち、ウィトゲンシュタインズが
1枚の写真をテーマに、リレー形式で紡いでいく、ものがたり。
ものがたりの展開は、結末は、誰にもわかりません。
そう、書いている、わたしたち一人ひとりですら。
それぞれの感性の、化学反応から生まれる、ものがたり。

今回は8名で1つのものがたりを完成させました。
どうぞ、お楽しみください。

画像1


待ちに待った満月だ。
ようやく、満月の夜がやってきた。
時間は短い。
この夜を逃したら次はいつチャンスが巡ってくるか分からない。

もう二度と同じ後悔はするものか。
月を見ると心が静かに燃える。

あの頃とは違う自分を信じて、行くしかない。
淡々と準備を進める。
興奮と冷静を同時に飼い慣らすのは難しい。

はたして彼奴は来るだろうか。
どんな風貌をしているだろう。
どんな準備をしてくるだろう。

待ちに待った満月へ向かって踏み出した瞬間、燃える熱情と僅かな憂慮が心を支配した。
風花の舞う季節。
深々と雪が降り注いでいたあの日。

僕らは食材を求めて狩猟に出かけた。
歩く姿は勇ましく、燦爛たる輝きを解き放つ。

百戦錬磨の我らが誰にも負けるはずがない。
この世は強い者が生き残る。

自信に満ちた咆哮が白銀の世界に響き渡った。
しかし、歩を進めた先には予想外の景色が広がっていた。

…何もいない。

「いや待て、あれは何だ?」
雪に紛れるかのように佇む人影。
傍らには動物の山。

「あいつが狩場を荒らしたのか!許さぬ!かかれ!」
……

命からがら生き延びたのは自分一人。
集落に戻った僕は、すぐに長の元に向かった。

長が僕に問いかける。

「一緒に向かった皆はどうした?」

狩場で起きたことを話すと、長はゆっくりと目を閉じ、悔恨の涙を流した。
そして、こう言った。

「やはり、皆に伝えておくべきであった」

と…。
『先々代の長がまだ子供の頃の話じゃ。
古い言い伝えがあってな。

……の夜にだけ現れる、1人の…………』

長が何かを言い続けている。
だが、その言葉は耳には届かない。

辺りの景色が渦を巻きながら暗くなっていく。

そして『 私 』は目覚めた。
「何度挑もうと同じだ。私には勝てない。」

「ふざけるな!…僕が、この負の連鎖を断ち切る!」

「解せぬ。母なる満月の力を宿す私に、なぜ挑み続ける?何が目的だ?」

「僕の仲間の、先代の無念を晴らす!

そして…

次は僕が、満月の子になるんだ。」
振り下ろした刀が、重く何かを断つ。
眼下には、いつもの凄惨な光景。

「…また、私は…」

一体、何度繰り返せば赦されるのか。
愛した日々の結末は…いつも赤月。
「私を…早く…」

曉に目を眇る日まで。
私は終焉を迎える為、僕の混沌を巡る旅は続く。

Twitterで実際の投稿は、こちらからご覧いただけます。

お読みいただきありがとうございました!!

画像2

現在ウィトゲンシュタインクラスは、Twitterにてエイプリルチャレンジを実施中です!
私たちウィトゲンシュタインズが、様々なチャレンジを投稿しています。
みなさんも、私たちと一緒に新しいことにチャレンジしてみませんか?
もしよければ私たちのTwitterアカウントを覗いてみて下さいね(´∀`)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?